★北海道新潟メソッドで政権奪還は可能だー(植草一秀氏)

日本政界の再編、野党勢力の再編は北海道、新潟メソッドを基軸に据えるべきだ。

この根幹は何か。

1.政策路線を基軸にした野党連携、野党共闘であること。

2.党派による党利党略を取り除くこと。

3.主権者=市民を基軸とすること。

この方式で北海道と新潟では野党が選挙態勢を構築した。

その結果、北海道では12の選挙区のうち、5つの選挙区で立憲民主党が勝利し、

3つの選挙区で立憲民主党候補が比例復活当選した。

12の選挙区のうち、8つの選挙区で立憲民主が議席を確保した。

新潟県では6つの選挙区のうち、3つの選挙区で野党共闘候補が勝利し、

1つの選挙区で希望の党に合流しなかった民進党系無所属候補が勝利した。

野党共闘に際しては、

戦争法制廃止、憲法改悪阻止

原発再稼動反対

消費税増税反対

などの基本政策が確認され、この政策路線を基軸に共闘が展開された。

共産党は多くの選挙区で立候補予定者の出馬を取りやめた。

共産党が立候補者を取り下げ、

野党が共闘体制を敷いたことで野党共闘候補が勝利できたのである。

これらの行動はすべて、安倍政治に反対する主権者の立場に立脚するものである。


オールジャパン平和と共生

https://www.alljapan25.com/

では、政策基軸、超党派、主権者主導で候補者を一本化して総選挙に臨むことを

提唱してきた。

今回総選挙では、北海道や新潟で、この考え方が実践されたと言える。

その結果は、自公勢力にほぼ拮抗する議席獲得というかたちになって表れた。

この新潟メソッド、北海道メソッドを全国に広げてゆけば、

政治状況の大転換は決して不可能ではない。

新潟県では、県知事選に際してこの方式が採用された。

その結果、原発稼動に反対する候補者の当選が実現した。

民進党は原発推進候補の当選を側面支援する行動を示したが、

選挙戦の終盤で原発反対候補が優勢になると、

あわててこの候補の応援に幹部が現地入りするなどのどたばた対応を示したが、

民進党の「鵺(ぬえ)」体質を如実に示す行動だった。

今回総選挙では希望の党の立ち上げと、

政策路線の確認を意図的に行わずにこれに合流することを強要することを狙った

前原誠司氏の独断専行により、総選挙直前に大混乱が生じた。

とはいえ、民進党は水と油の同居状態を続けていたから、

あのまま進んでも、野党共闘は機能せず、野党がばらばらの選挙になったから、

結果は似たようなものになっていただろう。


前原誠司氏が民進党の基本路線をなし崩しで一気に転覆してしまおうとする暴挙に

進んだため、民進党が分離・分割した。

これが今回総選挙の最大の成果であったと言える。

急造の立憲民主党ではあったが、

これに共産党がほぼ全面的な協力姿勢を示したために、

立憲民主党や無所属議員が多数当選できた。

選挙までの時間が短かったために、

これを全国規模に広げることはできなかったが、

時間の短さを踏まえれば極めて大きな成果が上がったのだと言える。

同時にこのことは、現在の政治権力者の側が、

何よりも恐れていた事態が発生したことを意味している。

日本の支配者は、思想・哲学・政策の面で真正面から対峙する政治勢力が、

既存の政治勢力に対峙するかたちで大きな存在として浮上することを、

なんとしても排除するために、あらゆる手を尽くしてきたのだ。

2009年の政権交代は、その懸念が現実化してしまったものであり、

爾来、日本の支配者は、これが二度と繰り返されぬよう手を尽くしてきた。

この目的のために民進党が「水と油の混合物」にされてきたのであり、

「隠れ自公」の第三極勢力構築に巨大な力が注がれてきたのである。

ところが、今回、その工作活動の行き過ぎにより、権力対峙勢力が独立し、

総選挙を通じて、野党第一党の地位を確保してしまった。

この勢力が今後、政権を奪還する巨大勢力に育つことを、

彼らは何よりも恐れることになる。

事態大逆転に向けての基礎が成立したのが今回衆院選の最大の注目点である。

