アシュリーによる、彼女の体験を語る記事、全訳です。https://amp.usatoday.com/amp/1876419001

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それは2008年の6月のことでした。私は17歳になったばかりでした。コロラドのスケートキャンプに参加して、その地区のスケーターたちが家でおもてなしパーティーを開きました。私はいつもスケートに熱中していたので、パーティーに参加したのは初めてのことでした。そこにいた全員が知り合いだったので、少しばかり羽目を外しても良いのではないかと感じていました。そして、お酒を飲むのも初めてでしたが友達が皆飲んでいたし、好奇心もありました。仲間に入りたかったのです。
パーティーが終わる頃、誰も私をホテルまで送ってくれることができなかったので、私は数人の女友達とそのまま泊まる事になりました。不安はありませんでした。友達もいたし。ベッドを用意されて、何を疑問に思うこともなく、すぐに眠りに落ちました。

彼がベッドに忍び込んできたのは真夜中のことでした。私は眠っていて、どういう意味かもわからなかったので、動かずにいました。でも、彼は私の首にキスをし始めました。私は彼がやめてくれるのを願い、深く眠っているフリをしました。でも彼はやめなかった。
そして、彼の手が私の身体を弄り始めたときは、身体を動かし、私が起き始めていると思って彼がやめてくれるのを願いました。でも彼はやめませんでした。
今思い返すと、彼が女性の身体を知っていることを私はよくわかっていませんでした。彼は22歳で、大人だったのですから。けれど私はまだ幼い女の子でした。
彼がさらに私の身体をまさぐり始めたとき、私は彼があまりにも大柄なので、押しのけられるかしら、と怖くなりました。私はただ、眠ったフリをして彼が退屈してやめてくれるのを待っていました。でも、彼が止めることはありませんでした。
そして、気づくと私は涙を流していて、今選択しなければいけない、と悟りました。私は目を開け、首にキスをしようとする彼から身を引きなはしました。彼の侵襲的な手を掴み、やめてと伝えました。
彼は動きを止め、私を数秒間見つめた後、静かに部屋を出て行きました。
全ては5分くらいのできごとでした。それほど短い時間でしたが、それ以来私はそのできごとに悩まされてきました。

次の日の朝、彼はまるで何事もなかったかのように振舞ってきたので、私も何事も無かったように過ごしました。もしかしたら、自分の勘違いだったかも、と。2008年の私は、#metooムーブメントがもたらすエンパワメントも知識も持ち合わせていませんでした。誰も私に、「同意」について教えてくれはしなかった。あの頃あんなに曖昧だったものは、今ははっきりとしています。

私は性的暴行を受けたのです。

日が経つうちに、私は近しい2人の人にこの話をしましたが、それ以外には何も話さず、行動も起こしませんでした。ただ、忘れてしまいたかった。私は軍人の家に育ち、困難にはただ顔を伏せて立ち向かうようトレーニングを受けていました。それに、両親に話せば、パーティーに行ったことを叱られると思い話せずにいました。
そして、私はジャッジされるスポーツでランクを上げつつある若いアスリートでもありました。揉め事を起こしたくなかったのです。ドラマチックで面倒な子に見えるようなことは避けたかった。フィギュアスケート界で、問題を起こす子として知られるのは嫌でした。
それに、本当に、誰も信じてくれないと思っていました。この人は、皆に好かれている人だったから。私ですら、好きだったのですから。

こんなにも愛されている人が、どうしてそのようなひどいことができるのでしょう？
考えると、これこそが私のこの話の一番重要なポイントです。いい人でも、あなたを傷つけることができる。いい人に見えるからといって、たくさんの良いことをしているからといって、皆を笑わせるからといって、人を傷つけない、虐待しないとは限らないのです。誰も、完全に良い人も悪い人もいません。けれど、良い部分は悪いことをしたことを打ち消しはしないのです。

今は、あの夜起きたことにかかわらず、私は眠ってしまっても安全だと思ってあのベッドに潜り込んだことがわかります。彼がその安全を奪い去ったのです。私はあの家に、友達と楽しむためにはいったのです。彼がそれをぶち壊したのです。
あのパーティーに行ったことは、絶対に、彼に私をどんな形でも触ることを正当化しません。私は一度も、彼に私の身体を好きにしていいと思わせるようなことは言いませんでした。私がそのパーティーにいたことは、性的行為への同意を表してはいませんでした。
そのことをもっと早くに学んでおきたかった。私が長年感じてきた罪悪感は、私ではなく彼にのしかかるべきものだった。

私は、ジョン・コフリンに性的暴行を受けました。

この数ヶ月間、この話を話そうと決めている間、彼の名前を出さないようにしていました。彼は名の知られたスケーターで、1月に自殺によって亡くなっています。ですから、彼を名指しにすることの意味はよくわかっています。けれども、名前を明らかにすることによって、私の話がどう受け止められるかが変わってきます。彼の名前を出さなければ、私の話は信憑性を疑われることを私は知っています。

けれど、これは名前の話ではありません。これは、そういった行為が許されてしまうような環境についてです。私はこの話が、リアルに感じられて、不公平なパワーバランスが今でも強く根づく私のスポーツについて人々が理解してくれることを望んでいます。

エリートレベルのアスリートは、フィジカルな才能や能力でずっと評価されてきました。13歳から27歳までの15年間、私はそのレベルでアスリートとして活動してきました。年齢ではなく、才能と能力が周囲の人たちとの関わりを決めていきます。ティーンエイジャーや子供が、大人と同じ交友関係の中にいるのは普通のことではありませんが、フィギュアスケートでは日常茶飯事です。13歳の女の子が、21歳の男性と同じ大会に出場して、同じフライトで飛び、同じホテルに泊まり、食事を毎回共にするのが当たり前の世界です。

今年、私はアリッサリウという13歳の素晴らしいスケーターが全米チャンピオンになるのを目撃しました。そしてその時、私はこの話を話さなければいけないと気づいたのです。私はこのスポーツを、子供にも安全なものにしたいと願っています。私は、USFSAに赴き、子供たちを守るためにできることを提案しました。

結局は、私たちはこういう話をもっとしなければならないのです。17歳の私にとって、私の交友関係はとても狭い世界でした。20代男性だった彼にとっても、交友関係はとても狭く、10代との関わりがほとんどでした。これは圧力鍋のようなもので、何も手を打たなければ、これからも危険で不適切で不快な環境を作り続けるでしょう。

子供が子供のままでいられるスポーツであってほしい。境界線をどう作るか、私たちは話し合わなければいけません。私の能力と才能が、私の周りにいる人たちを決定してはいけませんでした。

私は自分を犠牲者とは思っていませんし、周囲にもそう見て欲しくはありません。あの恐ろしい2008年の夜から、私は前を向き自分の人生を歩んできましたが、彼についてどう感じているか、にはいつも混乱させられてきました。彼は私に謝ったことはありませんし、私も謝罪を要求したことはありません。2人とも、彼が私に何をしたかには触れることなく、蓋をしていました。

今この話をするのは、とても勇気のいることでした。これを分析して、私を疑問視したり批判する人たちが出てくることもわかっています。
けれど、結局のところ、私は黙っているか、それとも声を上げて、この私の愛するスポーツが良い方に変わるよう要求するか、の選択をしなければなりません。そうして見たとき、何をすべきかは一目瞭然でした。

私は、声を上げることを選択しました。

(終)

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