原口一博氏の“苦渋の決断”と 中山成彬氏の“支持者への背信”


元文科大臣の中山成彬氏は、10月5日に、次のようにツイートした。
 《昨日、私は「希望の党」九州地区の比例代表候補者として公認された。小選挙区との
 重複ではなく比例単独での立候補となる。これからは比例代表は「希望の党」と書いて
 ほしいというお願いと、小選挙区に立候補する希望の党の候補者が1人でも多く当選でき
 るよう、九州を重点に恭子と全国を飛び回ります。》
 
中山氏は、10日6日に、宮崎県庁内で記者会見し、首相に望ましい人物について「小池百合子代表が(衆院選に)出ないなら、安倍晋三さんがいい」と述べたと報じられた(産経)。
このような中山氏の言動に反発して、佐賀一区からの立候補を予定している元総務大臣の原口一博氏は、中山氏とともに戦うことになる希望の党の公認での立候補を辞退し、無所属での立候補を決断した。
7日午前、原口氏のツイート。
 《全国の仲間に。
 自民党政治を終わらせる、安倍政権を終わらせるというのは本当に果たされるのか?
 僕は3年前に死線を彷徨った直後の選挙で小選挙区で勝たせて頂きました。もうこれ以 
 上、妥協して当選しても何の恩返しにもなりません。無所属で立つ事を決断しました。
 どうか勝ち残ってください。
 
 「文書は捨てた、記憶にない、確認できない」国民を軽んじる安倍一強政権を打ち破る。
  憲法も軽んじる安倍一強政権を打ち破る、国会も軽んじる安倍一強政権を打ち破る。
  ここは絶対に譲れない。自民党に代わる政権、自民党と対峙できる政党。
  それが譲れない最後の線だった。

 そして、同日夜、記者会見を行った。
 私も、公示直前になっての原口氏の決断を支持するツイートを出した。それに対して、
 ほとんどの人が賛同、支持の返信を寄せているが、中には、次のような、誠に心無い
 ツイートがあった。
  《ギリギリまで引っ張って、希望の党から対立候補をもはや出せないタイミングで裏切っ
   ただけだろ。》
 原口氏の名誉のために、7日早朝に私に届いていた原口氏からの“苦悩のメッセージ2を引用する。
 《3日前から歴史的詐欺に気づき私の選対と立憲民主党へと公認申請を変える事も含めて
 議論していますが「衆議院議員選挙の届け出には大変な事務作業が必要です。事前審査も
 終えていて、今からやり直す事は出来ません。県ごとにやっていて二区の了承を取った上
 で政見放送もやり直しする事はほとんど不可能です。」
 いずれにしても酷い事になりました。立憲民主党は正しいのに時間切れで候補者を立てら
 れずに、希望の党に党議通りに合流した民進党議員は抜けたいのに抜けられない。こうし
 て歴史的詐欺に引っかかった愚か者の集団として後世の笑い者になるのだと思います。
 愚かな判断が安倍政権を存続させる事になる。恥ずべき事です。
  どうかお知恵をお貸しください。》

 このメッセージを見て、原口氏の苦悩が理解できたが、さすがにその時点での希望の党から無所属への変更は難しいのではないかと思い、「何とか希望の党でやる余地もあるのではないか」と助言しようとして電話した。しかし、原口氏の決意は既に固まっていた。公示まで3日、「我々に過労死しろと言うのですか」と必死に止めようとする秘書たちには懇願されても、、原口氏としては、そのまま希望の党の公認で出馬することはどうしてもできず、苦渋の決断」をしたようだ。
 原口氏は、3年前、最愛の妻の急死による悲嘆の淵に沈む中で、続けて実父を亡くし、さらに、遺伝性の難病と診断され、死線をさまよった末に、前回選挙を勝ち抜き、国会に復帰した。その政治家としての矜持が、“中山氏とともに戦う立場”での選挙に臨むことを、どうしても許さなかったのだ。
 
 本日(10月10日)、希望の党が発表した比例名簿によると、中山氏は、九州ブロックの比例名簿1位になっている。希望の党の小選挙区立候補者への投票(そこには連合等の労組票も含まれる)によって、自動的に当選することになる。しかし、「日本のこころ」に所属するタカ派的思想の政治家として支持していた人達にとって、それは耐え難いことだったようだ。
 冒頭の中山氏のツイートには、150を超える返信があるが、その大半は、中山氏の支持者と思える人達からのもの。「希望の党では、応援出来ません。」「希望の党には無理」「比例…お断りします」「残念無念。日本のこころって書きますよ」「私利私欲で信念もない人ばかりの党に投票とかありえない!」「選挙は当選なさるでしょうが変節漢の謗りを夫婦揃って受ける事は覚悟してください。本当に残念です。」など失望の言葉が並ぶ。
今回の希望の党の比例単独候補としての出馬で、中山氏は、コアの支持者からの信頼も支持も失ったようだ。長年支持してくれた支持者に対する信頼に背く行為というべきであろう。
 そのようにしてまで、中山氏が維持しようとする「国会の議席」にはどういう意味があるのだろうか。保守政治家としての「矜持」というのは、どこに行ったのであろうか。

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