★たしかな野党共闘確立を妨害する本尊はCIAー(植草一秀氏)

民主主義の社会において常に気をつけておかねばならないのは、権力の暴走である。

権力の暴走を防ぐために憲法が定められている。

いかなる権力であろうとも、憲法の前には従順でなければならない。

日本国憲法は第99条に次の条文を置いている。

第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、
この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

憲法尊重擁護義務を国務大臣、国会議員に課している。

憲法は政治権力の暴走を防ぐ最大の砦である。この考え方が立憲主義である。

そして、もう一つの権力暴走を防ぐ手段が権力の分立である。

特定の者に権力が集中しないようにする。

権力は相互に牽制し、権力の突出を防ぐ。このように考えられているが、

安倍政治はこの根本を破壊している。憲法の砦も横暴に破壊している。

日本国憲法が禁止してきた集団的自衛権の行使を安倍首相は勝手に容認した。

本来は憲法改定の手続きが必要であるが、憲法を改定せずに、

憲法の解釈を勝手に変えた。言語道断と言うほかない。

そして、安倍首相は憲法に定められた人事権を濫用して、

行政府のみならず、立法府および司法府をも支配してしまっている。

さらに第四の権力と言われるメディアも、

NHKの人事権を濫用することにより、支配してしまっている。

権力の集中=安倍独裁が強まっている。

この事態を是正する唯一にして最大の方策は、

国政選挙で安倍政権与党を敗北させることだ。

選挙に勝って政権を樹立する。

このことによってしか、現状を打破することはできないだろう。

逆に、選挙に勝ち、政権を樹立しさえすれば状況を抜本的に転換できるはずだ。

日本国憲法の構造上、行政権力=内閣の権能が突出している。

議院内閣制では議会多数派の代表が内閣総理大臣に就任して内閣を作る。

内閣総理大臣は行政権の長でありながら、立法府を支配し得る立場に立つ。

また、最高裁長官ならびに判事の人事権を内閣が持つ。

下級裁判所の人事を直接担うのは最高裁事務総局だが、

最終的な決裁権限は内閣にある。

さらに、NHKの最高意思決定機関である経営委員会のメンバーである

経営委員の人事権も内閣総理大臣が握る。

つまり、制度的に内閣総理大臣には突出した権能が付与されている。

したがって、政治状況を刷新するには、国政選挙、とりわけ衆院総選挙に勝利して、

政権を樹立することが何よりも重要になる。


2018年の年頭にあたり、日本政治刷新の方策を改めて確認しておく必要がある。

現在の日本では小選挙区制を軸に衆院総選挙が実施される。

このことを踏まえて、衆院総選挙で過半数議席を確保して、

政権を樹立する方策を考えなければならない。

目的が不明確な行動は効率が悪い。

日本政治を刷新するには、どうしても、選挙に勝利して政権を刷新することが

必要なのだ。2014年12月、2017年10月の衆院総選挙で、

自公が得た投票はいずれも24.6%(比例代表、全有権者のなかでの投票比率)

