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◆ 北朝鮮問題は安倍晋三では乗り切れない ◆ー(兵頭正俊氏)
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報道によると、立民の辻元清美国会対策委員長が、

2日の、常任、特別委員会の各理事を集めた党内の会合で、

党所属議員と自民党議員との、夜の飲食を見合わせる方針を決めた。

報道では、「当面」、「自粛」の言葉が使われていたが、

ぜひ継続的に禁止してほしいものだ。

自民党との酒席、会食というと、

すぐに思い浮かぶのは安倍晋三と東京の大手(「記者クラブ」)寿司友メディアとの

酒席だ。これが国内はもちろん国際的にも非常に評判が悪い。

顰蹙を買っている。

きちんとした与党との闘いをするのなら、酒席など必要ない。

メディアが御用メディアに堕落したように、野党も御用野党に崩されていく。

カメラの前では闘い、「反対して通させる」なれ合いのスケジュール闘争が、

国民には見破られている。民進党(旧民主党)の支持率の低迷は、その答えだ。

これは夜の酒席を自民党とするのは、国民の理解が得られない、

という理由しか報道は述べていない。

しかし、若い立憲民主党の議員たちが自民党議員に毒されることをも

心配したものだろうとわたしは思っている。

民進党(旧民主党)の支持率の低さ、国民の不信感の原因を、

立憲民主党はもっともよく知る立場にある。そこからよく学ぶべきだ。

だらだらと同じことを習慣のようにやっていてはいけない。

おかしいところはどんどん改めていくべきだ。

幸い、選挙後も立憲民主党の支持率は伸びている。

野党では立憲民主党だけである。

ここで絶対にやってはならないことは、民進党、希望の党、無所属の会との

政界再編成である。

ほぼ以前の民進党と同じになるわけで、

これをやると国民の支持は一挙に離れていく可能性が高い。

立憲民主党に対する国民の支持は、以前の民進党に何を期待し、

それが裏切られ、適わなかったことの証左である。

分離した立憲民主党こそが、その期待の形だったのだ。

ここに現れた国民の気持ちを裏切ってはいけない。

このまま、与党と懸命に闘い、党勢の拡大は野党共闘による選挙で実現するのがいい。

トランプの娘イヴァンカがやってきて、日本人の軽薄さが一挙に暴かれた形になった。

こんなツイートが目についた。


「山崎雅弘

米大統領に先立って来日した大統領の娘を、メディアが「芝居の前座」のように

持て囃し、ムードを盛り上げてから米大統領が来日。

あたかも「日米両国は一蓮托生」のような錯覚の空気が、日本国内に広がっている。

米大統領が戦争を決断しても、

それを受け入れて挙国一致で協力する心理が醸成されている。


松尾貴史

イバンカをもてはやす感覚が何かを省みるべき。

構造的に、迂闊だ、ミーハーだではすまない愚。

浮かれる為政者を見て、気色の悪さをも感じる」

(引用終わり)


ほんとうに恥ずかしい時間だった。

まるでイヴァンカはハリウッドのスターであり、

ちょうどオバマが広島見学に訪れたときのような気恥ずかしさを体験させられた。

安倍晋三によって私物化された外交が、国家の威信をかなぐり捨て、

純然たる植民地として、宗主国大統領の娘を迎え入れていたのである。

今日(11月5日)にやってくるトランプは、

「真珠湾を忘れない。アリゾナを忘れない」と高いアドバルーンを上げた。

いつもの譲歩を迫るアドバルーンである。

しかも仮装の独立国家の表玄関羽田からは入国せず、

植民地支配の象徴たる横田基地に降り立つ。

そのトランプが来日前に、こんな物騒なことを喋っていた。

「ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は2日、

中国に対し、北朝鮮の脅威が対処されなければ「武士の国」である日本が

自ら事に当たる可能性もあると警告した。

トランプ氏は5日、大統領就任後初となるアジア歴訪を開始する。

北朝鮮による核・ミサイル開発をめぐって高まっている緊張が、

中心議題になるとみられている。

トランプ大統領は米FOXニュース(Fox News)のインタビューで、

「日本は武士の国だ。私は中国にも、それ以外に聞いている皆にも言っておく。

北朝鮮とこのような事態が続くのを放置していると、

日本との間で大問題を抱えることになる」と語った。

その一方で、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は北朝鮮問題で

「相当素晴らしい」働きを続けており、

「中国はわれわれを助けてくれている」と持ち上げもした。

中国はトランプ氏から、

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長を

制御できていないと批判を受けていた。

その後、国連(UN)が科した厳しい対北制裁を履行し、

習氏とトランプ氏の関係は改善しているとみられている」
(トランプ氏、対北で「武士の国」日本が動く可能性を中国に警告『AFP』
2017年11月3日)

http://bit.ly/2iu69Ui

(引用終わり)

