★あっさり下火になった中東で起きたふたつのデモが示すことー(天木直人氏)

 きょう1月6日の各紙が、中東で起きた二つのデモが、

あっさり下火になったと報じている。

 しかし、その意味するところろはまったく異なる。

 そしてどちらも深刻な意味を持つ。

 ひとつはイランで起きた反政府デモだ。

 米国とイスラエルが仕掛けたデモであるから、

イラン政府が本気で鎮圧に乗り出せば収束しないはずがない。

 もちろん、米国、イスラエルのが仕掛けたという証拠はない。

 しかし、イランのハメネイが、名指しこそしないが、

外交勢力の資金と人員と情報操作で作られたものであると喝破し、

それを聞いたトランプが、それを陰謀論だと一蹴した時点で勝負があった。

 おまけに米国は国連安保理を緊急招集して、

イラン政府の介入をやめさせようとしている。

 こんなことをするようでは正体をばらしたようなものだ。

 いまや中東で唯一の脅威となり、

北朝鮮と同様に核兵器と弾道ミサイルを持とうとしてるイランのシーア派政権を、

何としてでもトランプは倒そうとしているのだ。

 もうひとつの下火になったデモは、

トランプがエルサレムをイスラエルの首都にすると宣言した事に反発して起きた

パテスチナ人のデモである。

 このデモは、米国の傀儡であるアバス率いるパレスチナ自治政府の支援がないまま、

下火になるのは目に見えていた。

 アッバスは表向きには怒って見せたものの本気で米国、イスラエルと

戦う気などない。

 その結果、パレスチナではインティファーダ(反イスラエル人民蜂起)は

起こらず、和平プロセスは進まず、イスラエルの入植という違法占領は

ますます既成事実化され、二国家並存どころか、パレスチナ国家の可能性が

今度こそ消滅する。

 イランといい、パレスチナといい、

イスラエルが主導し、米国が後押しする不正義が中東でまかり通っている。

 その不正義に抵抗する国はいまやイランだけだ。

 そしてイランはこのまま黙って引き下がることはない。

 中東で起きた二つのデモの下火が意味するもの、

それは、本当の危機は北朝鮮よりも中東にあるということである。 

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