だった。主権者の4人に1人しか自公に投票していない。

しかし、いずれの選挙でも議席総数の3分の2以上の議席を獲得した。

議席は圧倒的多数だが、国民支持は4分の1に過ぎない。これが実態である。

選挙で自公以外に投票した主権者は、

2014年12月も、2017年10月も、自公に投票した者を上回る。

しかし、非自公勢力は3分の1の議席をも獲得できなかった。

理由は単純明快で、自公が候補者を一人に絞り込んだのに、

非自公が候補者を乱立させて、自公候補が漁夫の利を得たのである。

このことを踏まえれば、何をするべきかが明白になる。

すなわち、非自公勢力が候補者を一本化することが重要ということだ。

そこで浮かび上がる次の問題は、どのような野党勢力の結集を図るのかである。

実は、この部分が一番大事で一番難しい。

「数の論理」だけで考えれば、

「とにかく、非自公が一つにまとまればいい」ということになる。

非自公勢力に投票した主権者の方が多いのだから、

この勢力が一つにまとまれば、自公に勝てる。

算術的にはそうなるが、現実はそれほど単純ではない。

非自公と言っても千差万別で、政見・政策が自公と同一の勢力も存在する。


非自公が結集しても、政見・政策がバラバラでは主権者は支持し得ない。

政見・政策が不一致の勢力は野合集団でしかなく、

政見・政策の一致を求める主権者は離散するだろう。

このことを踏まえると、ただ単に非自公が結集すればよいというのは

正しい戦術にはならないだろう。

小選挙区制度が機能を発揮するには、二大勢力が競い合う状況が必要である。

現在の日本において、どのような二大勢力体制が求められているのか。

ここを考える必要がある。

二つの考え方がある。

一つは、自公と、自公と類似した勢力による二大勢力体制である。

保守的な政治勢力が二つ存在し、この二つの勢力が政権交代を繰り返す。

政権は変わるが、基本政策は大きく変化しない。

もう一つの考え方は、自公と自公に対峙する勢力による二大勢力体制だ。

とりわけ、憲法・戦争、原発、消費税・格差についての政見と政策が

対峙する二つの勢力が競い合う。

政権交代が生じれば基本政策の大きな転換が実現する。

言ってみれば、保保二大勢力体制と保革二大勢力体制のいずれが、

日本の現実に適合するのかを考える必要があるということだ。

主要な政策課題に対する主権者の意思の賦存状況を踏まえると、

望ましい二大勢力体制は、自公勢力と自公対峙勢力によるものである。

憲法・戦争、原発、消費税・格差について、対峙する二つの政見・政策がある。

これを軸に二つの陣営に分かれて、選挙を戦う。

この構図を構築することが重要であると考える。

対立する政権と政策という面では、これまでの民進党がすべての混乱の根源だった。

民進党内に、自公と政見と政策を共有する勢力と、

自公と対峙する政見と政策を保持する勢力が同居してきた。

このために、保革の対立が不鮮明になってきたのだ。

2018年に政治刷新を本格始動させるには、

単純に非自公勢力の結集を求めるのではなく、

政策を基軸にして、自公と対峙する政見と政策を共有する勢力の大同団結を

目指すべきである。これが日本政治刷新への近道であると確信する。


主権者国民にとって、喫緊で極めて重要な政策課題が横たわっている。

日本を「戦争をする国」に変えてしまうのかどうか。

原発を推進するのかどうか。

消費税増税・格差拡大をさらに推進するのかどうか。

いずれも、極めて重大な国政上の問題である。

この主要政策課題について、安倍自公政権は、日本を「戦争をする国」に変質させ、

原発稼働を全面推進し、消費税大増税と格差拡大推進の方針を明示している。

これに賛同する主権者もいるだろう。

それはそれで主権者各個人の判断に委ねられる問題だ。

しかし、その一方に、正反対の意思を持つ主権者が多数存在する。

日本を「戦争をする国」に変質させることを許さない、原発を廃止する、

消費税増税を中止し、消費税を減税し、格差を是正することを求める主権者が

多数存在する。

こうした政見・政策を有する政治勢力と主権者が連帯して大同団結すること。

これが求められていることだ。その際に、いつも浮上するのが、共産党問題だ。

一部の政党から、共産党との共闘に後ろ向きの見解が表出される。

その見識を疑わざるを得ない。

自公に対峙する勢力が二分されれば、小選挙区制度下の選挙では

