(重要・拡散希望)★10月22日で安倍総理を辞めさせるシナリオー(田中良紹氏)

「希望の党」が安保法制や憲法改正を巡る考えを入党の条件とする考えを

示したことで、民進党内部や共産党、社民党との間に軋轢が生まれている。

安倍政権の安保法制強行採決に反対し4野党共闘を進めてきた側から

反発が出る心情は理解できるが、

しかしそれはあまりにも短絡的で感情的な政治の見方である。

 現下のシナリオは10月22日に自公政権を過半数割れに追い込み、

歴代どの政権より劣悪な安倍政治をその日で終わらせるためのプランである。

つまり政権交代を本気で実現しようとしている。

だから安倍政権の安保法制強行採決は許されないが、

しかし翌日から政権を担うための現実的対応にも備えるのである。

 安倍総理の臨時国会冒頭解散は「森友・加計問題」を臨時国会で追及される前に

選挙で過半数の信任を得、国民から支持されたとして居直る狙いがあった。

そのため消費増税の使い途と北朝鮮情勢をこじつけて解散の大義とした。

 「希望の党」の出現がなければ総選挙で自公が過半数を超えることは

誰が見ても確実な情勢である。だからこそ安倍総理は解散に踏み切った。

そして11月初旬にはトランプ米大統領を迎えて日米同盟の強化を国民にアピールし、

それによって「森友・加計問題」を国民の念頭から消し去るつもりだった。

 しかし「希望の党」はそれを阻止する構えである。

そのためには政権を獲得したその日から米国や韓国と共に

北朝鮮情勢に対応しなければならない。

その時に2年前の安保法制強行採決はけしからんと言って

安保法制廃止の閣議決定を行えば、

日本の政治は鳩山由紀夫元総理が辺野古基地移設に反対を唱えた時と

同様の大混乱に陥る。

 辺野古基地移設は沖縄県民の反対を無視する政治の暴挙である。

従って移設に反対を唱えることは正論である。

しかし政治は正論を唱える事ではない。それを実現することである。

実現の手段も持たずに正論を主張すれば混乱するだけというのが

未熟な民主党政権の過去の教訓である。

 安倍総理に代わる新総理は11月初旬にトランプ米大統領を迎え

協力関係を国際社会にアピールしなければならない。

その時の政権与党が安保法制廃止を主張したのではその政権も短命に終わる。

それが占領されてから戦後一貫して米国の影響下に置かれてきた

日本政治の現実である。

 従って新政権は直ちに安保法制を廃止することはしない。

しかしそれは安倍政権の安保法制強行採決を是とすることを意味しない。

立憲主義を否定したやり方に反対することと現状ですぐ法律を廃止しないことは

政治的に何も矛盾しない。

 問題は「集団的自衛権を限定的に容認する」とした「限定的」の中身にある。

安倍政権の米国に対する従属姿勢は歴代政権の中でもとびぬけて強い。

表現は悪いがまるで足の裏を舐めるようである。

従って米国はこの政権を「使い走り」に使う。

都合が良いから安倍総理に良い顔をして見せるが腹の中では馬鹿にしている。

 そういう総理が集団的自衛権を容認したことは自衛隊を米国に差し出したに等しく

極めて危うい。同じく集団的自衛権を認めるにしても日本の国益を

最大限に考慮して対応する総理でなければ困る。

そして日本の国益を確保するにはかつての自民党と社会党が水面下で手を組み

「絶妙の外交術」を駆使して米国を翻弄したのと同じ構図が必要になる。

 「絶妙の外交術」とは米国の歴史家マイケル・シャラーが

『日米関係とは何だったのか』(草思社)で使った言葉だが、

かつての自民党は米国の軍事的要求に抵抗するため社会党と水面下で手を組み、

社会党に平和憲法に基づいた反対運動を起こさせ、

それを口実に軍事負担を少なくして経済成長を達成したことを指す。

 そのため自民党は社会党の議席を減らさないようにした。

かつての中選挙区制は自民党同士の戦いが激しく、

その間隙を縫って社会党は3分の1を超える議席を獲得することが出来た。

自民党はそれを容認することで対米外交を日本の国益に近づける「絶妙の外交術」を

駆使したのである。

 「安倍一強」の政治ではそれが出来ない。

すでに自民党単独では選挙に強くないのだが、公明党が選挙協力をするので勝てる。

しかも野党がバラバラに候補を立ててきたため自公政権は

選挙に勝ち続けることが出来た。

さらに安倍政権は「内閣人事局」を作って霞が関を完全支配し、

それが安倍総理による権力の私物化に拍車をかけた。

「森友・加計問題」はその結果である。

 これを打ち破るのに正論を主張するだけでは全く無理である。

現下のシナリオは米国の足の裏を舐める安倍総理に代わり、

米国と協調しながらも日本の国益を損なわない政権を作ることにある。

従って次期政権は安保法制を認めながら歯止めをかける勢力をも必要とする。

 「希望の党」が安保法制や憲法改正で「選別する」としていることは

そのためのステップと捉えるべきである。

つまり野党第一党になる「希望の党」は政権を取ったその日から

米国と混乱なく対応できる体制を取り、

一方で「選別」によって出来上がるリベラル勢力の塊とは対立しているように

見せながら、かつての「絶妙の外交術」を再現するのである。

 小選挙区制で自公を選挙で打ち破るには「1対1」の構図を作ることが必要である。

「希望の党」とリベラル勢力が競合すればこのシナリオは失敗に終わる。

そうなれば「安倍一強」の政治がこれからも続くことになる。

問題は総理夫人やお友達の関わる事業に税金が不当に使われようとした

歪んだ政治を日本国民が認めるかどうかにある。

 次の選挙で自公が過半数を取ればそれが認められたことになる。

それを認めないのなら現在のごたごたを一過性のものとして、

野党議員は「希望の党」を第一党に押し上げ、次いでリベラル勢力の塊を作り、

さらに水面下の候補者調整で「1対1」の構図に近づける努力をすべきである。

 小池百合子東京都知事は拉致問題で安倍総理と盟友関係にあった中山恭子氏を

引きはがしたのに続き、同じく盟友関係にあった大阪府の松井一郎知事と

選挙での棲み分けを約束した。ここでも安倍総理周辺に楔が打ち込まれた。

大阪の選挙区に「希望の党」は候補者を立てず「日本維新の会」の力によって

自民党を抑え込もうとする。

 従って大阪の小選挙区で立候補予定だった辻元清美氏は「希望の党」入りをしない。

彼女は「小池氏と私は右と左から挟み撃ちで安倍政権を打倒する」と言った。

それが次の選挙の意義を正しく言い当てている。

安倍総理を10月22日で退陣させるのが選挙の目的で

それは右からでも左からでもよい。

権力の私物化という歪んだ政治を終わらせるのである。

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