★アベノミクス大失敗で安倍政権臨終が秒読みー(植草一秀氏)

2014年11月18日に安倍晋三首相は

総理大臣記者会見

でこう述べた。

「来年10月の引き上げを18カ月延期し、

そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。

再び延期することはない。

ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。

平成29年4月の引き上げについては、

景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。

3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。

私はそう決意しています。」

「消費税の引き上げを18カ月延期すべきであるということ、

そして平成29年(2017年)4月には確実に10%へ消費税を引き上げるということについて、

そして、私たちが進めてきた経済政策、成長戦略をさらに前に進めていくべきかどうかについて、

国民の皆様の判断を仰ぎたいと思います。」

動画映像でご覧になりたい方はこちらをご覧いただきたい。

「平成26年11月18日安倍内閣総理大臣記者会見」

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/1118kaiken.html

この動画の

7分48秒から8分33秒の部分

9分49秒から10分30秒の部分

をじっくりとご覧いただき、安倍首相の発言をご自分の目で確かめていただきたい。


「来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。

再び延期することはない。

ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。

平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。」

安倍首相は2014年12月14日の総選挙に合わせて、2015年10月の消費税再増税を延期した。

2017年4月に実施することにしたのである。

「18カ月後」というのは、2017年4月のことだ。

来年、つまり2017年4月の消費税率引き上げについて、

「さらに延期するのではないかといった声があります。

再び延期することはない。

ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。」

と「断言」したのである。


この2017年4月の消費税率引き上げについて、5月14日付の日本経済新聞は、1面トップで

「首相、消費増税先送り

 地震対応・景気に配慮

 サミット後に表明へ」

と報じた。

日経新聞は記事のなかで、

「「増税して税収が増えなければ元も子もない」と繰り返していた」

と記述した。

そして、

2014年11月18日の記者会見での発言について、

「「再び延期することはない。

ここで皆さんにはっきりと断言する。」

と明言した」

と記述するものの、この点について論評しない。

このような新聞を「御用新聞」、「堕落新聞」という。


消費税再増税再延期という日経新聞報道について、

安倍首相は「報道があったが、全くそういう事実はない」と発言し、菅官房長官は「全く事実無根だ」と表明した。

「再延期しないと断言する」

の発言に加えて、今度は、

「再延期報道は事実無根」

と発言したのだから、これで再延期を打ち出すなら、罪は法外なものになる。

今後の事実推移を注視しなければならない。

2012年の選挙で安倍晋三自民党は

「TPP断固反対!」

のポスターで選挙を戦っておきながら、3カ月後にTPP交渉参加を決定した。

文字通りのペテン政治、詐欺師政治の輝かしい実績がある。

消費税増税は中止するべきだが、2014年に再延期しないと断言し、

2016年5月14日は、「再延期報道が事実無根」と発言したのだから、

万が一にも再延期を決定する場合には、内閣総辞職以外に選択肢はない。


アベノミクスは完全に失敗した。

アベノミクスをメディアが讃えたのは、円安・株高の側面だけである。

78円/ドルが125円/ドルになり、

8664円の株価が20868円になった。

アベノミクスを評価する根拠はこれだけだ。

しかし、こんなことは一般国民にはほとんど関係がない。

日本経済全体がどうなったのかが重要である。


日本経済の成長率(前期比年率実質GDP成長率)の単純平均値は、

2009年10-12月期~2012年7-9月期が

+2.0%、

2012年10-12月期~2015年10-12月期が

+0.7%

である。

日本経済の成長率は著しく低下した。

これは、アベノミクスが失敗したことを示す明白な証拠である。


2009年10-12月期~2012年7-9月期

には、あの東日本大震災があった。

これで日本経済は激しく落ち込んだ。

この落ち込みがありながら、成長率平均値は+2.0%。

安倍政権の3年余りは、こうした事態がなかったのに、+0.7%。

アベノミクスの失敗は誰の目にも明らかだ。


この間に良くなったと言えるのは、

株価が上昇したことだけだ。

しかし、東証第1部上場企業はたったの1900社。

日本の法人数400万社の0.05%にも満たない。

この0.05%の企業の収益が拡大し、株価が上がっただけだ。

経済全体が沈んだのに、0.05%の企業収益だけが過去最高を記録したということは、

残りの日本経済の落ち込みが激しかったことを意味している。

安倍首相は失業率が下がり、有効求人倍率が上がったことを自慢するが、

これは働く人数が増えたことを意味しているだけだ。

全体のパイが縮小して、その小さくなったパイを分け合う人数が多くなったということは、

一人当たりの取り分、賃金所得、分配所得が大幅に減少したことを意味している。


アベノミクス3本の矢

などという

自画自賛の言葉が用意されたが、

第1の矢と第2の矢はポキンと折れてしまったし、

第3の矢は、人々を苦しみに陥れる

毒矢

に過ぎない。

第1の矢=金融緩和=インフレ誘導の矢は、ポキンと折れた。

狂気の金融緩和を実行しているが、インフレ率はアベノミクススタート地点のゼロに戻った。

「もはやデフレではない」

ではなく

「もはやデフレではないではない」

が現状だ。


第2の矢の「財政出動」

を実行したのは2013年だけだ。

2014年は大増税

2015年は緊縮財政

2016年は超緊縮財政

である。

この緊縮財政を推進する安倍首相が、ドイツのメルケル首相に

「積極財政」を説得しているというのは、

悪い冗談でしかない。

アベノミクスはアベコベノミクスに変質してしまった。


第3の矢の「成長戦略」というのは、日本国民を苦しみの地獄に突き落とす

「猛毒の矢」

である。

この「猛毒の矢」の集大成が

TPP

である。

TPPは「原爆」であると言って過言でない。


TPPは

日本の農業を破壊する

日本の国民は食糧の安定確保ができなくなる。

そして、TPPで、

国民は安全・安心の食料を選別して摂取することができなくなる。

さらにTPPは、

日本の保険医療制度を破壊する。

医療は

公的保険医療



民間保険医療

の2本立てになる。

この意味は、

富裕層しか十分な医療を受けられない状況への意向を意味する。


富裕層でない圧倒的多数の国民は、のんきに過ごしている場合ではない。

こんな、地獄の世の中が待ち受けている。

よく考えて、地獄に行きたい人はTPPの列車に乗ることを選べばよいだろう。

しかし、地獄に行きたくない人は、この列車に乗るべきでない。

この列車を出発させるべきでない。

第2次大戦後、満州でソ連軍の捕虜とされた日本兵は、日本に変えれる列車だと思って列車に乗り込んだ。

しかし、その列車は日本に向かわず、極寒のシベリアに到着した。

地獄の日々が待っていたのである。


国民を騙して何の責任も感じない安倍政権。

国民を地獄送りにする安倍政権。

もう騙されてはいけない。

主権者が力を合わせて、安倍政権を終焉させなければならない。

そのための方策はただひとつ。

安倍政治を終わらせるために、主権者が連帯することだ。

主権者の連帯を壊して分断しようとする試みは、すべて排除しなければならない。

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