この基礎を何としても生かしてゆかねばならない。


小選挙区制度を軸とする場合、二大勢力に政治勢力が分化することが必要になる。

支配者が画策してきたことは、

1.権力に対峙する勢力の純化を妨げること

2.権力に対峙する主権者の投票を「隠れ自公第三極」に誘導すること

である。

このために、民進党を「鵺」の存在になるように工作してきた。

民進党内に「隠れ自公勢力」を解き放ち、

民進党を「鵺=ゆ党」の存在に変質させてきたのだ。

これと平行して、「隠れ自公=自公補完勢力」としての「第三極」勢力を創作してきた。

これが「みんなの党」「各種維新」そして、「小池新党」であった。

しかし、「策士策に溺れる」である。

民進党の「隠れ与党化」の工作と

「隠れ自公第三極」創設の工作が、

当事者たちの暴走によって、合流を試み、

これまで隠してきた矛盾が一気に吹き出すかたちになった。


彼らは本質を見誤っていた。

日本における、「政権対峙勢力」の存在をあまりにも軽く見すぎていたのである。

民進党を自公補完勢力にすること

第三極勢力の自公補完勢力の本性をむき出しにすること

そして、両者を合体させて、二大政党制の一翼を担う大きな勢力に構築すること

これらを断行できると判断したのである。

しかし、そうは問屋が卸さなかった。


これまで抑圧されてきた政権対峙勢力が結集したところ、

あっという間に大きな勢力に育つ基礎を作り上げてしまったのである。

これで、日本の自公と第二自公による二大政党体制に移行させるという

巨大な目論見は、かなりの程度挫折した。

しかし、油断は禁物である。

彼らは、自公と自公対峙勢力による二大政党体制への移行を何よりも警戒している。

さまざまな工作活動を展開してくることが予想される。

予想される工作活動を列挙しておこう。

1.希望の党を増員して、これを何とか野党第一党に格上げするための工作活動

2.立憲民主党に「隠れ与党」勢力の無所属議員を送り込んで、
立憲民主党を再度、「鵺勢力」にするための工作活動

3.立憲民主党と共産党による本格的な共闘体制構築、
政権構想提起を阻止するための工作活動

これらが展開されることになる。

この動きに対して最大の警戒が必要になる。


正しい道筋はその逆ということになる。

立憲民主党は安倍自公政権に対峙する政策路線をより鮮明に明示するべきである。

戦争法制廃止・憲法改悪阻止

原発再稼動阻止

消費税増税阻止

を明確に掲げるべきだ。

そして、共産党と今後の総選挙について、より強固な共闘体制を構築するべきである。

そのときに最大の障害になるのが連合である。


連合は

御用組合連合



労働組合連合

の混合物である。

本当の意味の野党勢力の結集に対して、

最も強く攻撃するのが御用組合連合に所属する連合の一部である。

「一部」と表記したが、現在の連合は「御用組合連合」が支配権を握ってしまっている。

この連合が、本当の意味の野党共闘体制構築を激しく妨害してくることになる。

立憲民主党は連合の分離・分割を強く求めるべきである。

民進党が分離・分割したことに合わせて、連合も分離・分割する必要がある。

共産党との連携、共闘を激しく攻撃しているのも、

連合内の御用組合連合の勢力なのである。


政策を基軸に、超党派で、主権者が主導して大きな主権者連帯を形成する。

これがオールジャパン平和と共生の基本理念であるが、

これを全国規模で確立することができれば、遠くない将来に、

確実に政権交代を実現することができる。

現在の議席数を見ると、その想像がつかないかも知れないが、

2012年に自民党が政権を奪還する前の状況では、

民主党が圧倒的多数の議席を占有し、自民党は小さな野党勢力に後退していたのだ。

これを一気に逆転できるのが小選挙区制を軸にした選挙制度の長所のひとつである。

新潟メソッド,北海道メソッドを日本全体に広げて、

本当の意味の野党共闘を成立させれば、必ず政権を奪還できる。

Reply · Report Post