(孫崎享氏)★トランプ氏「日本は米国が担ってきた経費を払い戻す」と発言。
米軍の日本駐留は日本防衛が目的ではない。自己の世界戦略のため。
米国は条約上日本防衛の義務は負っていない。

トランプ氏「日本は米国が担ってきた経費を払い戻す。

だが日米地位協定では米軍経費は払う必要はない。

米軍はそもそも日本に駐留するのは、米軍の世界戦略のため。

日本を守ることはあるかもしれないが、米国に利益がある時に守る。

A:事実関係

「トランプ氏「日本は米国が担ってきた経費を払い戻す」(11月16日朝日新聞)

トランプ米大統領は15日、ホワイトハウスで演説し、

各国への米国製防衛品の売り込みなど、米国の雇用につながる成果を強く訴えた。

トランプ氏は、訪問国がそれぞれ発表した、米国製品の購入や米国への投資を

詳細に説明。

「日本は、米国の納税者が担ってきた経費を払い戻す形で、

我々が共有する防衛負担を引き受ける。

戦闘機やミサイル防衛システムなど、米国労働者に仕事をもたらす、

何十億ドルもの米国製品を購入する」と語った。

B:評価

1:米国は日本に基地を置くのは自国の世界戦略のために出合って、

日本を守るためではない。

2:少し考えれば考えて見ればすぐわかる。

横須賀にある第七艦隊は、インド洋にまで及ぶ地域を守っている。

沖縄にある海兵隊はアフガニスタンやイラクで戦闘し、

軍を戦闘と休みのローテーションの中で使用している。

3:ロシアの戦闘機が日本の領空を侵略しそうになった時には

米軍機でなくて自衛隊機がスクランブルをかける。米軍機ではない。

中国船舶が尖閣諸島に入った時、海上保安庁の船舶や自衛隊艦船が対応する。

4:日米の合意ではどうなっているか。

 安保条約第五条「日本国の施政下での武力攻撃、自国の憲法上の規定及び手続に

従って行動する」。米国憲法では交戦権は議会にある。

だからここでは議会がOKと言ったら参戦するという以上のものではない。

新たな日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)全文 2015年4月28日

  日本に対する武力攻撃が発生した場合。

「日本は、日本の国民及び領域の防衛を引き続き主体的に実施し、

日本に対する武力攻撃を極力早期に排除するため直ちに行動する」

「米国は、日本と緊密に調整し、適切な支援を行う。

米軍は、日本を防衛するため、自衛隊を支援し及び補完する。」

日本防衛の主体は自衛隊で、米国の役割は、「支援し及び補完する」である。

5:米国の日本防衛の在り様はキッシンジャーが周恩来に説明している。

日本が攻撃されたときに、我々が日本を防衛したいと思えば、

防衛することはできます。

核の時代においては、国家がほかの国を防衛するのは条約があるからではありません。

自国の国益が危険にさらされるからなのです。
(『周恩来キッシンジャー機密会談録』(岩波書店、二〇〇四年)からの引用)。

6:こうした点を踏まえて地位協定は日本が米軍経費を負担しないことを決めている。

第二十四条

1 日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、
2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除くほか、
この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される。

7:こうした中日本は多大の基地負担を行っている。

各国の基地負担を見てみよう。

 日本  7612億円

 ドイツ 1876億円

 韓国  1012億円

 英国   280億円

8:こうした事実を説明し、米国と交渉にあたってこなかったから、

トランプに要求され、日本の国内はそれももっともという空気が覆っている。

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