★「防衛計画の大綱」を無視して決めた陸上型イージスの導入ー(天木直人氏)

私はきのうのメルマガ第881号で読売新聞のスクープ記事を引用して書いた。

 陸上型イージスの導入はミサイル防衛システムから蚊帳の外に置かれている

陸上自衛隊の不満をなだめる為の玩具だと。

 しかし、それだけではなかった。

 もっと深刻な意味があったのだ。

 この読売新聞のスクープ記事を受けて、

きょうの各紙が一斉に後追い報道したが、その中で私は共同通信の報道に目した。

 この陸上イージスの導入については、

その運用と配備先に関して防衛省内部にも異論があり、

読売新聞の報道通りの結論に落ち着くかは流動的だという。

 やはりこの陸上型イージスの導入は見切り発車だったのだ。

 そうはいっても、陸上型イージスの運用が最終的に陸自に任される事は

間違いないだろう。

 なぜなら、ミサイル防衛システムの導入というあらたな一大防衛政策から

陸自だけを外すわけにはいかないからだ。

 そんなことをすれば陸自の不満が嵩じ、空自、海自とのバランスが崩れるからだ。

 陸自にも玩具を与えなければいけない。

 そして配備先についても、そのひとつが山口県となることは間違いないだろう。

 地元に断られるようでは安倍首相の面目丸つぶれだからだ。

 しかしもうひとつが秋田県に落ちつくかどうかは不透明だ。

 おそらく最後は交付金というアメを使って住民を黙らせる事になるのだろう。

 私がこの共同通信の報道で最も注目したのは、

この陸上イージスの導入が「防衛計画の大綱」に明記されていないと

書かれていた事だ。

 あわてて12月中旬ににも閣議決定する方向で調整に入ったと書かれていたことだ。

 自衛隊の装備の決定プロセスを少しでも知っている者なら、

「防衛計画の大綱」に書かれていない装備を新たに導入する事が、

いかに異常で異例であるか、わかるだろう。

 それほどあわてて陸上イージス購入を安倍首相が決めたということだ。

 もちろん、トランプ大統領来日に合わせるためである。

 安倍首相自身が率先してシビリアンコントロールを破っているのだ。

 かつての国会なら絶対に許されない事である。

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