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22nd Sep 2018 from TwitLonger

英国の奴隷貿易廃止運動について ジョン・ニュートン氏の自伝より引用


《編訳者解説》

(前略)

 奴隷貿易の廃止には、当初クエーカー教徒の人たちが関わっていた。

1774年にはメソジスト教会の創始者であるジョン・ウェスリー (John Wesley: 1703-1791) も、
奴隷貿易廃止運動に加わったが、当時の国民の無関心は甚だしく、
1774年の議会での「奴隷貿易は神の法と人権に反するものである」との決議案も
ほとんど支持を得ることはできなかった。

 1787年、有志たちによって奴隷貿易廃止協会が設立され、
これに当時英国国会の下院議員であったウィリアム・ウィルバーフォース
(William Wilberforce: 1759-1833) も加わった。

ウィルバーフォースは奴隷貿易の実際の体験者であるジョン・ニュートンを相談役とし、
彼から資料を提供してもらった。

また、ニュートンは奴隷貿易の一証言者として
『アフリカ奴隷貿易についての考察』を発表した。

(中略)

ウィルバーフォースの運動には、西インド諸島の富裕な商人たちから、
英国ならびにその植民地に経済的な打撃を与えるものであるとの反対が唱えられた。

また、リヴァプールの商人たちは、地域の経済に重要な役割を果たしている奴隷貿易を
廃止しないようにとの請願書を国会に提出した。

このような状況下で、1789年、ウィルバーフォースは枢密院の調査報告なども引用し、
下院で奴隷貿易反対を訴える三時間半に及ぶ演説を行った。

こうして、1792年には下院が奴隷貿易の暫定的廃止を可決したが、
上院では否決された。

(中略)

いずれにせよ、反対派の巻き返しなど紆余曲折はあったものの、
最終的には1807年、きしくも、ニュートンが亡くなる年に、
英国国会の正式の手続きによって奴隷貿易廃止の法律が成立した。

(「アメージング・グレース物語」ゴスペルに秘められた元奴隷貿易商人の自伝 
ジョン・ニュートン[著] 中澤幸夫[編訳] p.228-229より引用 )

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