★安倍政治対峙勢力大同団結して政治刷新実現ー(植草一秀氏)

民進党の大塚耕平代表が12月17日、三重県の津市で講演し、

「「あいつと一緒になるのがイヤだ」とか、

また衆院の中で議論が行われているんです。もう勘弁してほしい。」

と述べたと報じられている。

他方、立憲民主党の枝野幸男代表は、同じ17日、さいたま市内での支援者集会で

「どこかの党から呼びかけられて、党と党の協議で会派や新党を作ることは

全く考えていない」

と述べたと伝えられている。

さらに枝野氏は、

「従来の民進党の中に二つの違う考え方が混在していた。

それぞれ独立し、協力できるところは協力する道が理解を得やすい」

と強調したという。

世論調査の政党支持率では希望の党と民進党の支持率は1%程度である。

立憲民主党が二桁の支持率を得ているのと対照的である。

政党は仲良しクラブではないのである。

枝野氏が「従来の民進党の中に二つの違う考え方が混在していた」と述べたのは

正しい認識を示している。

政党は主権者に成り代わって、主権者が求める政策、政治を

実現するための存在である。

その政党内に、相反する二つの主張が混在していたのでは、

主権者はこの政党を支持しようがない。


私は、かねてより民主党、民進党の分離・分割を提唱してきた。

その理由は、この政党の中に

「二つの違う考え方が混在していた」

からである。

その相違が軽微なものであるなら重大視する必要はない。

しかし、主要な政治課題についての根本的な路線の相違であるなら、

それを軽視することは許されない。

政党の基本に関わる根本事項であるからだ。

主権者国民にとってもっとも重要な政治課題は

生活

戦争

原発

ということになる。

これ以外に、

食料・食の安全

米軍基地

の問題も重要である。


旧民主党、民進党に、

「二つの違う考え方が混在していた」

というのは、

消費税増税推進、戦争法制容認、原発推進、TPP推進、辺野古米軍基地建設容認

の考え方を有する勢力と、

消費税増税反対、戦争法制阻止、原発稼働反対、TPP反対、

辺野古米軍基地建設反対の考え方を有する勢力が混在していたことを意味する。

まさに国論を二分する主要な政治課題についての基本路線が真逆なのである。

この二つの勢力がひとつの政党に同居することは、根本的な矛盾である。

「あいつと一緒になるのがイヤだ」とかいうレベルの問題ではない。

基本的な政策路線が異なる者が一つの政党に同居することが間違っているのだ。

大塚氏は、議会で民進、希望、立憲が同一会派を形成することを提唱しているが、

これは単に、元の民進党に戻るということではないか。

最終的に民進と希望が合流することを前提に、

大義名分を成り立たせるために立憲にも声をかけているだけに過ぎないと見られる。

年内に民進党を完全分離・分割して、分かりやすいかたちで新年を迎えるべきだ。

その際に、政党交付金を議員数で按分して分割することを抜いてはならない。

一連の行動は、突き詰めると、自公補完勢力が、

民進党が抱える70億円の政党交付金を丸ごと強奪するためのプロセスに

過ぎないように見える。

主権者無視のこうした暴挙を主権者は許してはならないと思う。


日本の既得権勢力は、現在の安倍自公政治に正面から対峙する勢力が

結集することを何よりも恐れている。

なぜなら、その体制が構築されれば、

再び2009年のような政権交代が実現してしまう可能性が極めて高いからである。

2009年に樹立された鳩山由紀夫政権は、日本政治の基本路線を根底から

刷新しようとした。

米国が支配する日本

官僚が支配する日本

大資本が支配する日本



主権者国民が支配する日本

に刷新しようとした。

そこで、彼らは、民主党内の「隠れ与党勢力」を総動員して、

鳩山政権を破壊したのである。

同時に、鳩山政権のイメージを悪くする「印象操作」=「イメージコントロール」を

