Q&A
「原田さん及び開発チームの方は2ちゃんねるやTwitterなどで匿名性を盾に好き勝手言っている批判や要望、意見を見たり、参考にしたりしていますか?」

への回答。

「回答しにくいかも」、と気遣ってくれてたけれど、答えにくいということもない。

ただこの答えを持ってして「恐ろしく話を単純化して解釈したりもしくは都合良く使ったり」、現時点での話を「あの時はああいった、こういった」と未来永劫思い込む輩がいるから、ちゃんと人の話を咀嚼・解釈できないひとに対しては答えたくないなあ、というのが正直なところですかね。

というのを前提に、以下に記述する回答は「この回答はあくまで私個人」ということにしてください(っつても開発チームという括りで伝えちゃう人がいるのもある程度仕方ない)。



まず、「ネットは現状の仕組みである以上、匿名性があるのが通常」 だと思っている

(犯罪絡みとか実際身元が割れる以上匿名性なんてない、とか極論の話はおいといて、通常利用の点においての匿名性という話)。 こればっかりは仕方ない。

もっと言うと、仮にSNSや掲示板で本名や固定のハンドルネームで発信されていたとしても「ネット上からフィードバックを拾う場合」としては、その個人が誰であるか?を特定する事は目的では無いので、そういう意味においては匿名も固定ないし個人名もあまり変わりはないとも言える(ただしそれが意見を聞くべき本来のターゲット層であるか?なりすましか?等々の疑念や問題は残る)。



これは後述する「ある特定のフィードバック抽出と解釈の手法上、あまり違いは無い」と言っているだけで、匿名と非匿名についての是非や価値観について評価しているわけではありませんので誤解なきよう(これぐらい丁寧に言わないと、やれ非匿名でも同じなんじゃ!匿名なんか○○!とか、まったく論点がずれたところで言い争う人が居るのであえて言っておく)。



なので、ある意味こういう仕組みの場所=匿名性の高いネットという場所、から得られるフィードバックも「抽出の手法と解釈の手法次第で良きバロメーターになる側面」がある。

つまり、「数ある評価軸のひとつ」として存在するので、それ相応の抽出と解釈の仕方があり、他の評価軸と併せて使える側面があるんだよね。ほかの評価軸よりもリアルタイム性があって、群集心理的なところも影響して、匿名性が影響しているフィードバックというのは特殊ではあるかもしれなけど、その特性をちゃんと理解すれば時には有効な場合もある、という事です。

当然ながら、



「フィードバックしてくれる相手がそもそも、そのゲームのターゲット層なのか?」



という疑問はついて回る。

「匿名だからこそ本音が聞ける」という側面はあるけれど、実際のところ本音以上の別の何かが混入していたり、そもそも本音云々以前にどうかも書き手がみえないのだから、ターゲット層なのかも確認できない。

つまり匿名性の壁によってそれらが裏付けできない以上は



「それ相応の読み取り方しかできない」、ということになります。



ただし、こうした意見をひとつのバロメーターとして読み取るにしても、、、(ここからが重要)、

これはネット云々それ以前の話で、これいわゆる臨床心理試験とかで有意差を調べる手法だとか、統計学でもなんでもいいんだけど、ある程度客観的(ある程度、とあえて言っておく)に調査し、解釈する手法、というのが世には沢山存在するよね?この評価軸をベースにしっかり持っているかどうか、というのが大前提。



具体的に言うと、



沢山の人から一定基準や指標に基づいた調査方法で「定量的」にフィードバックを得る方法、一部のターゲット層の代表格の数にある程度絞って抽出し、「定性的」にフィードバックを得る方法。

まずはこのあたりのフィードバックや客観的なデータを揃えて、解釈しておく事がまず大前提。

例えば基板のADSデータ(ゲーム基板に記録されるプレイ記録。キャラ使用率や勝敗データプレイ時間等々)とかネットゲームのKPIデータなんかもそうだけど、ちゃんと客観的なデータを解釈しておく。もしくは、一定量以上で有意差や傾向が確認できるアンケート調査の結果や、インタビュー調査の結果など。

