★安倍政治を終焉させねばならない三つの理由ー(植草一秀氏)

もりかけ隠しを許さない!

政治私物化を許さない!

憲法破壊を許さない!

これが今回総選挙の最大の優先課題であった。

ところが、小池国政新党が創設され、民進党がこれに篭絡されたために、

総選挙の当初の意味が完全に失われつつある。

小池新党が単なる自公補完勢力として創設されたのであれば、

自公支持票が割れるだけの効果にとどまったが、

前原誠司氏が民進党内で適正な説明、論議、手続きを踏まずに、

自公補完勢力としての小池国政新党への合流を独断専行で強行したために、

すべてが壊れてしまった。

前原誠司氏の行動は万死に値するものである。

野党共闘の純化が必要であったのに、野党共闘が不完全なものになり、

反自公政治の票が分散する結果がもたらされてしまった。

このまま、政治私物化、憲法破壊の安倍自公政治が継続されることになると、

日本経済の破壊



日本国憲法の破壊

がもたらされることになる。

選挙戦は終盤に入ったが、安倍政治を打破するために、

すべての主権者の投票への参加を呼びかけ、

安倍自公候補の一人でも多い落選を勝ち取らねばならない。


安倍政治を終焉させなければならない理由が三つある。

第一は、安倍首相の政治が「人の道」を踏み外していることだ。

森友疑惑とは、安倍首相夫妻が昵懇にしてきた籠池泰典氏夫妻が経営する森友学園に

対して、時価約10億円の国有地をタダ同然の価格で不正に払い下げたとの疑惑

である。

安倍首相は国会答弁で、

「この学校の先生方の教育に対する熱意は素晴らしいと妻から聞いている」

と述べて、籠池泰典氏については、

「いわば、私の考え方に非常に共鳴されている方」

だと述べていた。

安倍昭恵氏は新設小学校の名誉校長に就任し、森友学園で3度も講演を行っている。

安倍晋三氏自身も森友学園での講演を引き受けていたが、

たまたま選挙の時期と重なり、直前にキャンセルした経緯がある。

国有地の不正払い下げには安倍昭恵氏が深く関与していたとの疑惑は

極めて濃厚になっているが、安倍昭恵氏がこのことについて、

公の場で説明していないから確定していない状況にある。

安倍首相は国会答弁で、学校認可や国有地払下げに関して、

「自分や妻が関わっていたら、総理大臣も国会議員も辞める」

と明言した。

しかし、その「関与」は完全に明らかになっている。


安倍首相夫妻は籠池氏夫妻と親密な関係を維持してきたが、

籠池氏夫妻がこれまでの経緯を白日の下に晒し始めると、

安倍首相は手の平を返す行動に出た。

国家権力を用いて籠池氏夫妻を逮捕、勾留。

法の支配を踏みにじり、刑法の詐欺罪を適用して起訴するという暴挙に突き進んだ。

そして、選挙戦のさなかの籠池氏夫妻の発言を封じ込めるために、

不当な長期勾留を実行している。

私は、2009年8月総選挙のタイミングに合わせて東京拘置所に収監されたが、

これは総選挙に向けての私の言論活動、政党幹部へのアドバイス行動を

封じるためのものであった。

補助金適正化法違反で罰金を課す程度の事案を「詐欺罪」事案に変質させて、

接見禁止で長期勾留するなど、中国における民主化運動家である劉暁波氏の

不当拘束と何の違いもない。

自分の考えに共鳴してくれる人として、家族ぐるみで昵懇にしていた人物が、

自分に都合の悪い存在になり始めた途端、手の平を返して、

権力を濫用、罪人に仕立て上げることは「人の道」を踏み外す行動と言うほかない。

仏教の六道輪廻(りくどうりんね)の考え方は、

世界を天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の六つの世界に分けて考える。

「人の道」=「人間道」から堕ちた者は「畜生道」に往ってしまう。

「畜生道」とはどのような世界か。

「畜生道」とは、

「弱肉強食を繰り返して、互いに殺傷し合う世界。

他人を蹴落としてでも自分だけが抜け出そうとする世界」

である。

弱肉強食の経済政策を推進する安倍政権。

安倍政治は「畜生道」に堕ちた政治であると言わざるを得ない。

日本の政治を「人の道」に引き上げなければならない。

そのために、この選挙では、一人でも多くの自公候補を

落選させなければならないのである。


安倍政治を終焉させなければならない第二の理由は、

安倍政治が日本国憲法を根底から破壊する方針を示していることにある。

9月28日に召集された臨時国会は、日本国憲法第53条に基づき、

議院の4分の1以上の要求により国会召集が求められたことに基づいて

召集されたものである。

野党は森友疑惑、加計疑惑、自衛隊日報疑惑の解明のために、国会召集を求めた。

憲法第53条は、内閣に臨時会の招集を義務付けている。

