学校で教えない日本の政治システム 日本の総理は独裁者ではなく単なる行政の長です。


日本の政治システム
 1月予算案が確定すると、翌年度の予算の算定作業が始まります。予算=事業であり、各省庁別に事業計画に合わせた積算作業がはじまるわけです。そして、3月ごろから各事業別のヒアリングなどが行われます。これは各省庁とそれに相応する自民党の部会※1と連携する形で進められます。

 ※1国会には17の委員会があり、各分野ごとに委員会があります。外交防衛や財務、厚生労働など、その委員会に並列するのが各部会で、それぞれの委員会の所属議員が参加します。また、自民党の議員はすべての部会に参加することが可能です。

 その上で、政府と自民党が連携する形で骨太の方針(予算と事業方針)が作られます。6月にはこれが確定するわけです。各部会の意見を取りまとめるのが自民党政策調査会であり、政調会が事実上の決定機関になっています。それを総務会に上げて、全員一致で党の決定にする。また、連立を組む公明党との調整も総務会、幹事長レベルで進められます。

 そして、各省庁の予算の積み上げである概算要求が8月末までに作られるわけです。その上で、予算の総額に合わせ、各省庁と財務省の間で予算折衝が行われるわけです。この過程では政府の方針も反映されることになります。そして、部会などもここで折衝に加わるわけです。

 12月25日頃、折衝によりくみ上げられた予算案が決定します。その後、個所付けといわれる実際の事業別の予算が振り分けられます。例えば道路予算ですが、どこの道路を優先するのかなどが決まるわけです。ここでは地元議員の力関係が大きくものをいうことになります。

 そして、さらに調整されたものが自民党と公明党に返され、それを受けた形で政府予算案になるわけです。

 この作業の裏側で行われるのが、自民党税制調査会による財源と税制の方針決定であり、税制をどうするかは政府というよりも税制調査会の決定の部分が大きいわけです。また、税制調査会も党内の議論を優先するため、各議連などの動きに反応します。現在、財政拡大を望む拡大派とプライマリーバランスを尊重する緊縮派の二つの議連が拮抗しており、プライマリーバランス健全化目標は決めない形で決定しました。

 これが政治の仕組みであり、予算=事業で、事業計画や予算は政府というよりも自民党の党内政治で決まる構造、そして、野党にはこのような機能はなく、野党が政権をとった場合、官僚による一方的な政治がおこわなれることになります。

 日本は独裁国家ではありません。日本の国政は行政の長である総理よりも議会の方が強く、総理に関与できる範囲は限られます。逆に地方は首長の力が非常に強く、議会は監視と後承認機関二なっています。地方は独裁的な政治を行うことができる仕組みです。

Reply · Report Post