森長官が推し進める地銀再編と地方創生


1990年代までの地銀は、
地元の中小企業への貸出を中心に、
大企業などにも貸出を行い、
これを収益構造の中核としてきた。

そうして、2000年代になると、
個人顧客への住宅ローンなどのリテールビジネスにシフトし、
さらに投信・保険などをすることによって、
減少する法人顧客ビジネスを補ってきた。

そうしながら、
金融庁が導入した「金融検査マニュアル」に沿って不良債権を処理し、
バランスシートの改善に力を入れてきた。

つまり、地銀は
本来の役割である地域金融の担い手としての役割を、
ほぼ放棄してきたといっていい。

地域の中小企業に融資して
共に成長していくことを忘れてしまったのだ。

森長官は次々に新しい指針を打ち出し、
それに基づいて地銀の再評価を始めた。

「地銀の取引先企業に取引内容のヒヤリングを行う」
「地銀の貸出金金利の収益分析をする」
「経費率や自己資本比率ではなく、
 地方創生の貢献度合いを示すベンチマークを策定する」

などである。

この流れは、安倍内閣がアベノミクスの一つの柱としている
「地方創生」政策の金融版と考えられる。

(中略)

地銀は再び地域と共に歩まねばならない。

そういう金融庁の指導の下に、
現在、地銀は中小企業向けのファンドを創設したり、
企業同士の仲介をしたり、
さらには自治体との間に「連携協定」を結ぶようになった。

(「地方創生の罠」著・山田順 イースト新書  p.207-208 )

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