【質問】「段位の効率優先して何が悪いんですか 段位を上げたいからランクマッチするんですよね?」

【回答】
何が悪いんですか、とおっしゃっていますが、忘れてはならないのは「それが悪い」「それが悪」とは言っているわけでないことです。

単純に「〜してほしい」という要望に対して「なるほどそうですね解りました反映します」と言えないのは、その要望と別の要望が利害が一致しない場合です。
ランクマッチひとつとっても、求められるものは沢山あります。
本当にudontekkenさんのおっしゃるとおり「段位を上げたいからランクマッチする」だけで全ての仕様を決めれるならこんなに楽な事はありません。
その層の方々の意見を全部反映すれば絶対正解なのですから。
なのでudontekkenさんの考えや意見を悪いなんて思いませんし、効率化もひとつの考えです。

どっちが良いとか悪いとかの話の次元では無いんです。良いか悪いかは、単純にそのひとの立ち位置で解釈が変わるだけの話です。
そういう意味ではudontekkenさんは私が効率化を悪いとみなしている立場だと解釈されたようですが、それは完全な誤解ですし、私の立ち位置はどっちかが問題ではないんですよ。
私は様々な立ち位置からの要望をどう反映するかで悩む立ち位置なのですから。私いち個人の考えもしくはひとつの一群の価値観だけで物事が決めれるならそんなに簡単な事はありません。

悩みどころなのは、ゲームに対して求めている事や楽しみ方がudontekkenさんが想像している以上に幅があって、一概にひとつの基準と価値観だけで縛れないところです。

話を戻します。

「段位を上げたいからランクマッチする」というだけでランクマッチの楽しみを結論とするのは、もうその時点で「生きる為に食べるんですよね味とか云々いう前に栄養とれれば」みたいな話に似て聞こえるという一群も居ます(私の個人的な考えではないですよ)。
それも極論だと思うかもしれませんが、別の一群からみれば効率化の話や「だって最終的には段位上げるんでしょ?ランクマッチってそういう意味(モード)でしょ?」という考えだけで括るのも極論に見えるんですね。

ランクマッチ内でも、様々な意見と価値観が存在することをまずご理解いただければ幸いです。これは事実客観性のあるデータとして意見要望が全世界から集まっていますので、私も認めざるをえません。

だから悩むわけです。

ランクマッチひとつとっても、「求められているもの」がそれぞれ違います。驚かれるかもしれませんが、まったくもってひとつではないです。目指してるものも違います。
無論udontekkenさんのようにとにかくランクを上げたい(効率良くもしくは面倒な事なしに)という方もいらっしゃいますし、実はランクは拘らないが本気で戦いたいであるとか、最高ランクにいけるとは更々思わないが、この段位から下がりたくない、というのが目的化して自身のなかで価値観として定着されている方もいます。

また、ランクマッチは腕試しなので、ゲーセンのように不特定多数の腕前も段位もファイティングスタイルも違う人とマッチングされるないし、乱入される/できる事、を自身の価値観として求めてこられる方もいます。
ここには書ききれないほどの多くの要望がそれぞれの環境や腕前ごとの世界中に存在します。

ではここで一度、udontekkenさんが開発設計者のリーダーとなって上記問題の解決を図るとしたらどうでしょうか。
ここからは例を挙げながらお話ししますので普段の立ち位置から一歩下がって広い視点で物事を想像してみてください。

上記のような様々なランクマッチやマッチング仕様そのものに対する要望を解決する際に、多くの人が

「それならばそれぞれの要望に応えれるだけのマッチングフィルターや検索オプションを作って入れれば良い」

という選択をとろうとします。
でも実はこれ、理論上プレイヤー全員にとって共通の不利益を生み出す方向に向うのです。
具体的な結果だけ言えば、「理論上は限りなくマッチングできなくなる」という現象に向かいます。

「効率化を求めるに違いない」というのも数ある価値観とプレイヤータイプのひとつでしかないですが、しかし確実にその一群は存在します。
では

「そのような一群の間だけでマッチングするようにすれば他には影響しない」

と考えるのはどうでしょうか?
いや、実はこれも現実には他の一群に大きく影響するのです。


こうした問題を扱う場合の例えとして、ランクマッチに集まるプレイヤー全体を学校のような一室に集った30名のひとつのクラスと過程します。

30名の個々それぞれがランクマッチに求める遊びの面白さ、価値観、それに基づく具体的な要望をある程度分類してグループを5つにわけたとします。ちなみにグループは均等に6名ずつになるとは限りません。

