graycells

graycells · @graycells

5th Jul 2012 from Twitlonger

夜まで用事が立て込んでおりました;遅くなってしまいすみません。いくつかリプライをいただいているようなので、何をどこまでお答えすることが必要なのかが少しわかりませんが、一応必要なのかなと思うことについてお答えさせていただきます。

書き添えておくと、ゼミでの先生を交えた議論の上でのsetoyamaさんとの会話ですので(つまり用語法などに自分の考えでない部分も混ざっていますので)、率直に言って状況を説明するのが困難だという点はご了承ください。

また、『概念分析の社会学』に関しては、いずれfujimotoさんから別途にゼミでの議論を簡単にまとめて送っていただく予定ですので、そちらを待っていただけると幸いです。


1)「ハッキングの目的2から方法論を抽出した結果、目的3が欠落したってことでは?」の主旨

これに関しては、「『概念分析の社会学』は「人々を作り上げる」から 方法論を抽出した」という意味ではありません。私の発言の主旨は、setoyamaさんの「肌に合わない」ということが何を意味しているのかを明らかにすることにありました。

『概念分析の社会学』で重視された「ループ効果」は目的2に強く関係すると私は思いました。それに対し、「人々を作り上げる」という論文の力点は目的3にあると私は思いました。これは「種類」自体の発明(p.120下段)の問題であり、「主体化」の問題と言いかえてもいいと私は思います。

目的3の問題は「ループ効果」によっても扱うことが可能ですが、力点が若干異なると私は考えます。あえて図式化すれば、目的3は近代社会(当該論文においては18世紀以降かもしれませんが)の特性(=主体化)を明らかにするということに力点があるのに対し、目的2(や「ループ効果」)はそのことを特に問題化せず「作り上げる」メカニズムを読み解くものという点に力点があると思います。

その意味で、setoyamaさんが反応したのは目的3の問題意識なのではないか、ということが聞きたかっただけです。目的3が強い/弱いということは、問題意識の問題であり、それだけで批判されるべきことがらではありませんので、『概念分析の社会学』がどうであるかを話したかったわけではありません。

付け加えると、目的3は社会学にとっては多くの場合前提とされる事柄だと思います(もちろん扱う人はいますが)。『概念分析の社会学』もまた目的3は特に強くないと思いました(これはcontractioさんの「個人」に関する発言とも一致するのではないかと思いました)。

人類学から見て「社会学社会学してる」ように見えるのも、その意味で不思議ではないと私は思いました。むしろそういう視点からすれば、社会学内部で差異が大きく見えているだけなのではないかと私には思えたので、自戒の意味も込めてsetoyamaさんの最初の意見を尊重したいと思いました(全てに同意というわけではないですが)。


2)方法論という言葉
「方法論を抽出した」という表現も注意を引いてしまったようですので、一応書き添えておきます。ここで「方法論」と書いたことは、極めて弱い意味で、基本的には「ループ効果」を前提に研究を進めることを指します。したがって、EMがどうかということとは無関係です。
「それは方法論とは言わない」と感じる方もいるかもしれませんが、方法論にまつわる議論は「方法論」の定義に依存し、さらに「方法論」という言葉はテクニカルタームと言えるほど定義が共有されているとも思えませんので、「何が方法論なのか」とか「特定の学派が方法論を持つか」といったことは、定義を共有しないと議論しても意味がないと考えます。というわけで、私としては、「方法論」という言葉に強く意味を付与していません。


2について「方法論ではない」とおっしゃる方がいらっしゃれば、別に撤回します。また、1に関しても間違いがあれば撤回します(間違いはいくらでも見つかると思うので)。
リプライいただいた内容については、私としては特に異論はないですし、未知のこともあって勉強になりました。どうもありがとうございます。
とりあえず、こんなところで失礼いたします(_ _)

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