徹底して実行して現在に至っている。


安倍自公政治に正面から対峙する勢力が結集すれば、

再び、同じことが繰り返される可能性が極めて高い。

現に、10月22日の衆院総選挙でも、

自公と反自公が正面から対峙して選挙戦が行われた北海道、新潟、沖縄の道県では、

自公と反自公がほぼ同数の議席を獲得した。

この戦いの図式がオールジャパンに広がれば、政権交代実現は時間の問題になる。

米・官・業の支配勢力は、この悪夢を現実にしないために、力を注いでいる。

二つの対応が中心に置かれている。

第一は、野党第一党の旧民主党、民進党を「ゆ党」の状態にとどめ置くこと。

この政党を「ゆ党」の状態にとどめ置けば、政権交代が生じても、

日本政治刷新を阻止することができる。

「ゆ党」の正体が「隠れ自公」であるからだ。

第二は、「隠れ自公」の「第三極」政党を創設すること。

これまで、この策謀が展開され続けてきた。

既得権勢力の最終的な目標は、

この「隠れ自公第三極政党」と「隠れ与党民進党」を合体させて、

自公に並ぶ、二大勢力の一翼を担わせることである。


10月22日衆院総選挙に向けて、この策謀が本格始動した。

民進党と希望の党を合流させて、「隠れ自公」大政党を創設し、

「自公」と「隠れ自公」によるに二大政党体制への移行が目論まれたのである。

ところが、この過程で立憲民主党が誕生し、こちらが野党第一党に成長してしまった。

既得権勢力にとっては大誤算ということであろう。

いま進められているのは、この状態からの形成再逆転である。

民進と希望を合流させて、これを野党第一党に昇格させる。

立憲民主および主義主張を共にする勢力が大結集することを防ぐ。

これが既得権勢力の現時点での基本戦略である。


ただ、現実を見れば、この構想が絵に描いた餅であることが分かる。

なにしろ、希望の党も民進党も支持率がほぼゼロに近いのだ。

主権者国民は民進党と希望の党の正体を掴んでしまった。

これらの勢力は、単なる自公補完勢力なのだ。

自公がこれだけ大きく存在するときに、自公補完勢力を必要とする主権者はいない。

主権者が求めているのは、自公に対峙する勢力であり、

自公に対峙する勢力の結集、大同団結なのだ。


2019年には参院選がある。

民進党に所属する者は2019年の選挙を考えて行動するべきだ。

民進党は、今後、必ず分離・分割されることになる。

安倍自公政治に賛同する勢力と、

安倍自公政治に対峙する勢力に完全分離・分割される。

そして、安倍自公政治に賛同する人々は、いまの民進党の枠組みでは、

ほとんど全滅となるだろう。

安倍自公政治に対峙する勢力に所属し、選挙を戦ったものだけが

当選する可能性を持つことになる。

年内に民進党の完全分離・分割を完遂して、

分かりやすいかたちで新年を出発するべきだ。

これに対して、自公補完勢力の者たちは、

年内の立憲民主党への移籍者が一人でも少なくなるように画策している。

政党交付金を算出する根拠となる議員数が1月1日基準で定められるからだ。

この視点から、年内の決着を回避しようとしているのだと推察される。


参院民進党から多数の者が立憲民主党に移籍するだろう。

この作業を年内に完了するべきなのだ。

そして、旧民進党が考え方の違いによって分離・分割されるのだから、

政党交付金を議員数で按分して公正に分割するべきだ。

これが当然の対応策である。

主権者国民が拠出する政党交付金を強奪しようとする発想があまりにもあさましい。

カネをめぐるあさましい動きはあるが、

2018年以降、主権者は、基本政策路線の下に結集し、

早期の政権刷新実現に向けて動き出さなければならない。

「隠れ自公勢力」を排除して、「自公に対峙する勢力」が結集、大同団結して、

早期の政権交代実現、日本政治刷新を目指すのである。

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