もともと米国と北朝鮮との対立だった。


日本に前代未聞の愚かなお坊ちゃん総理がいる。

この好機を捕らえて、米国によって、北朝鮮と日本との対立にすり替えられていく、

その危険性を何度も指摘してきた。それが日を経る毎に明確な色彩を帯びてきた。

ちなみにサムライの本質は奴隷なのだ。主君にけっして盾突かない。

攻撃を命じられると、理不尽を感じても黙って命令に従う。

死の従順な受け入れは、奴隷の究極であり、

だから「武士道というは死ぬことと見つけたり」というのだ。

宗主国にとってこれほど有り難い植民地はないのだ。

今日のメルマガでは、アンドリュー・ベーセビッチの

「トランプの何が問題なのか ── 啓蒙的アメリカ・ファーストへの道筋を描く」を

切り口に、トランプの心の深奥に潜む「日本と北朝鮮」について考えてみたい。

(アンドリュー・ベーセビッチは、ボストン大学名誉教授(国際関係学・歴史学))


「介入と不介入の間

似たようなことは、アメリカの軍事政権にも言える。

未来の世代が、自分たちで選択できる機会をもてるようにしなければならない。

残念ながら、ユートピア的グローバリズムの下で実施された軍事行動は、

莫大な資源を浪費した挙げ句、未来の世代の選択肢を狭めてしまった。

9.11以降の戦争がいかに長期化しているかを考えれば、それは明らかだ。

アフガニスタンはアメリカ史上もっとも長い戦争になり、それに続くのがイラクだ。

もはやワシントンであえてそのコストを計算しようとする者が

ほとんどいないほどの莫大な浪費は、劇的な債務の拡大を引き起こしている。

冷戦終結時のアメリカの債務は約4兆ドルだったが、現在は20兆ドルに膨らみ、

2020年までには25兆ドルに達するとみられている。

アメリカは始めた仕事を終わらせられない国となり、

途方もない借金を使ってその失敗を隠そうとしている。

アメリカ・ファーストの視点からみると、その解決策は二段階になる。

第1に、アメリカの重大な国益が切実に脅かされているのでない限り、

軍事介入の衝動を抑えなければならない。

第2に、戦争のコストは未来の世代にツケを回すのではなく、

そのタイミングで支払わなければならない。

未来の世代にはバランスのとれた財政を委ねるべきだ」
(『Foreign Affairs Report』2017 NO.11)

(引用終わり)

