
sheltem · @sheltem_at_twit
22nd Jun 2018 from TwitLonger
外国人労働者に対する社会保障制度 ( 健保、公的年金共に国籍条項なし )
(3) 外国人労働者に対する社会保障制度
ア 公的医療保険
健康保険法は
健康保険が適用される被保険者については、
「適用事業所に使用される者」等と定めており、
国籍は問われてない。
また、健康保険等の被用者保険の被保険者とならない者は、
原則として国民健康保険の被保険者となるが、
国民健康保険法においても
被保険者の国籍は問われてない。
したがって、外国人労働者は、
日本人労働者と同じく
健康保険等の公的医療保険が適用される。
イ 国民年金
国民年金法は、原則として、被保険者の資格を
日本国内に住所を有する 20 歳以上60 歳未満の者
(厚生年金等の被保険者又はその被扶養配偶者を除く。)としており、
日本国内に住所を有する者であれば被保険者となり、
国籍は問われてない。
したがって、外国人労働者も、
日本人と同じく
国民年金制度に加入することとなる。
しかし、老齢基礎年金の給付を受けるためには、
原則として 25 年間
国民年金制度に加入する必要があるため、
外国人労働者が
老齢基礎年金の受給権を取得することなく
帰国することがほとんどであると想定され、
外国人労働者が納付する年金保険料は
掛け捨てになるのではないかと問題にされた。
そのため、政府は、
平成7年から「脱退一時金」制度を実施することとし、
保険料納付済期間が6月以上ある外国人労働者等に対して
保険料を一部還付することとした。
脱退一時金の受給資格要件として、
① 日本国内に住所を有していないこと。
② 障害基礎年金などの障害給付の受給権を有したことがないこと。
③ 最後に被保険者資格を喪失した日
(その日に日本国内に住所を有している場合は
日本国内に住所を有しなくなった日)から2年以内であること。
としており、
これらの受給資格要件を
全て満たす者から請求があった場合は、
被保険者期間に応じて
以下の額が支給される。
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被保険者期間 支給額(平成 19 年度)
---------------------------------------------------------
6月以上 12 月未満 42,300 円
12 月以上 18 月未満 84,600 円
18 月以上 24 月未満 126,900 円
24 月以上 30 月未満 169,200 円
30 月以上 36 月未満 211,500 円
36 月以上 253,800 円
---------------------------------------------------------
ウ 厚生年金
厚生年金保険法においても
原則として、被保険者の資格を
厚生年金の適用事業所に使用される者としており、
国籍は問われてない。
したがって、
厚生年金の適用事業所に使用される外国人労働者は
日本人労働者と同じく
厚生年金保険制度に加入することとなる。
また、国民年金と同じく、
外国人労働者の厚生年金保険料の
掛け捨ての問題があるため、
厚生年金保険料の納付月数が
6月以上ある外国人労働者に対して
脱退一時金を支給することとした。
受給資格要件は国民年金と同じであり、
支給額は以下のとおりである。
なお、保険料率とは、
外国人労働者が厚生年金の被保険者であった
最後の月の前年の 10 月
(最後の月が1月~8月の場合は前々年の 10 月)
における保険料率である。
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被保険者期間 支給額
---------------------------------------------------------
6月以上 12 月未満 平均標準報酬月額×保険料率×0.5×6
12 月以上 18 月未満 平均標準報酬月額×保険料率×0.5×12
18 月以上 24 月未満 平均標準報酬月額×保険料率×0.5×18
24 月以上 30 月未満 平均標準報酬月額×保険料率×0.5×24
30 月以上 36 月未満 平均標準報酬月額×保険料率×0.5×30
36 月以上 平均標準報酬月額×保険料率×0.5×36
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エ 労働者災害補償保険及び雇用保険
労働者災害補償保険法は、
労働者災害補償保険が適用される事業所について、
事業所に使用される労働者の国籍を問題にしていない。
これは雇用保険の適用事業についても同じである。
したがって、
適用事業所に使用される外国人労働者については、
日本人労働者と同じく
労働者災害補償保険
及び雇用保険が適用される。
オ 社会保障協定
日本と諸外国との間の
国際的な人的交流が活発になるに従い、
海外から日本国内にある支店や駐在員事務所などに
派遣される外国人労働者、あるいは、
日本から海外にある支店や駐在員事務所などに派遣される日本人労働者が
増加する傾向がある。
このような労働者にとっては、
社会保障について
以下のような問題点が
指摘されるようになった。
・ 日本と派遣先の国
あるいは母国と日本の両国の社会保険制度に加入して
保険料を負担しなければならない場合がある(二重加入の問題)
・ 派遣期間は一般的に数年程度であるため、
年金制度については、加入した期間が短いため、
年金給付が受けられない場合がある(保険料掛け捨ての問題)
これらの問題を解決するため、
二国間で社会保障協定を締結することが進められている。
社会保障協定の内容は以下のとおりである。
・ 二重加入防止のため、
社会保険制度の取扱いに関しては、
就労地国か母国のいずれかにのみ
加入すればよいものとすること
・ 保険料掛け捨ての問題については、
一方の国の年金制度の加入期間のみでは、
受給資格を満たさない場合に、
他方の国の年金制度の加入期間も
一方の国の加入期間とみなし、
受給資格期間を通算することにより、
年金を受けられるようにすること
(ただし、英国及び韓国との社会保障協定には
年金加入期間の通算措置は盛り込まれていない。)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Shiryo/houmu_200801.pdf/$File/houmu_200801.pdf