1つ目の私のコメントはちょっと分かりにくいので捕捉します。たとえば、「動物のサイはテレポート能力を持っている」という仮説がポッと出たとします。これ、ほとんどの人は検証するまでもなく相手にしないと思いますが、これは動物はそんな能力を持ってないと誰でも知っているから。これが「バクテリオファージは」になったら、少数ながら信じる人も出るでしょう。動物はサイのまま、テレポート能力でなく「単為生殖する能力」にしても、多分信じる人は出てくる。

これは、多くの人がサイとテレポートの組み合わせだったら荒唐無稽なのを知っているけど、バクテリオファージのことはサイほど知らない人が大半だし、単為生殖ならテレポートほど突飛ではないからです。「電子はテレポートに近い挙動をしている」とか「多細胞生物のミジンコでも単為生殖は行っている」など、関係ないけど紛らわしい情報を被せれば、なおさら信憑性は増すでしょう。「サイがテレポートしない証拠を示せ」と言われたら、テレポートしない派はたじたじです。

今回問題になっている放射線・放射性物質は、我々にはわりとお馴染みのもので、実験的情報から実務上の運用結果までいろいろな情報がわかっています。でも、ほとんどの人にとっては謎のもの、散々恐怖情報を植えられた恐ろしいもので、バクテリオファージどころか宇宙生物級に得体の知れないものだったでしょう。そこに原子力推進運動・脱原発運動といった政治的意図、情報提示を急いだことによる間違いや勘違い、個人的利益を目した煽りなども加わるんで、もう情報はカオスもいいところ。

今回の問題では、早い時期から散々煽りに煽りまくった目立ちたがり屋さんや活動家がいましたし、ほとんどの人はおかしな情報も違和感なく鵜呑みにしうる知識量だったこともあって、そのカオスな情報の変なのばかり学んでしまった人が相当出てしまっているように思うんですよね。初動の悪さを嘆くべきなのか、仕方がないと諦めるべきかは分かりませんが、とりあえず溝を埋めるのは大変そうだなというのが率直な感想です。

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