米国一極支配の時代はすでに終わっている。

トランプ自身がそのように認識しているのだから間違いはない。

世界で米一極支配の幻想にすがっているのは日本ぐらいだろう。

英国でさえ中国へ舵を切り替えている。

トランプの「アメリカ・ファースト」は、

そこから多極化する時代に対応する戦略である。

トランプ外交は、政権内部の対立を反映して一貫性を欠いているので、

端から見ると衝動的に写る。

北朝鮮問題に関して、平和主義者かと思えば、好戦派に豹変する。

いったいトランプの本音はどこにあるのか。

そのどれもが本音なのだ。

米国の一番の懸念事項は明確だ。経済的破綻である。

その原因が、莫大な資源を浪費した軍事行動であったことも明白である。

「9.11以降の戦争がいかに長期化しているかを考えれば、それは明らかだ。

アフガニスタンはアメリカ史上もっとも長い戦争になり、それに続くのがイラクだ。

もはやワシントンであえてそのコストを計算しようとする者が

ほとんどいないほどの莫大な浪費は、劇的な債務の拡大を引き起こしている」と

アンドリュー・ベーセビッチはいう。

もちろんその戦争のおかげで、

米国軍産複合体・イスラエル・米議会・国際金融資本(米金融ユダヤ)・メディアは

潤ってきた。99%の若者の死を代償に、1%は潤ったのである。

もしその99%の若者を日本の若者に代えられたら、こんな素敵なビジネスはない。

「冷戦終結時のアメリカの債務は約4兆ドルだったが、

現在は20兆ドルに膨らみ、2020年までには25兆ドルに達するとみられている。

アメリカは始めた仕事を終わらせられない国となり、

途方もない借金を使ってその失敗を隠そうとしている」。

借金は、米国を一度経済破綻させない限り、延々と膨らみ続けるだろう。

アンドリュー・ベーセビッチは、その解決策として、

次の二段階を提唱する。

(1)第1に、アメリカの重大な国益が切実に脅かされているのでない限り、
軍事介入の衝動を抑える。

(2)第2に、戦争のコストは未来の世代にツケを回すのではなく、
そのタイミングで支払う。

いわれてみると当たり前のことのように思われるが、

真実というのはいつもこのようなものだ。単純で、骨太で、常識的で。

(1)ができなければ、必然的に(2)もできないのだが、

(1)は実現できないのではないかとわたしは思っている。

あまりにも軍産学複合体の力が強大であるからだ。

つまり経済破綻に喘ぐ米国、戦争をやめられない米国に、

安倍はこき使われ、米国の代理戦争に日本の若者を差しだそうとしている。

半分ほどもいる愚かで無責任な国民がいつものように棄権した、

今回の衆議院選挙で、その道筋はほぼ決まったと思ってよい。

アンドリュー・ベーセビッチは続けて書いている。

「重大な利益が脅かされているときだけ軍事介入するのでは、

シリアのように地獄紛いの環境で生きることを余儀なくされている人々の苦難から

目を背けることになると、批判派は苦言を呈するはずだ。

しかしそうした苦難に対して、戦争は唯一の対処法でも、最善の対処法でもない。

実際苦難にある人々を解放または保護するために

ワシントンが米軍を派遣したことの結果は、甘めに見ても、はっきりしない。

現在のソマリア、イラク、リビアの状況を考えると良い。

人道的懸念だけを理由に、またはそれを最大の理由として、

アメリカの軍事介入が正当化されたものの、

これら3か国における民衆の苦難は一段と深刻になっている。

もちろん、外国における残虐行為から目をそらすべきだと言うつもりはない。

しかし困窮した人々を助けたいとしても、

アメリカの爆弾や軍隊で事態に対処すべきではないだろう。

米軍が慈善活動に関与するケースがあるとしても慈善活動は軍の目的ではない。

同情する人々の財布を開かせて、

救援団体の活動能力を強化する方がはるかに好ましい。

現場に変化を起こす上でも、また現地の民衆の人心を勝ち取る上でも、

役所が作ったプログラムよりも、ボランティアによる試みの方が優れている。

つまり海兵隊には海兵隊の仕事をさせ、善意の活動は善意をもつ人々に任せるべきだ」

(引用終わり)

外国で苦難にある人たちをどうするか。

実はこの問題意識自体が米国一極支配のものだ。

米国がそのような偽善から関わった国は、ソマリア、イラク、リビアと、

すべて以前より悪くなっている。

「外国における残虐行為から目をそらすべきだと言うつもりはない」という前に、

侵略先で動くものはすべて撃て、

という米軍の残虐行為から目をそらすべきではないだろう。

「同情する人々の財布を開かせて、

救援団体の活動能力を強化する方がはるかに好ましい。

現場に変化を起こす上でも、また現地の民衆の人心を勝ち取る上でも、

役所が作ったプログラムよりも、ボランティアによる試みの方が優れている」

という結論は、米国では困難であるが、これ以上の多極化が進めば、

この道しか米国には残されていないかもしれない。

ただ、厄介なのは、現在の米国政権が軍事政権であり、

内部の権力闘争を反映して矛盾した政策を打ち出してくることだ。

たとえば、米大統領選中のトランプは、オフショアバランシング戦略で、

国際紛争からは遠ざかるディスエンゲージメント政策を採るとみられていた。

それが、アフガニスタンには逆に米兵を増派している。

NATOへの姿勢も次第に従来の関係へと見直してきている。

北朝鮮に対する態度も硬軟両方の見解を述べているが、

世界はトランプを強硬派だとみている。

いったい、トランプは何を考えているのか。

ここでひとつの政治家の定式を提出して、今日のメルマガを終わることにする。

それはある種の政治家に宿痾のようにつきまとう、自分を大きく見せたい、

歴史に名前を残したいという願望である。

そのプロセスは血塗られたものになり、結果は戦争になる。

ヒトラーにはこれがあった。

トランプにもあるだろう。

このままなら1期4年の大統領で終わるかもしれない。

この窮状を打開するのは戦争しかない。

それも米国には被害がなく、自爆テロの反撃さえない戦場。

開戦の責任が問われずにすむとなれば……。

それはバカの安倍が北朝鮮を先制攻撃し、米国が迷惑げな顔をして、

最初だけ日韓の支援に回る戦争である。

金王朝は壊滅し、米本土に届く核ミサイルの脅威は永遠に消える。

日韓両国からの天文学的な米国製兵器の購入と、戦後の復旧復興特需。……

そう思わせるような発言がトランプから出てきた。

「【ワシントン共同】北朝鮮が8~9月に日本列島上空を通過する

弾道ミサイルを発射した際、日本が破壊措置を取らなかったことについて、

トランプ米大統領が東南アジア諸国の複数の首脳に「迎撃するべきだった」と

語り、日本の判断に疑問を表明していたことが4日、分かった。

複数の外交筋が明らかにした。

安倍晋三首相は5日からのトランプ氏訪日で、

日米の緊密な連携をアピールしたい考えだが、

トランプ氏は日本に、より強力な対応を求める可能性がある。

外交筋によると、トランプ氏は東南アジア諸国首脳らとの会談で

「武士の国なのに理解できない」などと、不満を口にしていたという」
(日本、迎撃すべきだった 北朝鮮ミサイルで米大統領『東京新聞』2017年11月5日)
http://bit.ly/2iy2vc7

(引用終わり)

もうトランプのなかでは、朝鮮半島危機は、日本と北朝鮮の問題になっているようだ。

悪魔の誘惑がトランプの思念を占めたのは、おそらくバカな安倍がうまく乗せられ、

大きく自分を見せるために相当なことを約束したためだろう。

「北朝鮮の脅威」の内実は「安倍の脅威」であったことを、

いずれわたしたちは知ることになるかもしれない。

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