モーションキャプチャー黎明期の磁気式から携わり続けた世代としてお答えしましょう。
まず3Dの格闘アクションのアニメーションは「100%手作りできる」が前提かつ基礎としてあります。
モーションキャプチャーは光学化が進んでノイズが乗りにくくなったりカメラの精度があがったおかげで、ここ数年かなり綺麗に撮れるようになりました。
人間の「普段の仕草」を自然に表現するのに非常に役立ちますが、アクションとなると、実は撮影したデータはそのままは使えない事が多いです。
特に格闘ゲーム場合は、技の速さ、高さ、リーチ、などを単に調整するだけでなく、キャラクターらしさを加える必要があります。
そうなると総フレーム数はまったく変わりますし、キャプチャーデータの原型をほぼ留めない場合もあります(元データより速くする場合を想像しがちだと思いますが、アクターの格闘家の方のジャンプ力やハイキックの位置が高すぎたりするのを抑える必要があったり、ジャブやフックが速すぎたり動きに無駄がなさ過ぎでコンパクトな技をあえて遅くして誇張するような動きにしたりもします)。

つまりアクションゲームのアニメーションキャプチャーは、絵を書く際の下絵のような存在であり、いわば3次元データの下絵です。
実際に鉄拳プロジェクトで育ったアニメーターで、キャリバーやスマブラやガンダムを担当するスタッフは元々全てのアクションを100%手作りできるだけのスキルを持っている人ばかりです。まあ、キャプチャーデータがノイズや精度の問題で全く使い物にならない時代に育てた人材というのもありますが、基本的にはそれぐらいのスキルがないと、格闘ゲームの場合は厳しいですね。特に重心移動の流れを見極めて手作りできないと、仮にキャプチャーデータを加工する作業であっても失敗しますので。
話は戻って、、、とはいえモーションキャプチャーはやはり効率化には欠かせませんし、何よりも二次元なビデオ映像データよりも三次元であらゆる角度からプロ格闘家やダンサーの動きが繰り返し学べます。そういう意味でかなり重要な役目を果たしているんですね。

あとモーション撮影の際はシャドウなのかサンドバックなのかの質問ですが、これはケースバイケースです。

シャドウとサンドバックの両方を撮る技もあります、技によってはヒット後に派生する場合もあります。

基本、振り抜くタイプの技はシャドウでもいいですが、しっかり止めたほうが映える場合にはサンドバックを使用するなどの基準はありますが、格闘家の方からの指定でシャドウとサンドバックを切り替える事が多いですね。

あと、少しでも打撃系格闘技をかじったことがある人は解ると思いますが、空振りはえらく体力消耗します。
特に格闘アクションの場合、アクションの最後は、元の構えにしっかり戻す撮影を求められる事が多いです。
遠心力を使って元の構えに戻せる技であれば、シャドウでも比較的楽ですが、それ意外の技は以外と空振りして防御構えに戻るのはしんどかったりします。
変なセンサーつけて、宙に向って半日も空振りやってればかなり消耗します(たぶん格闘家からすればアドレナリンの出る本当の試合のほうが楽なぐらいかも)。
なので、大きなサンドバックでなくとも、ヒット目標の小さなクッションボールやバーを蹴って貰う場合もありますね。

そんな感じです。

RT@SteinsGear_5GZ 手作りも織り交ぜつつなのですね!実際にモーションを撮る時はシャドウなんですか?それとも、相手役やサンドバッグに対して技を放つのでしょうか?

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