ところが、安倍内閣は国会召集義務を3ヵ月も履行しなかった。

このこと事態がすでに憲法違反である。

そして、3ヵ月以上の時間が経過して、安倍内閣はようやく臨時国会を召集したが、

その冒頭で、一切の審議に応じることなく、衆議院を解散した。

憲法の規定を完全に踏みにじっているのである。


安倍政権は2012年の政権発足後、

特定秘密保護法

戦争法制

共謀罪創設

の三つの憲法破壊立法を進めてきた。

日本国憲法第9条については、

「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」

の解釈が1972年に政府から示され、爾来、40年以上にわたって、

この見解が維持されてきた。

つまり、集団的自衛権行使の禁止は、確立された憲法解釈であり、

憲法の実体的な一部であると言ってよい。

ところが、安倍政権はこの憲法解釈を勝手に変えた。


憲法は政権の前に立ちはだかる存在である。

政治権力といえども、憲法の前には従順でなければならない。

これが「立憲主義」の考え方だ。

ときの権力が暴走してしまわないように、憲法を定め、

この憲法が権力の暴走を食い止める。

これが「立憲主義」の考え方である。

これを破壊してきたのが安倍政権なのである。

そして、安倍政権勢力が衆参両院で3分の2以上の多数議席を確保すれば、

憲法の全面的な変更に突き進むだろう。

自民党の憲法改正草案は、国民主権、基本的人権尊重、平和主義という、

日本国憲法の基本原理を覆す内容の憲法案である。

これは「憲法改正」の則を超えた「憲法破壊」の草案である。

平和主義を捨て、日本を戦争推進国家に変える。

これが安倍晋三氏の企みであり、

したがって、安倍自公勢力に多数議席を付与するわけにはいかないのである。


安倍政治を終焉させなければならない第三の理由は、

安倍自公政治が私たちの暮らし、生活、命、健康を破壊してしまうからだ。

安倍政治が進める成長戦略=アベノミクスとは、

弱肉強食の全面推進政策に他ならない。

成長戦略は

農業自由化、医療自由化、労働規制撤廃、法人税減税、特区創設

の五つの柱によって形成されている。

このすべてが、人々の命と暮らしを蝕むものである。

農業自由化とは、日本の農業を「農家の農業」から

「ハゲタカ巨大資本の農業」に変質させるものである。

食の安全・安心、地産池消、食糧自給、共同体文化がすべて破壊される。

「医療の自由化」は医療の世界に貧富の格差を持ち込むもので、

普通の国民は病気になっても十分な医療を受けられない社会に移行することになる。

労働規制の撤廃は、正規から非正規へのシフト推進、長時間労働の合法化、

外国人労働力の活用、残業代ゼロ制度の導入、金銭による解雇の全面自由化などを

柱とするもので、労働者の地位の不安定性と処遇の悪化をもたらすものである。


特区がいかにいかがわしいものであるかは、加計学園疑惑でも明らかになった。

「特区」という名の新しい「利権」が生み出されており、

その利権に多くの寄生虫が群がっているのである。

そして、法人税の減税。

1989年度と2016年度の国税収入はほぼ同額である。

変化は税収の内訳でしか起きていない。

法人税が9兆円減った。

所得税が4兆円減った。

そして、消費税が14兆円増えたのである。

消費税は所得がゼロの国民からもむしり取る「生存権破壊の悪税」である。

安倍政治が「法人税減税」を喚いているのは、

ハゲタカ外資がこれを要求しているからだ。


ハゲタカ外資が日本の有力企業の巨大株主になっている。

このハゲタカ外資の利益を極大化させるために「法人税減税」が

叫ばれているのである。

日本の行政運営に必要な資金を一般庶民に負担させる。

そして、労働規制撤廃で、日本から中間所得者層を一掃する。

ハゲタカ外資は日本の一般国民を「奴隷」としか考えていない。

「奴隷」に人権は必要ない。

「奴隷」に生存権も必要ない。

「奴隷」に身分の安定も必要ない。

しかし、「奴隷」に税金の負担だけは押し付ける。

これがハゲタカ外資の考え方なのだ。

安倍政治は、このハゲタカの利益を極大化させることを目的にする政治なのだ。


だから、この選挙で、安倍自公の議席を増やしてはならない。

安倍自公の議席をひとつでも減らさなければならない。

敵は日本の一般民衆を「奴隷」としか考えていない。

このような「暴政」「悪政」を許してはならない。

すべての主権者が投票所に足を運び、自公候補を落選させるために一票を入れる。

10月22日の投票日まで、

これを一人でも多くの主権者に呼びかけなければならない。

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