★政権選択選挙にとどまらない今度の総選挙ー(天木直人氏)

何度でも書くが、今度の選挙の大勢は10月10日の公示日を前に、

すでのその方向が決まるだろう。

 小池百合子が全面に出て来た9月25日以来、

ニュースが分析に追いつかないほどのスピードで進んでいる。

 そして、それは日替わりメニューのごとく、10月10日まで続く。

 きょうの各紙は、ついに今度の選挙を「政権選択選挙」になるとまで書いた。

 それは、もちろん、小池百合子が記者会見でそう語ったからだ。

 きょうの各紙は全国の立候補者予想を一斉に報じているが、

それらの多くは差し替えになるだろう。

 希望の党からの候補者がこれからどんどん決まっていくからだ。

 そして文字通りほとんどすべての選挙区で安倍自民党と小池新党の一騎打ちとなる。

 まさしく政権選択の選挙となるのだ。

 しかし、私はそれにとどまらないと思っている。

 今度の選挙は戦後の政治を根本的に変える選挙になるかもしれない。

 私が驚いたのは民進党が何の抵抗、反乱もなく、希望の党に移る事を了承した事だ。

 民進党に骨のあるリベラルがいて、

反乱を起こしてあらたなリベラル政党をつくるという動きが出てもおかしくない

と思っていたのだが、まるでそれがない。

 いかにいかさまの野党第一党であったかということだ。

 その一方で、共産党が民進党に裏切られたと叫び、

死に体の社民党が共産党との候補一本化を宣言した。

 これを要するに、解散・総選挙の後の日本の政治風景は一変するかもしれないのだ。

 メディアによって小池ブームが起きれば小池新党の議席が事前予想以上に増える。

 安倍自民党を一挙に逆転すればもちろんだが、

たとえそうならなくても安倍自民党の議席を予想以上に減らすなら、

安倍首相は終わる。

 その後は、自民党内部の分裂も巻き込んだ

本格的な保守二大政党の時代が来るかもしれないのだ。

 その一方で戦後の日本の政治の中で一貫して反自民の位置を占めて来た

左翼イデオロギー政党がなくなる。

 いや、なくならないまでも、左翼イデオロギーはますます国民から離れ、

憲法9条はますます守れなくなる。

 つまり、極端に言えば、

小池百合子は戦後の日本の政治のプレーヤーであった自民党と、

野党である左翼政党の両方をリセットすることになるのだ。

 そして、自民党的な政治家たちと社会党的な政治家たちの双方を抱え込んだ

似非保守二大政党の顔をしてきた民主党(民進党)をも、

今度の吸収で完全にリセットしてしまった。

 それだけにとどまらない。

 もし小池新党が安倍自民党より優勢と見るや、

つねに政権を求める公明党は自民党から小池新党に国政においても鞍替えする。

 つまりこれを要するに、今度の選挙は、10月10日までにその大勢が決まり、

選挙後の後に起きる政局で、戦後の日本政治の姿を一変させるかもしれないのだ。

 つまり、日米同盟優先が当たり前の保守二大政党時代が来る。

 もちろんそれを許してはいけない。

 しかし左翼イデオロギー政党がそれを主張する限り国民はついて来ない。

 左翼イデオロギー政党は、憲法9条を本気で守ろうとするのではなく、

憲法9条を自らのイデオロギーの実現の為に利用して来た事を、

国民は見抜いているからだ。

 本気で憲法9条を守る、非イデオロギー的な国民政党が出て来なくてはいけない。

 今度の選挙の後に始まるのは、日米同盟を国是とする二大保守政党に対し、

憲法9条を国是とする国民的な護憲政党が、歯止めをかける、

そういう政治にしていかなければ憲法9条は守れないのである。

Reply · Report Post