自公が圧倒的に有利になる。分かり切ったことである。

2017年10月の選挙で、立憲民主党が多数の議席を獲得したが、

その最大の功労者が誰であったのか。答えは明白だ。

共産党が候補者を取り下げて、立憲民主党候補者を支援したからこそ、

立憲民主党の候補者が多数当選できたのである。

これは、一部の無所属立候補者にも当てはまる。

共産党が候補者を擁立せず、無所属候補の支援に回ったから

当選できた無所属候補が少なからず存在する。

共産党はこの協力を実施した余波で、比例代表選挙の得票を減らし、

有為の人材の落選という憂き目に遭遇してしまった。

それでも、野党共闘により立憲民主党が議席を多数獲得したことを肯定しているのだ。


このような経緯がありながら、立憲民主党の枝野幸男氏がより広い連帯、

大同団結の方向に進まないのは間違っている。

枝野幸男氏が草の根民主主義を唱えるなら、多くの主権者が草の根から、

枝野幸男氏に対して、狭隘なセクショナリズムを排除すべきとの声を

発するべきである。小選挙区制度下の選挙では、この種の内輪もめ、

セクショナリズムが最大の罪悪なのである。

小異を残して大同につく精神がなければ、

主権者の意思を国政に反映させることができない。

立憲民主党が自公と政策をほぼ完全に共有する希望などの勢力と

同調しないことは高く評価できる。

これまでの民主党、民進党の最大の害悪は、二つの政党の同居状態にあった。

水と油が同居しても、絶対に融合しない。

主権者から見れば、政見・政策が不一致の勢力が単一政党を名乗る、

有害な存在でしかなかった。

その民進党が紆余曲折を経て、ようやく分離・分割し始めた。

このことは歓迎するべきことである。

ところが、その立憲民主党が共産党との間に衝立を立てることは有害無益である。

立憲民主党の背後に連合という組織が存在し、

この連合が共産党との共闘を拒絶しているのだと見られる。

このようなセクショナリズムに走る存在が、

主権者、消費者、労働者、生活者、市民の利益を損ねる最大の元凶なのだ。


共産党も政見・政策を共有する者による連帯、大同団結を重視する方針を

より明確に示すべきだろう。

「共産党」という党名に対してアレルギー反応を示す者が多いのなら、

党名を変更する程度の度量の広さを備えてもよいと思われる。

いずれにせよ、政見・政策を共有する政治勢力と主権者が

「小異を残して大同団結する」ことなくして、

現在の政治状況を刷新することは不可能である。

このことが明確になるなかで、

立憲民主党が自公対峙勢力の大同団結、連帯を拒む行動を取り続けるなら、

この勢力が新たな「工作勢力」であることを疑わざるを得なくなる。

共産党を排除するべき合理的な根拠が存在しない。

何よりも重要なことは基本政策なのだ。

その基本政策・政見を共有できるにもかかわらず、

大同団結、連帯を拒むのは、何か特別な目的があるとしか考えようがないのである。

連合は同盟と総評が合体してできた経緯があるが、

同盟は民社党の支持母体として活動してきた労働組合連合である。

その民社党は、日本の左傾化を防ぐ防波堤の役割を担って、

CIAによって創設された政党なのである。


安倍自公の政策路線に対峙する主権者と政治勢力が大同団結、連帯すれば、

政権交代を実現することは時間の問題になる。

このことを極度に警戒している勢力が存在する。言うまでもない。

日本の支配者=米国である。

より正確に言えば、米国を支配している支配勢力である。

安倍自公に対峙する勢力が大同団結=連帯して、

日本政治を刷新してしまうことを絶対に阻止しようとする勢力=米国の支配勢力は、

その目的を達成するために、立憲民主党に対して徹底的な工作活動を

展開しているはずである。

同時に連合に対しても強力な働きかけをしていることは間違いない。

だからこそ、その「工作」を跳ね返すことが必要なのだ。

敵は「目的のためには手段を選ばない」勢力である。

ありとあらゆる工作活動が展開されていると推察される。

日本の主権者国民は、このような現実を洞察し、

その上で、政策を基軸にした大同団結=連帯を必ず成立させなければならない。

それに成功するなら、政権刷新は時間の問題になる。

進路ははっきりと見えている。

あとは、あらゆる妨害工作を乗り越えて、この道を進み切るだけである。

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