『米国でBSE 消費動向を注視 取り扱いは継続意向 流通関係者』|日本農業新聞4月26日

 米国で牛海綿状脳症(BSE)の感染牛が6年ぶりに見つかった問題で25日、米国産牛肉を取り扱う流通業者からは今後の牛肉の消費動向を懸念する声が相次いだ。一部スーパーでは、米国産牛肉についてBSEの感染リスクの少ない「20カ月齢以下」の販売であることを社内で情報共有し、消費者からの問い合わせに備えるケースがあった。ただ米国産牛肉の取り扱いは継続するとの声が多く、現段階では取り扱い中止のほか、オーストラリア産や国産へ切り替える動きはない。

 兵庫県に本社がある大手食肉メーカーの牛肉輸入担当者は「今のところ、取引業者から取り扱いをやめたいという声はない」としながら、「今後の輸入牛肉の消費の行方がどうなるかで対応が変わってくる」と、今後の消費動向を注視する構えだ。

 東京都内の食品スーパーは「消費者の反応が分からないが、店舗担当者には消費者などから問い合わせがあれば、米国産牛肉の国内流通分は20カ月齢以下であることを説明するよう情報を共有した」と話す。

 米国産牛肉の取り扱いについては、「継続する」との声が目立った。取り扱う輸入牛肉のうち半分以上を米国産が占める焼き肉チェーンの安楽亭は「今後も変わらず取り扱う。今後も安全な基準を設けて対応していく」という。

 食肉メーカーも「オーストラリア産は、新興国で需要が高まり相場が上がっているため使いにくく、他産地は難しい」と米国産の取り扱いを続ける考えだ。

 全国で牛丼チェーン店を展開する吉野家は「今回感染が確認された牛は食用ではなく、輸入にも回らない月齢。そもそも対策を打つ必要があるとは思えない」(広報)と話す。

 日本食肉輸出入協会は、通関に影響はないとして、業界に冷静な対応を呼び掛けた。

・輸入増加も 禁輸前に届かず

 2011年の米国産牛肉の輸入量は、前年比3割増の約12万トンで、輸入全体に占める割合は23%となった。

 06年以降、輸入は増加傾向にある。しかしBSEが発生し輸入が禁止された03年までは年間20万トンを超える輸入実績があり、以前の水準には至っていない。

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