で、次が重要なんだけど、これらの評価軸によって得られたデータ(フィードバック)の解釈をもって、



「自身の仮説を持っておく」



これが重要だと考えている。

特に、パッケージゲーム(あえてパッケージゲームと括る。携帯の無料ゲームなどのKPI解析からユーザーの傾向は全部わかるんだよね~、とかそういう話の土俵にもってかれると、今回の話の主旨とはかわるので除外)の評価やらおもしろさ等々のフィードバックというのは、いわゆる臨床試験とかに比べると解釈や有意差の基準値を定義するのが難しいジャンルなので、仮説の立て方も経験値によるところは大きい(結局は直観に頼る場合もあるしね)。

だけどこれらの客観的データによる裏付けに基づいた仮説を持っているか持っていないかで「意見や批判や要望の聞き方が変わってくる」と、私個人は思う。

強いて言えば、そこに、開発者・作り手として持っているところとどう折り合いつけていくか、というのが「意見の聞き方」というところかな(ひつこいがあくまで私個人の場合だからね)。

あ、「折り合いなんか付けずに作り手は自分の思い通りやってりゃいいんだよ」、という話は今回と論点が違うのであえて触れません。俺も折り合いはつけないこともあるから(笑)。



という話があったうえだよ、君が



「匿名性を盾に好き勝手言っている批判や要望、意見を見たり、参考にしたりしていますか?」



という表現で質問するということは、きっと匿名性に対してのネガティブな印象やなんらかの経験による憤りがあるんだと思うんだよね。

ひょっとしたら、その思いの陰には僅かながら「匿名性を盾に好き放題言ってるやつの意見なんかあまり聞かないでほしい」というのがあるのかもしれない。



これはいつも言っている事なので聞き飽きたかもしれないけれど、

「人間は理屈で積み上げて、最後は感情で判断してしまう」

という側面を持っている(と俺は思ってる)。



理屈では正しいはず、お互いに理屈で合理的に答えを導き出していけば、正しい答えが出るはず。なんだよね、理屈の上では。

だけど、絶対そうは行かない。

最後に感情が勝る事がある限り、理屈や合理性の均衡はどこかの何者かによって破られてしまって、理屈通りにはいかないと。



以前話したけど、格闘ゲームで言えば、「技のフレームデータ上は強くないし、ヒット率や勝敗に関わるデータ分析上では平均的な技(やキャラクター)」のはずが、何故かやたらと嫌われる場合がある、というのも似たような話。

データ上でいくら説得されても、嫌なものは嫌。

それはガードした時に僅かな画面の揺れによる印象だったり、何か屈辱的に見えるやられアニメーションだとか、はたまた、自分の嫌いなプレイヤーが多用する技(やキャラクター)だとかそういうアナログな理由だったりするからね。

はたまた、いくらゲームバランスが良い格闘ゲームが優れていると理屈で謳っても、「キャラがクマしかいない鉄拳。技も見た目もリーチも、何もかもまったく同じ=つまり完全平等、完全にバランスがとれている格闘ゲーム」が登場しても、それは面白くない。

「ゲームバランスが良い格闘ゲームが優れた格闘ゲーム」という仮説に対して理屈の上では正しいように思えるけど、こと面白さや感情の部分はもっと複雑な話なんだよね。

これさえも、きっと理論理屈はあるんだけれども、そこから先は大抵の場合は感情論になるんだよ。

意見を言う、批判を述べる、文句を言う、怒鳴る、というのは、つまりそういう事なんだよね。



それをわかったうえで意見を聞けば、好き勝手言っている人の根底には何があるのか?という観点で冷静に人の話を聞けるようになる(はず)。

冷静に見れば、「○○ってキャラはクソだよ原田死ねよ」の「原田死ねよ」の部分は割愛して、意見を受け止めればいい。

もしくは 「死ねよ」 の書き方の度合いや表現によって、それが非常に高い怒りなのであればひょっとしたらプライオリティの高い何かなのかもしれない。よほどそのキャラの何かに憤りを覚えているのだから、それを類推できればフィードバックとしては有効な物が得られるかも・・・と、なるはずなんだけどね。



だけどね、



基本的に僕自身は上記のような考えを基に、冷静にフィードバックを見ているつもりではあるんだけども、これだけ前振りをした割には、



「意見を言う側がそうであるように、意見を聞く側も感情に影響される部分は否めない」んだよ(笑)



