ある不幸なカープファンの物語・2016年8月23日篇~「不幸」は続く


カープが巨人に勝てばマジックが点灯する8月23日。「東京で広島・巨人戦に行くと広島が負ける」というジンクスが41年ぶりに破られることを夢見て、カープファンの皆様には申し訳ないと思いつつ、覚悟を決めて東京ドームに向かう。
 数日前、ネットオークションで、ネット裏のチケットを、驚くほど安い価格でゲット。「これは何かが変わる前兆か」と、かすかな期待を持って球場に乗り込む。席は、実況席のすぐ下。グラウンド全体が良く見える位置。
 カープの先発は、絶対的エースで巨人キラーのジョンソン、打線も好調。対する巨人の先発はマイコラス、前回の広島戦では6回で5点とられてKOされている。どう見ても、カープ有利に思える。唯一の不安材料は、私が球場に来ていることだけ。
 試合は、ジョンソンとマイコラスの投手戦。両チーム無得点が続く。と言っても、ジョンソンが、8回まで散発3安打。3塁も踏ませない危なげない投球であるのに対して、マイコラスは、4回、無死1、3塁、5回、一死2.3塁、7回一死3塁と再三にわたってピンチを招く。しかし、カープ打線にあと一本が出ない。
 両チーム無得点のまま迎えた9回、カープは、2死満塁のチャンスを逃し、その裏、巨人が、さすがに疲れの見えるジョンソンを打ち込んで1死満塁のチャンスを迎えた時点で、「やはり今日もダメか」と天を仰いだ。しかしカープの好守で内野ゴロ併殺に切り抜け、胸をなでおろす。
 10回裏、カープの投手はジャクソンに変わる。巨人は脇谷から始まる下位打線、この回は問題ない、次の回が勝負だ。ジャクソンも簡単に2ボール2ストライクと追い込む。
そこで信じられないことが・・・。
脇谷が打ったライトへの打球が、何とスタンドに飛び込んだのである。それを呆然と見届けた私は、その瞬間、脱兎のごとく球場の外に駈け出した。出口に近い席だったので、幸い、「オレンジのタオルを振り回す巨人ファン」の忌まわしい光景を見ることだけは免れた。
 今季50試合以上に登板して、ホームランを2本しか打たれていないジャクソンが、どうして、一本もホームランを打っていない脇谷などに打たれるのか、全く信じられなかった。自宅に帰った後、テレビのスポーツニュースで、そのシーンを見ると、何と、脇谷が打った球は、高めの「クソボール」、まともな打者なら、見送ってスリーボールにするところだ。脇谷が「吊り球」に手を出して振ったバットとボールが「空中衝突」したようなもの。だから、スタンド中段にまで飛んだのだ。
 どうして、私が東京ドームで見ていると、こういうことが起きるのか。
 「40年以上のジンクス」を破るのは、やはり容易ではない。
 しかし、私はめげない。この後も、そのジンクスが破られる夢への挑戦を続ける。
 

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