『隔たり埋まらず 日豪EPA交渉』|日本農業新聞4月28日

 日本とオーストラリアの両政府は27日、同国の首都キャンベラで23日から行っていた日豪経済連携協定(EPA)交渉の第15回会合を終えた。農産物の関税撤廃も議論したが、重要品目への配慮を求める日本側と関税撤廃を原則とするオーストラリア側の隔たりは埋まらなかった。投資家・国家訴訟(ISD)条項を含む投資のルールや食料の安定確保などについても交渉した。

 日本は交渉で、小麦、牛肉、乳製品、砂糖、米などの重要品目を守ることを求める2006年の国会決議に基づいて交渉。オーストラリアは強硬姿勢を変えなかったことから、「関税割り当てを設けることで合意するといった具体的な譲歩案を話し合う前の段階」(政府関係者)という。

 オーストラリアは日本のTPP交渉参加条件として、日豪EPA交渉での大幅譲歩を求めている。だが、今回の2国間交渉でも歩み寄れなかったことで、オーストラリアを含む TPP交渉参加国が求める自由化水準を日本が満たすことは困難なことがあらためて浮き彫りになった。

 外国に進出した企業が進出先の国の規制で不利益を被った場合、その国の政府を訴えられるISD条項について、日本は日豪EPAに盛り込みたい考え。一方、オーストラリアはISD条項を拒否している。今回の交渉でも両国の着地点は見いだせなかった。交渉では、オーストラリアから日本への食料の安定確保などについても協議した。

 第16回交渉会合は6月に東京で開く予定だ。

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