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22nd Nov 2018 from TwitLonger

円高不況→海外への移転→研修制度の拡大→バブル崩壊


NGOと労働団体の冷たい関係と外国人研修生・技能実習生問題

浅見靖仁


2 問題の整理


八〇年代後半、
いわゆるプラザ合意によって、円高が急激に進み、
日本企業は相次いでアジア諸国に工場を移転した。

工場完成後
すぐに効率よく生産を開始するためには、

工場完成時までに、
そこで使用する生産設備や生産システムに
習熟した労働者を確保しておく必要がある。

そのためには、
現地工場で働く予定の労働者を
日本にある自社の工場で日本人労働者とともに
一定期間働かせることが効果的である。

工場を新設する場合だけでなく、
すでにある現地工場に
それまでは日本で行なっていた工程を
新たに移転する場合でも、
現地工場の労働者を日本で研修させることが
非常に効果的であることが多い。

現在「企業単独型」と呼ばれている
外国人研修は、
もともとは日本企業のこのようなニーズに
応えることを主な目的として、
一九八〇年代後半に急増したのである。

しかし数ヵ月間、
場合によっては一年近くもの問、
外国人研修生を日本人労働者よりも
格段に安い賃金で、
日本の工場で働かせることは、
企業にとっては、
日本の工場の人件費を節約する効果もあることに
多くの企業が気づくようになった。

「企業単独型」で
外国人研修生を受け入れることができるのは、
原則として現地に工場をすでに持っているか、
または工場を建設する具体的な計画のある企業に限られていたため、
外国人研修生制度を
人手不足と人件費高騰対策として
「活用」することができる企業の数は限られていた。

しかし、一九九〇年に
新たに「団体管理型」の
外国人研修生受け入れが認められたことによって、
現地に工場を持たない企業でも
外国人研修生を受け入れることができるようになった。

また、九三年には一年間の研修のあと
実習の名目でさらに一年間
日本で働かせ続けることが認められるようになったため、
深刻な人手不足に直面していた中小企業による
外国人研修生受け入れが急増することになったのである。

バブル経済崩壊後の不況と雇用不安は、
外国人労働者受け入れに対する「世論」を
以前よりも厳しいものにしたが、
その一方で外国人労働者を使うことによって
生産コストを下げたいという企業側の要望も高まった。

こうした状況のなか、
「世論」を刺激することなく
外国人労働者を受け入れることができる
外国人研修・技能実習制度に対する
政府や企業の期待がさらに高まり、
一九九七年には
一年間の研修後の実習期聞が、
それまでの一年から二年に延長されるなど
制度の拡張が行なわれ、
また、二〇〇〇年三月に発表された
第二次出入国管理基本計画に
外国人研修・技能実習制度の拡充が
盛り込まれたりするようになったのである。(p.68-69)

https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/17649/1/0100903701.pdf

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