(孫崎享氏)★新年に思う。今次第に日本は戦争をする国への準備。
日米開戦で死者310万人余だし、責任をだれが問ったか。
今北朝鮮攻撃辞さず、敵基地攻撃を主張する人々は、
北朝鮮の報復攻撃をどう位置付けているのか。復活する無責任体制

1:先の戦争で多大な被害を出したが当時の責任者の誰が日本国民に謝罪したか

山川出版社の『詳説日本史』には次の記述がある。

「空襲での被害は家屋の全焼が約221万戸、死者約26万人に達し、

主要な生産施設が破壊されました」

「沖縄戦では日本軍の戦死者は5万5000名に達し、

一般市民も10万人以上が戦没した」

更に『資料太平洋戦争被害調査報告』(中村隆英編東大出版)は

次のように記述している。

「太平洋戦争における死者は厚生省の発表によると310万人余
(内軍人軍属230万人、沖縄住民を含む在外邦人30万人、
内地での戦災死亡者50万人)と考えられている。」

確かに東京裁判があった。しかしこれは戦勝国が敗戦国を裁いたものである。

では戦争開始の責任者が甚大な被害を与えたことに謝罪をしたのか。

責任をとったのか。

2:今無責任にまた軍事攻撃が当然だという声が出始めている。

 北朝鮮に対して、「軍事攻撃も辞さず」との空気が次第に強くなっている。

 北朝鮮の核兵器開発やミサイル開発の脅威が国際社会において

真剣に討議されたのは今が初めてではない。

1993年5月北朝鮮はノドンミサイルの発射実験を行い、

この時米国内で、北朝鮮への軍事攻撃が検討された。

北朝鮮のミサイル、核開発を放置すれば将来国際社会に深刻な脅威を与える、

従って今の内に潰しておこうというものである。

十分に合理性のある論である。

それが何故、実施されなかったか。

米国・韓国の北朝鮮への軍事攻撃があれば、

ソウルが文字通り火の海になることが懸念された。

ソウルの中心部から北朝鮮との軍事境界線までの距離は約30キロ、

長距離ロケット砲の射程圏内である。

今回北朝鮮への軍事行動がとられた場合、日本への報復攻撃が十分に想定される。

北朝鮮への軍事攻撃を主張する人々は「日本への攻撃の可能性」を

どの様に評価しているのか。

3:この関係で「敵基地攻撃」論が述べられ始めた。

この際の「敵」は北朝鮮である。

北朝鮮の「基地」は日本へのミサイルが配備されている基地への攻撃であろう。

今少なくとも200-300発日本を射程に収められるノドンが

配備されていると推定されている。

ノドンは山岳地帯に隠されて配備されたり移動式である。

この内何発のノドンを「敵基地攻撃」で破壊できるというのだ。

よくって数発だ。日本側から攻撃すれば当然北朝鮮は反撃してくる。

その被害を一体どう考えているのだ。

日本への被害に目をつぶり第二次大戦に突入していったと同じ思想で

北朝鮮に対応しようとしているのでないか。

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