ある「グループA」は、上昇志向が大変高く常にトップを目指すグループで、実際に腕前もかなりのものです。
ランクマッチに求める機能として、自身の価値観と合致する人としか対戦したくないと思っているグループですが、グループには2名しかいません。しかも困ったことに、このグループAの2名は価値観こそあうものの、遊べる時間帯が夕方と深夜帯でわかれており、マッチングできないようです。

もう一群である「グループB」は、
Aと同じく上昇志向は強いが、マッチング条件に対しては待ち時間を最も無駄と考えており、待つぐらいならポイントが入らない相手とでも戦いたい、上手くなるには対戦回数が重要だと考えています。「グループA」とのマッチングも望んでいますが、「グループAから見た時のグループB」は段位条件が合わない部分があるので、できればマッチングしてほしくないグループのようです。
そしてこのグループBは5名の一群です。

次に「グループC」です。
グループCは仲間内でのプレイヤーマッチも遊びますが、仲間が同じ時間帯に居ない時はランクマッチで遊びます。グループCの一群にとってランクマッチは「ゲームセンター」のような感覚で、段位をの上下に緊張感をもったり、誰が乱入してくるかわからない、まさにゲーセン感覚を楽しみにしています。
その為、グループCは自身と同じぐらいのランクと競いたくもあり、時折現れるグループAのような上位者もしくは、自身とは価値観の違う勝率優先のファイティングスタイルのプレイヤーとの対戦も参考になるので心待ちにしています。
でもそれだけでは疲れるので、時折自身が連勝するという快感も得たいと考えています。
このグループCは8名います。

そしてグループDは、ランクマッチではあまり勝てないが、(以下略)


〜 というような感じで「AからEまで、クラスにそれぞれの一群」が居たとします。

上記の全グループが「納得、満足」するランクマッチないしマッチング方法を考えるというお題です。

この課題に対し開発者Aが

「そもそも求めてるものが違うんだから、ランクマッチなんてグループAだけにさせとけばいいんだよ。で、グループBとグループCなど、各グループにウケるそれぞれのオンラインマッチングのモードを用意すれば良い」

と提案し、
・完全同段位マッチングルールのモード
・3段位幅でマッチングするモード
・ゲーセンを仮想的にシミュレーションしたモード
・ランク基準が厳しくないゆるーいランクマッチ名付けてユルラン
・ランクの関係ないプレイヤーマッチ

などなど、複数のモードを用意しました。
しかしその結果、グループごとにモードを分けちゃったのでそもそも人が集まらずほとんど成立しないモードがあることが発覚しました。

次に別の開発者Bが

「モードはやはりひとつにして人は集めよう。だがマッチングをそれぞれの腕前に合わせ、多くの価値観に応えれるマッチング設定オプションを用意する!」

として、あらゆるマッチング設定オプションを用意しました。
しかしその結果、時間経過と共に各ランクごとの棲み分けが加速し、グループBの一部とグループCからは不満の声が上がり始めました。
加えて、全体的にマッチングにかかる時間が長くなる傾向になり、結果ひとつのモードに人は集めましたが、互いに混じり合う事なく最終的にはマッチングそのものが難しい事への不満が全体から上がるようになりました。

その状況を見た開発者Cは

「開発者Aも開発者Bも極端すぎる。単純に設定オプションに2ー3個の○○というものを加えればいいだけ」

と言い、実行したところ、グループAやグループEからの評判が非常に高く、また、グループAは少数ながらもネットコミュニティでの発言力に優れる上級者グループであったこともあり、一見するとこの解決策が正解であるよう見えました。
しかし実際には他のグループからは、マッチング時間やゲーセン感覚が薄れるとの不満や、カスタマーサポートに多くメールなどで寄せられるようになりました。ランクマッチは最終的には先鋭化、コア化する結果となり、賛否がわかれました。加えて不満層からは次回作の購入意欲にネガティブなアンケート結果が出ました。

そこで開発者Dは〜 (以下略)