つまり、あまりに無駄に誹謗中傷が入っていたり、誤解に基づいた批判だったり、そもそも冷やかしが入ってたりすると、やっぱり意見の吸い上げ方に影響しちゃうんだな。そういうのは差し引いて意見の部分だけ見ればいい、というのは解っていても、どこか冷静に見れなくなる部分は出てきてしまう。

ムカついているときは、仮にまともな人の話であっても冷静に聞けないのと同じ。



まさに、「理屈で積み上げて、最後は感情で判断してしまう」というやつだ。



そういう意味からすると、意見を言う側も

「本当に意見を聞いてもらいたければ、丁寧に書くほうが有利(聞いてもらえるという意味では)」

な筈なんだよね。

でも、それができないんだよ、最後は感情で判断してしまうので。 

もう、相手が聞いてくれるかどうかでは無くなってしまっているわけだ。なので、要望を言うつもりが誹謗中傷になってしまう(そこに加えてまったく無関係な人が便乗してくると始末に負えない)。

で、

聞き手は聞き手で、要望だけを抽出して聞こうとするんだけど、どうしても誤解されている部分や誹謗中傷部分を聞き流すことが完全にはできない。



そういう構図だと理解しているので、俺の場合は「別の手段」でもってこれを解決している。

その手段とは、

「極力、私自身と個人的な部分での利害関係の少ない人(仕事面の利害関係は大きくても良い)」にネットの情報を見てもらうことにしている。

誰なのか、どういう組織なのかはここでは触れないけれど。

直接見ないことにも意味があるけれど、とにかく僕自身がどう言われてようとあまり関係ない(だがタイトルとは密接に利害関係がある)人々(組織)がこうした匿名のネット上のフィードバックを拾ってきた場合、余計な文章なんかは極力そぎ落とされて意見だけが残る形になる。

そういうフィードバックは当然だけど非常に冷静に見ることができる。

もしくは、伝聞でまとまった意見として「傾向」を聞く際も、聞き手として良い意味で感情的にならずに済むので、冷静に次回の対応策を考えやすい。

だから、結論として私の場合は



「匿名を盾に云々~な意見も、“適切な手法”で聞いているし、“適切な解釈方法”を基に参考にしている」(前述したようにフィードバックの特性上、“それ相応の読み取り方しかできない”という部分も含む)。



と言える。



それでも、漏れ聞こえてくる罵詈雑言には、感情で応える(笑)。



余談だが、あの小野の野郎はこの作業を人を介さず自分自身(小野自身)で行っている(行うことができる)。

つまり、あいつはどんな罵詈雑言や誤解に基づく誹謗中傷だろうが単なる文句であろうが、自分で見て読んで、そして恐ろしいことに最後の解釈や判断を感情にほとんど左右されないという、非常に奇妙なアビリティを持っている。

ネット上はともかく、リアルの世界で思い返してみても、彼は相手に「私は怒っている」というメッセージを顔にも態度にも出さない。つまり、相手に怒っている事さえ悟らせない。

それどころか、怒っている相手に対して、まるで俺とアホ話をしている時のような、いや、まったく同じ笑顔で爆笑しながら歓談できる。



だから、彼と俺がよく「似ている」と言われるが、実際は全然違う。



彼は怒れる相手にその場で怒りを露わにしても、なんら得が無いことをよく知っている。

彼は逆算して答えを導き出すことに長けていて、俺は理屈を積み上げて感情で判断するアホの象徴なので、実はアプローチが正反対と言える。



ただ、唯一お互い納得いかないのは、まったく異なるアプローチで導き出される答えやネタが 「なぜか同じ」 という事がある点だ。



そして、君が 「回答なげええええええええええ」 とツッコミたがっているのも、俺はひしひしと心臓で感じている(脳は介さない)が、これに関して謝罪する気は全くない(笑)。



RT@SteinsGear_5GZ 原田さん、かなり答えにくい質問だと思うのでスルーしていただいても構わないのですが、質問させてください。

原田さん及び開発チームの方は2ちゃんねるやTwitterなどで匿名性を盾に好き勝手言っている批判や要望、意見を見たり、参考にしたりしていますか?

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