frroots

KOMIYA Tomone · @frroots

13th Sep 2018 from TwitLonger

終わり


なぜ「議論は終わり」なのか説明します。

私はJ発言のスクショを提示していた青識さんの当初のツイートを、「フェミニストはJ発言を批判すべき」という主張をしているものと理解しました。しかし私がスクショのJ発言を読むとそのようには読みづらかったので、「フェミニストはJ発言を批判すべきとは言えない」という主張とその根拠を示し、その上で青識さんに対して「フェミニストはJ発言を批判すべき」という主張を正当化するよう求めてきました。

端的には「再説」の(2)の冒頭に次にように書いてあります。

┌―――――
青識さんは、「フェミニストはこのツイートを批判すべき」と主張されていました。この主張を青識さんが維持するためには、ご自身のツイート理解が、(1)で説明した私の理解の成立を難しくする程度に強い説得力をもつことを示していただく必要があります。

なぜなら、他の理解が合理的に成立するのであれば、フェミニストがなぜ他の理解ではなく青識理解を採用すべきなのかの説明がない限り、青識さんが自分の理解にもとづいて「フェミニストはこれを批判すべき」と言うことはできなくなるからです。

そして青識さんはこれまで、フェミニストがなぜ他の理解ではなく青識理解を採用すべきなのかについて説明をしたことはありません。
http://www.twitlonger.com/show/n_1sqlclu
└―――――

私は最後の最後までどのような根拠で「フェミニストは青識理解を採用すべき」と青識さんが主張されているのかわからなかったので繰り返し尋ねていたのですが、最終的に次のようなステップでお答えが得られたと思っています。

まずこれ。

┌―――――
私は小宮先生の解釈が誤りであるとは主張していませんが。それは私の解釈とは異なる、一つの解釈としては成立するかもしれない。しかし、問題は、その解釈が成立するとして、だからなんなんだ、と聞いています。
https://twitter.com/dokuninjin_blue/status/1039871581386825728
└―――――

ここからは、青識さんがご自分の解釈について「私(小宮)の理解の成立を難しくする程度に強い説得力をもつことを示」す必要がない、と考えていることがわかります。だとしたらなぜ「フェミニストは(青識解釈のもとで)J発言を批判すべき」ということになるのでしょうか。再度お尋ねして返ってきた答えはこれでした。

┌―――――
ええ。私は、フェミニストの倫理では、差別性を見出しうるある任意の解釈があれば、批判可能なのだと思っていたので、「性の二重規範に基づくマッチョイズムに基づく発言」と解釈可能なJ発言を批判しました。しかし、フェミニストが「最善の相」に基づく批判しかできない、とするなら別の話です。
https://twitter.com/dokuninjin_blue/status/1039873702622445569
└―――――

ここで言われていることは、私には次のように読めたので確認を求めました。

┌―――――
・フェミニストは他者の発言を批判するときに、他の合理的な解釈があってもフェミニスト解釈に従うことを他者に要求してきた。従って青識さんもJ発言に対して、他の合理的な解釈があっても青識解釈に従うようフェミニストに要求した

ということですか
https://twitter.com/frroots/status/1039877364904165376
└―――――

「他者」という言葉が重なっててわかりづらくなっていますが、要するに「フェミニストはAさんの発言を批判するとき、その発言について他の合理的な解釈があっても自分の解釈でBさんCさん…に『あれを批判せよ』と要求するではないか。同じことをしたのだ」ということです。
いくつかの確認を経て、上の内容は次のようになります。

┌―――――
・フェミニストはこういう議論の仕方で他者の発言を批判しているようだ。この議論の仕方が良いか悪いかはわからないが、自分も使ってみよう。それに対してフェミニストがどう反応するか見てみよう。

ということですか。
https://twitter.com/frroots/status/1039888055774179328
└―――――

そして、この確認の求めに「Yes」という返答が得られたと私は思います。

┌―――――
同じ批判の方法で批判をし、その正当性を問うているという意味ではそうです。
https://twitter.com/dokuninjin_blue/status/1039892357817163776
└―――――