という感じです。
さて、この問題、例えばudontekkenさんであればはどのように考え、解決しますか?という事ですが、これは答えを聞きたいわけではありません。

私が簡単に

「なるほどそうですね、ではその意見を反映します」

と言わず、どっちが良い悪いとも言わない、言えない、技術的には簡単だけど、簡単にYesと言わないその理由はこれでご理解いただけますよね。というところです。

単純に段位差表示するだけ、とおっしゃいますが、これも本当に全員にとってベストな仕様になり得ますでしょうか?
これ、このように一本引いて別視点で考えていただければわかりますが実はあるグループには弊害となる仕様ですよね。
また、情報を与えるオプションであっても、とある価値観をもつ一群の利用法で、他の一群からみれば「悪用」としかとれない使用法を誘発することになります。
また、他のタイトルとの比較も一概にはできません。
グループAに近い人ばかり集まるコアなタイトルもありますし、その逆もあります。
また、大きく国境を超えてひとつのものを売らなければいけないタイトルならではの難しさもあります。その意味で言うと、鉄拳は20年間コンスタントに途切れずアーケードと家庭用の両方に出せている稀有なタイトルであり、家庭用も結果論毎シリーズ300万本ぐらいは出ていて計4350万本と格闘ジャンルでは世界一のシェアです。
これだけを巻き込むというのは、つまり格闘ゲームというコアなジャンルの中でも、その中で多くの客層=価値観に応えてきたからという部分があります。
以前「フレーム表示をしてほしい」という意見がありましたが( http://www.twitlonger.com/show/n_1s09eql )、コアな意見に応えて作るのは簡単なんです。技術的にはなんら問題ないし開発環境では普通に実現されていることがほとんどです。
ですが、これだけの客層=価値観を抱えて長くやってこれたのは、コアの意見も大事にするが、実は声なき別の層とのバランスを考えるところに労力を費やしたからというのもあります。

たまに、

「とか言って面倒だから対応しないだけだろ(フレーム表示やマッチングオプション)」

とおっしゃる方がいますが。逆ですよ。
先の説明をより細かく言えば、フレーム表示なんか開発者用ソフトでは18年前からリアルタイムに表示させてますし、開発者環境ではマッチングオプションはびっくりするほど詳細にあります。
だから技術的には簡単です、だけど、「これを一般化する時にどう考えるか?」なんです。
なので繰り返しますがコアな要望の通り作る方がよっぽど「判断として簡単」なんですよ。だってあるんですから。
そこを、

「ちょっとまてよ、このグループ群の要望は他のグループ群にやまったく異なる要望をもつ一群をほんとうに阻害しないか?」

と、考えて仕様を組む事のほうがよっぽど大変。

なので

「段位の効率優先して何が悪いんですか 段位を上げたいからランクマッチするんですよね?」

と問われば、

「というグループもいらっしゃるので、その中では大正解、そのとおりなんです」

と、言えますし、私は「良し悪し」のところで困ってるわけではありません。という先ほどの説明を加える形になります。

そして別のグループは違う価値観を掲げて「でも僕ら求めるものも間違ってませんよね?」と言っている。
「面倒くささ」にも種類やそもそも違う価値観があります。

自身の環境と考え・価値観から見ると「こんなの当然だろう」「こんなのただ○○なだけなのに」と思う異なるは当然です。
しかしその時に少しだけ想像してみてほしいです、その見解とは全然違う「こんなの○○なだけなのに」が存在し、かつ最終的な利害関係を完全には断つことができないという事実があることを。

なので、わかって下さいよ〜、という話ではなく、ほら、私はudontekkenさんに「その考えは悪い」とか「効率化が悪」と言っているわけでもなく、全然違うところに悩みはあるんですよ、だからその意見に「なるほどそうですねOK!」と言わない(言えない)んですよ。という話です。

その「せめて○○だけあれば」が他の意見や要望を阻害しないか、コンフリクトをほんとうに起こさないか。それが私たちにとって問題なんです。そしてそれは最終的にコミュニティ全体に戻っていく大きな問題なんですよ。

以上が私の回答です。

RT @udontekken @take_lars
横から失礼します
段位の効率優先して何が悪いんですか 段位を上げたいからランクマッチするんですよね?せめて段差だけ表示してくれたらリストに拒否も問題にならず2段差で お互い面倒くさい思いせず済むだけなのに

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