こちらへの回答

https://twitter.com/nichigeckoh/status/1054003260820865031


なるほど「目にとまるのを待つ」というのは、一昔前の(今でもあるそうですが)モデルやらタレント志望の方が街でスカウト待つ、というのと同じようなものなので、その場合はかなり光るものつまり、誰が見ても「凄い武器もってるな」と思えるものが必要だと思います。

私が見てきた範囲(表向きにはグラサンの鉄拳P認識されていると思いますが、裏では真っ当にバンダイナムコの部長職を務めていますので実際には関わってきたタイトルは多く、開発からマーケ戦略まで関わっていますのであらゆるプロジェクトの事例は見ています。また新卒・中途採用面接官もよくやります)は家庭用&アーケードなので携帯電話向けゲームの事例はあまり知りませんが、Twitterで見つけた絵師にコンタクトしてお願い、とか青田買いみたいなのはケースとしてはレアな部類ですね(スマホアプリ開発事例では過去に例がありますが)。
SNSで「この人の絵なんかこの●●企画にぴったりじゃない?」と、SNSでたまたま出くわした絵師のプロフィールやPixivや発言を見てみたら、普通に色々絵のお仕事されているプロないしセミプロだった、なんてことは多く、であればしかるべきルートでお仕事依頼しましょう、という事例なら何度も目の当たりにはしています。
そりゃ当然人々の目にとまる絵を描かれる絵氏さんですから、既にどこかでお仕事されているという確立が高い、というだけの事例ですが。

あと売り込みの事例は多々あります。
「武器(個性ともいうべきか)は凄いが画力が・・・」というケースで大変失礼ながら一度断らせて頂いた絵師さんが、2~3年後に画力が妙にアップしていて、お仕事をお願いするようになったケースなどを多々見ていると、何歳になっても画力がアップする人はいらっしゃるのだな!と感心するというか「画力」というものへの認識が変わる事があります。
そういう方に聞くと、「正直、悔しかったし腹が立ったので猛烈に描いた」に近いコメントを頂く事が多いという印象です。

で、これは聞かずとも見えてくることですが、そういう絵師さんがどういう武器を身に着けたか?というところです。
上記例のような絵師さんは「猛烈に描いた」意外はあまり語りませんが、実際にはそれだけではないと思います。
猛烈に描き続ければうまくはなっても「武器」はなかなか見つからないと思います。

例えば、ある方は「欧米でウケそうな絵」に特化していました。本人曰くそういうのが好きだし、近年は欧米市場で売れているタイトルしか大規模なものは無いと知った事も影響したそうです。つまり、行きつく先をある程度意識して日々描かれていたのでしょう。

別の例では、「自分の武器ってなんだー!?」と悩みつつも猛烈に描いていたら、1枚を仕上げる「速度」が人の数倍速くなっていました。この業界でも当然「速い」人は重宝されますので、なるほど「速度」が武器は恐ろしい武器になるなあ、と感じた事例でした。

ゲーム業界の場合はやはり商業的な側面がありつつの「アート」です。ゲームそのものが売れる売れない、には、いわゆる流行り廃りやら、売れるタイミング、というようなマーケ戦略的な要素がかなり意味をもつ時代です。元気に絵が描ける残り時間と合わせて考えれば、ご自身が活躍できるようになるまでの必要日数と、活躍の場に立ってからの残り日数をなんとなくイメージした時に、辿り着きたいものが何であるか、どういう武器を戦略的に持っておくかはちょっと考えてもいいかもしれません(なんでもできる、なんでも描ける人は、こんなこと考えないで良いのでしょうが、そんな人はなかなか居ない)。

ちなみに私は学生時代、絵で食っていきたくて日々デッサンを描いたり、イラスト描いたりしていましたが、結局、営業で入社した直後に開発部門に移り、ゲーム開発やプロデュースに関わるようになりました。
私が入社2年目の時、まだ私も若かったので「CGは作れてもデッサン力あるデザイナー少ないな~」なんて偉そうな事言ってたんですが、その数か月後に「俺はほんと絵描きにならなくて良かった」と思う事が多々ありましたね。。。

ひとつは、画力もあるのに描く速度が自分の3~5倍のデザイナーが複数名居た事。仮に果物などの静物一つを同じデッサン力で描けるとしても、自分が1枚描いてる間にその人は次の果物にとりかかって、気付いたら数倍描き上げてるわけです。死ぬかと思いました。

もうひとつは、この人のクロッキー帳や原画を買い取りたい、思わず言ってしまったデザイナーさんが入社してきたこと。それまで、なんらか絵は自分で書いてればいいや、と思っていた自分が、お金出して買いたくなる(ちなみに実際1枚お金で買い取りました)絵を描く人が現れたのは結構ショックで、ほんと絵の道を選ばなくて良かったと清々しい気持ち(よくわからないけど)になりましたね。井の中の蛙大海を知る、というか、かくして私はそのような素晴らしいデザイナーさんに「これこれこんなコンセプトでこんな新キャラの元絵を描いて欲しいのです」と発注させて頂く立場になりました(ほんと絵描きとは違う、別の道を歩んで良かった、あのままでは私は自身の井の中の蛙っぷり、薄皮を日々一枚一枚剥かれていくように自身の内面と恥を晒していき、乾燥して死んでいたでしょう)。

個人的にはゲーム業界で絵を生業としていこうと目指している人、やっていけている人を尊敬しておると同時に応援しております。

長くなりましたが今は、ご自身の武器を是非みつけてください!としか言えない!!!


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RT @nichigeckoh: 原田さん いきなりすみません 私はゲーム業界にイラストと言う形でなんとか関われないだろうかと普段、ツイッターにこのような絵を描いて投稿し、目に止まるのを待っているのですがどうにも埒が明きません どうすれば仕事がもらえるようになりますでしょうか ぜひ教えて下さい…! https://t.co/AUujikBpEK

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