したがってまとめるとこうです。

┌―――――
(小)「小宮が理解する現在の状況S(批判対象の発言に複数の合理的な解釈がある)では主張C(「他人も自分の解釈のもとで対象を批判すべき」)は成り立たないから、主張Cをするならそれを正当化する根拠を示せ」
(青)「状況Sで主張Cをすることはフェミニストがやっている議論であり、私は同じことをしてその議論の正当性を問うたのだ」
└―――――

ここで青識さんは「主張Cを正当化する」ことが自分の目的ではなかったことをあきらかにしました。青識さんは、「主張Cを正当化する」ことではなく「状況Sで主張Cをするフェミニストの議論(と同型と青識さんが考える議論)は正当かどうかを問う」ことをしていた、と言っているわけです。しかもその議論について青識さん自身は「明確な価値判断をしたことはない」ということなので、「フェミニストの議論は不当だ」と主張しているわけでもなく、あるのは問いだけで、正当化の対象となる自分の主張などはなかったということになります。

私がずっとしてきたのは「主張Cは妥当であるとは言えない」という主張であり「妥当だと言えるかどうか」が争点だと思っていましたから、青識さんが主張Cの正当化にコミットしていないのであれば、私があると思っていた「争点」は実は存在していなかったということになり、私が次に言うべきこともありません。

したがって「議論は終わり」です。
説明は以上です。

--- --- ---

ところで、青識さんの最初の発言はこうでした。

┌―――――
興味深い主張なので思わずキャプチャしてしまいました。このような言説が少なくともフェミニストの陣営から批判されず、単純に受容される限りにおいては、HeForSheは正義構想として不成立であると考えざるをえません。
https://twitter.com/dokuninjin_blue/status/1036096409244594176
└―――――

そして最後にわかったのは、この最初の発言は、実はこういう「実験」だったということでした。

┌―――――
「フェミニストはこのような言説を批判すべき」(と、この状況で主張することはフェミニストの議論と同型のはずだから、この主張をしてみてそれにどんな反応が返ってくるかを見ることでこのような議論の正当性を問おう)
└―――――

もはや争点がないので言うことはないのですが、私の感想は「『反応を見るための釣りでした』のような指し手をは、いついかなる状況でも議論から離脱するために使えますよね」です。後の評価は第三者にゆだねます。

--- --- ---

最後に。

もし本当にフェミニストの議論に疑問があるなら、「フェミニストはこういう議論をしているが、それは正当なのだろうか」という問いかけを素直にしたらいいのに、と私は思います。あるいはおそらく正当ではないとお考えなのでしょうから、その正当でなさがより多くの人に伝わるよう、説得的に「論を立てる」ことをしたらいいのに、と思います。

今回についても、私の議論にはいくつか穴があったので、青識さんが論を立てる努力をして粘っていたら、「フェミニストはこれを批判すべき/批判すべきとは言えない」と言うときの「フェミニスト」って誰で、そもそもフェミニズムってどういうものなのかという議論に進む筋道もあっただろうと思います。今となってはわかりませんが、青識さんはそういう話がしたかったのではなかったのでしょうか(もちろんそのときには、フェミニズム内の差異、個々のフェミニストの見解の違い、批判対象の事例ごとの性格の違いなどを丁寧に腑分けする必要があるので、今回のような調子では1年かかっても終わりませんが)。

もしそうなら、自分の主張をしてそれを正当化する責任をできるだけ引き受けようとすることを青識さんが避けた結果、結局本質的な問題を「議論」することからは逆に遠ざかったということなんじゃないかなと私には思えます。むろんその責任を引き受けることは自分が間違える可能性を高めることになるわけですが、議論で間違えたり主張を撤回したりするのってそんなに恥ずかしいことではないので、もうちょっと「自分の主張の正当化」につとめる(「Xだと思うのですが」「Xではないんですか」と言う代わりに「Xだと思います。なぜなら○○だからです」と自分から言う、ツリーを作って「筋」を示そうとする、こちらには引用RTにも@入れることを要求するのに自分は@入れるツイートと入れないツイートを分けたりしない、等々)をしてくれてたら結果も違ってたかもなと思います。

けれどまあ青識さんとしては別に「正当化したい自分の主張」があったわけではなく、「反応を見る」ことができればそれでよかったということなのであれば、目的は達せられたのでしょうかね。

お疲れさまでした。

Reply · Report Post