★野党共闘急進展は水と油の民進党分離が主因だー(植草一秀氏)

10月10日に公示され、10月22日に投票日を迎える総選挙。

選出される議席数は465。

このうち、289議席が小選挙区での議席数である。

比例代表の議席数は176。

そして、公示日直前になって、選挙戦の構図が明らかになった。

選挙戦の構図は

自民・公明

希望・維新

立憲・共産・社民

の三つの勢力による戦いになる。

主要な争点は

戦争・憲法

原発

消費税

である。

この三つの争点についての各陣営の基本方針は

自民・公明が

戦争法制肯定・憲法改定推進

原発推進

消費税増税推進

である。


希望・維新は

戦争法制肯定・憲法改定推進

2030年の原発ゼロを目指す

消費税増税の凍結

立憲・共産・社民が

戦争法制廃止・憲法改悪反対

1日でも早い原発ゼロ

消費税増税凍結・中止

となっている。

この政策公約をもとに、主権者が投票し、その結果として新しい政権が樹立される。

戦争法制肯定・原発推進・消費税増税推進の基本政策路線に賛成の主権者は

自民・公明に投票するべきだ。

しかし、この考え方を持つ主権者が多数を占めているとは考えられない。

主権者は、この総選挙に際して、とりわけ、二つのことがらを重大視して

判断を下すべきだ。

それは、

戦争法制肯定・憲法改定について賛成するのか、反対するのか、



2019年10月の消費税増税を容認するのか、しないのか

である。


2019年10月の消費税率10%を容認しないと考える主権者は、

希望・維新か立憲・共産・社民に投票するのが適切である。

そして、この二者のうち、どちらを選ぶのかについては、

戦争法制と日本を「戦争をする国」に変える憲法改定に賛成するのかどうか、

を基準に判断するべきということになる。

戦争法制と日本を「戦争をする国」に変える憲法改定に反対と考える主権者は、

立憲・共産・社民に投票するのが適切である。

政治勢力が三つのグループに分化したことで、

主権者にとっては、非常に判断しやすい環境が生まれることになる。

私は、本ブログ、メルマガで、再三にわたって民進党の分離・分割を提言してきた。

民進党は「水と油の混合物」で、

一つの政党の中に二つの政党が同居している状況であり、

この「鵺(ぬえ)」の存在の民進党が存在するために、

主権者の選択が妨げられていることを主張し続けてきた。

その主張がようやく実現し、民進党のなかの「反安倍政治勢力」が

独立したことにより、共産党や社民党との共闘体制が

スムーズに構築されるようになった。

立憲民主、共産、社民、そして、考えを共有する無所属候補による、

一選挙区一候補者体制が、

289の小選挙区のうち、248選挙区で成立した模様である。

この重大ニュースをメディアがほとんど伝えない。

このことが意味していることは、

この事実が安倍自公とその補完勢力である希維勢力にとって、

重大な脅威であるからだ。

脅威が大きすぎて、事実報道さえできないところに追い込まれている。

オールジャパン平和と共生は、

反戦・反核・反消費税の旗を掲げて総選挙に臨む。

直前でのバタバタがあり、289の選挙区すべてにおいて

一選挙区一候補者の体制

を構築できていないが、時間的な切迫という事情を考えればやむを得ない。

反戦・反核・反消費税{貧困}の政治、

すなわち、平和と共生の政治を樹立するために、

主権者とこれらの政治勢力が連帯して、総選挙に臨まねばならない。


一部の選挙区で

反戦・反核・反消費税を訴える候補者が複数立候補するケースが生じる模様であるが、

公示日までに一本化を実現する努力を続けるべきだ。

同じ主張の候補者が一つの選挙区に複数立候補すると票割れを起こして

敵陣営に有利に働く。

候補者調整は容易ではないだろうが、日本政治刷新のために、

賢明な判断を下す必要がある。

また、「三つ巴」について、戦争法制および9条改定を基軸に考えると

自公+希維 対 立共社

の二極対決構図だとする意見があるが、上記の側面でみればそのとおりである。

希維は自公別働隊であり、第二自公と表現するのが適切であるからだ。

しかし、消費税問題では希維が増税凍結を唱えており、

この部分では安倍自公と一線を画する。


今回の総選挙は、そもそも、安倍政権の政治私物化・もりかけ隠し解散に

端を発しており、この意味で、安倍政権を退場させることが第一の課題である。

この意味においては、希望が消費税増税凍結を宣言して、

自公の議席数を減少させることは望ましいことである。

しかし、国の基本の基本、憲法の平和主義を守るのか、

それとも破壊するのかという面で、

自公と希維は一心同体、この二つの勢力が衆院3分の2を占有するなら、

憲法改悪が強行されることはまず間違いないだろう。

したがって、この点に基軸を置いて、自公と希維を破らねばならないのである。


このとき、小選挙区の特性を踏まえると、

自公連合 対 反安倍野党共闘 の図式で戦うよりも、

自公 希維 立共社 の「三つ巴」で戦う方が、

はるかに立共社にとって有利になる点を見落とせない。

なぜなら、戦争法制・憲法改定において、自公と希維の主張は同一であり、

これに賛同する主権者の投票が、この両者に分散されるからである。

このとき、反安倍自公、反戦争法制を明確にする候補者が、

ただ一人ということになれば、この候補者に投票を集中させることによって、

この候補者が勝利する可能性が大きく高まるからだ。

自公と第二自公、すなわち自公と希維が二勢力で、

これと立共社による「三つ巴」になると、

立共社が勝利できる可能性が格段に上昇するのである。


民進党から希望に合流して出馬する候補者にとっては、希望の入党条件である

「政策協定書」

の存在が極めて重い存在になる。

協定書の文言は、

「2.現下の厳しい国際情勢に鑑み、現行の安全保障法制については、

憲法にのっとり適切に運用する。

その上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を支持する。」

であるが、これは

「2.限定的な集団的自衛権の行使を含め安全保障法制を基本的に容認し、

現実的な安全保障政策を支持すること。」

を書き換えたものである。

「戦争法制廃止」の野党共闘と、今回の公認条件の「政策協定書」との間には、

天地の開き、真逆の方向性が存在する。

このような「転向」を示して、

「政治に対する信頼を回復しなければならない」と訴えても、

主権者の共鳴、賛同は得られないだろう。


289の選挙区のうち、248の選挙区で反安倍野党共闘陣営の候補者一本化が

実現した意味は極めて重い。

選挙共闘体制を組む以上、それぞれの陣営は誠実に、

共闘の成果を生み出すために力を注ぐべきである。

オールジャパン平和と共生も、これまで提言してきた主張に沿って、

主権者が適正な判断を下せるよう、適切な情報提供に努めてゆく。

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