OPENING + 1-2 DAYS http://www.twitlonger.com/show/i5s5j1


◆3rd DAY

 おっさんに付き合った収穫は、実はもうひとつあった。
 地図を書いて貰うことが出来たのだ。地図そのものは簡単だが、その分だけ生の――つまり街がきちんと機能していた頃の情報が書き込まれたものだ。
 食料と治療薬の入った袋を担ぎ、それを頼りに歩き出す。目的地は――市街地の外れ。おっさんの家からでは歩いて一時間ほどのそこは、工場街とでも呼ぶべき場所だ。
「もしかしたら、だが。あんたの足に使えるものがあるかもしれん」
 どうせだから一緒に行かないのかと聞いてみたが、おっさんは首を振った。何か別の目的があるらしい。詳しくは聞かなかったが。
 ……謎の治療薬を持っている時点で、推して知るべし、だ。

 おっさんの言葉の正しさは、探索してすぐ――それこそ一時間経たずに証明された。
 発見したのは、まだ年数の経っていなさそうなバイク。大きすぎず小さすぎず、動かし勝手は良さそうだ。が、タイヤはパンクしており、ついでに言うならガソリンも無い――だから置いていかれたのだろう。
 ただし、パンクした車や、クラッシュしてはいるがタイヤの無傷なバイクの残骸は敷地内にごろごろしている。
 ――――さて、共食い修理(カニバル)と参りますか。


今日のnowmas:【探索】まだ動かせるバイク(このアイテムを持っている間、1日に2回行動可能。無理にしなくてもよい。2回目は名前の後に「2」をつけて診断せよ)を発見! 食糧:-2 http://shindanmaker.com/235938


◆3rd DAY-2

 バイクの修理には、半日ほどかかった。
 修理そのものよりも材料を吟味して運ぶ方が大変だった。正直、二度とやりたくないと思う――のだけれど、それでも組み上がったものを見ると達成感が出てくるのだから不思議なものだ。
 やはり放置されていたヘルメットを失敬してかぶり、エンジンをスタートさせ、三十分ほどは慣らし運転。素人修理でも問題がなさそうだと判断してから、改めて荷物と、それから予備のガソリンタンクを括り付ける。
 さて、これからどうしよう。いやそれよりも、
(……バット、邪魔だわ)
 括り付け方というより立て付けが悪いのだ。しょっちゅう荷台から落ちそうになる。いっそ捨てるかとも思ってもみるが、……それはさすがにどうだろう。

 足を確保した以上、必要なのは情報だろう。つまり、この場合はそれを知っていそうな人間だ。そうしてみると、おっさんと別れたのは痛かったかもしれない。今更だが。
 人が居そうな場所。
 しばらく考えたが――市街地をざっと流すことにする。地図を見て走るのは無謀なので、主要道路の位置だけ頭に叩き込んで、ぐるりと回ることにした。
 工場の並ぶ辺りを抜けると、閑静な住宅街――だったものが見えてくる。人は、いない。逃げ出した後なのかもしれない。だが、一体何処に? 場合によってはゾンビがひしめいているというのに? いや、むしろあれこそ、が、
 ――――ある程度で、見切りを付けるべきか。
(ゾンビに聞くって訳にもいかないしな……)
 そんなことを考えながら、やや細い道に差し掛かった時だ――
 目の前に、ふらりと何かが飛び出した。
 ブレーキが間に合ったのは、運が良かっただけ。ついでにバットが転がり落ちなかったのは単なる偶然だろう。
 これが数日前までの日常の中だったなら、間違いなく罵声を浴びせていたに違いない。
 そうしなかったのはこの異常な状況と、何よりそれがまだ若い少女で――こちらの顔を見るなり、大泣きし始めたからだ。
 ……泣き出した彼女を宥め賺(すか)して、落ち着かせるのに五分。話を最後まで聞くのに更に十五分ほど掛かった。
 あいにく、当初の期待――相互に交換できるような情報はほとんど無かったのだが、それはまあ、仕方がない。むしろお互いに情報源、というより「生きている知り合い」が出来たことの方を喜ぶべきなのだろう。
 地図を片手に、二度目の再会を約束し、バイクに跨ろうとした――弾みに、バットが荷台から転がり落ちた。
 拾い上げると、彼女が丸腰なのが気になってくる。
「これ持ってるとバイク運転しづらいんだ。あげるよ」
 きょとんと目を瞬いて、それから盛大に驚かれた。――いや、謙遜しなくてもいいのに。
「こういうのは襲われた時、あるとないとじゃ違うからね」
 そういうと、彼女はおかしそうに、笑った。


【バット】譲渡成立 : 現在状況 96/96 【治療薬】・【バイク】


 バイクで軽快に飛ばして、市街地を更に行くと――何やら奇妙な看板の店を見つけた。猟銃をつり下げたような、なんとも判りやすい店構えだがシャッターが壊されている。誰かが侵入した後のようだ。
 とはいえ、一日目のスポーツ店のような例もある。
(一応、見ておくか)
 バイクのキーは抜かずにおいた。この場合、一番怖いのは盗難ではなく中に居るかもしれないゾンビから逃げ切れない事だから。
 中はスポーツ店同様に、散々たる有様だった。戸棚は空。いわゆる猟銃の類は完全に消えていて弾もない。誰かが持ち去ったと考えるべきだろう。
 銃器を手にしたところで、使いこなせるかどうかは、別な気もするのだが。
 唯一残っていたのは、いわゆる拳銃の類。
 法律云々が頭の中を過ぎっていったが、結局、持って行くことにする。その辺りは生き延びてから、考えよう。
 それよりも今日の塒(ねぐら)を見つけないと。

 ……夕刻過ぎて、ようやく発見した塒には先客がいた。
 交渉の末、持っていた例のアンプル(治療薬、と先客は言った)を渡す事で寝床をひとつ開けて貰う。昨日の境遇が嘘のようだ。
 それにしても今日は、怒濤の一日だった。いや、怒濤と言えばそれまでもそうか。
 なにしろゾンビに囲まれて、逃げて、それから、

 ――――何も考えずに、眠るべきだろう。今は。



今日のnowmas2:【探索】銃砲店の跡地を発見。拳銃(【戦闘】で受けるダメージ常に-1。最低1点は受ける)を得た! 食糧:-3 http://shindanmaker.com/235938 なにこのアイテム祭り。

【治療薬】お譲りいたしますー どうぞお役立てください。

96/93 【バイク】【拳銃】 さてどう書くかなー

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