★受信料を取る資格のないNHKの国連総会フェイクニュースー(田中良紹氏)

安倍総理の国連総会一般討論演説でNHKニュースはとんでもない印象操作を行った。

前日のトランプ米大統領の演説を前に抗議の退場をした北朝鮮大使が

安倍総理の演説には熱心に耳を傾けたかのようなニュースを伝えたのである。

 NHKはトランプ演説の前に退場する北朝鮮大使の姿を流した後に、

北朝鮮代表団席でメモを取る男の映像を流し、

前日は退席した北朝鮮大使も耳を傾けたとコメントした。

しかしメモを取る男は北朝鮮大使ではなく記録係と思われ、

それも一人しかおらずに周囲はガラガラの空席状態だった。

 前日のトランプ演説をフーテンは生中継で見たが、

それが歴代大統領と比べてどれほど程度が低いかは前回のブログに書いた。

演説後にCNNのニュースコメンテーターたちはトランプ演説が

「ダークサイド」であったと口をそろえた。

 映画「スターウォーズ」を観た方はご存知と思うが、

宇宙のエネルギー(フォース)には光(ライト)と暗黒(ダーク)の面(サイド)が

あり、恐れや怒り、憎しみ、攻撃性という暗い感情から力を引き出すことを

「ダークサイド」と言い、

冷静で穏やかに心を開いて力を得ることを「ライトサイド」という。

 トランプ演説は北朝鮮に対する恐れ、怒り、憎しみ、攻撃性に彩られ

確かに「ダーク」であった。

それを聞いている側の映像も放送されたが北朝鮮代表団の席に大使ではないが

官僚と思しき複数の男がいて周囲は満席状態だった。

議場がガラガラの安倍総理演説とは対照的だった。

 国際社会は誰も安倍総理演説に関心を持たなかったことが一目瞭然だ。

トランプ大統領の「使い走り」に過ぎないことを知っているから当然なのだが、

それをカバーしようとしたのか、

NHKは北朝鮮大使が会場から去る1日前の映像と

安倍総理演説のメモを取る記録係をつなぎ合わせ、

あたかも安倍総理の演説に関心が寄せられていたかのような印象操作を

行ったのである。

 折から衆議院解散が決定的となり事実上の選挙戦がスタートしているさなかである。

選挙を意識するがゆえに安倍総理は国民に北朝鮮に対する憎悪を煽り、

2年前に成立させた安保法制を正当化しようとしている。

そのためには国連総会での活躍を国民に印象づけたかった。

 従ってこのフェイク(騙し)は政府与党を有利にするための印象操作と

考えざるを得ない。NHKは極めて悪質な編集を行い選挙に影響を及ぼそうとした。

それが公共放送を名乗り国民から受信料を徴収して良いものだろうか。

日本の国家構造の中で最も闇の部分と思われるNHKの実態を再度指摘しておく。

 03年に米国が国連に嘘の報告を行いイラクに先制攻撃を仕掛けた時、

真っ先に賛同したのは英国のブレア政権と日本の小泉政権だった。

しかし「大量破壊兵器がイラクにある」という戦争の大義が嘘であることは

すぐに明らかになる。この時、英国の公共放送BBCは徹底的にブレア政権を批判、

ついに任期途中でブレア首相を退陣させた。

 しかし日本の自称公共放送はつゆほども小泉政権を批判することはなかった。

米国でもブッシュ政権の嘘はメディアに厳しく批判されていたのにである。

NHKは過去から現在に至るまで時の政権を批判したことが一度もない。

それが「公平中立」「不偏不党」を掲げるNHKの実態なのである。

 BBCは政権批判を堂々と行う。

政治権力に屈しないメディアと考えるから国民は受信料を支払ってでもBBCを支える。

一方のNHKは政権批判を一度も行ったことがない。

政治権力の言いなりで国民の側に立つことなどほとんどない。

それなのに国民に受信料支払いを迫り職員は日本一高い給与を受け取る。

 NHK職員の平均年収は1700万円強と言われる。

民放各局は足元にも及ばない。おそらく日本の全産業中トップクラスの給与である。

それは政治権力によって確実に守られる組織であるからだ。

BBCとNHKの違いは免許を与えているのが誰かによる。

 BBCは王室から免許されるため政治権力の影響を免れる。

王室は国民の支持がなければ存続できないことを知っているから

政治権力より国民の側に立つ。一方NHKは総務省から免許される。

総務省は政府与党の影響下にあり、さらにNHK予算は国会でチェックされるから

国会は企業の株主総会に当たる。

企業が大株主の意向に逆らえないようにNHKは多数の議席を持つ与党に逆らえない。

 この違いを日本人は理解できない。

天皇より政党や官僚が国民に近く国会に監督させることが民主主義だと錯覚している。

民主主義の長い歴史を持つ英国はそうではない。

民主主義の弱点を知っていて「君臨すれども統治せず」の君主制を

うまく取り入れ政治権力の暴走を抑える。

 戦後の占領期にはNHKが新聞と並び米国の宣伝機関として利用された。

日本軍の悪辣さを国民に植え付ける洗脳教育により

「南京大虐殺」や「マニラ大虐殺」が「戦争の真相」として報道された。

 一時は労働組合の影響力が強く左傾化していると批判されたこともあるが、

それを大転換させたのが「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根内閣である。

高度経済成長により経済で日本が米国を追い抜く勢いになった時、

GHQによって軍国主義の宣伝機関として解体された同盟通信の復活が目論まれた。

 それがNHKを巨大化させるプロジェクトとなる。

米国が打ち上げなかったBS(放送衛星)を買ってきてNHKに打ち上げさせ、

同時に民間子会社38社を所有することを認めた。

世界のどの国もやっていないBS放送が日本で開始され、

世界の趨勢と異なり新規ベンチャーが参入するケーブルテレビやCS放送は

放送の主流になれなかった。

 今ではNHKの子会社の総売上高が民放全局を上回ると言われ、

前述の通り職員の平均年収が日本のトップクラスになるなど肥大化が著しい。

そして戦前の同盟通信と同じく政治権力を握る者にとって

最も利用価値のある組織になったのである。

 批判をかわすため時折はヒューマンな感動物語を放送して国民の支持を得るが、

しかし本質は戦前に大本営発表で国民を騙した同盟通信の戦後版である。

それが安倍総理の指示によるのか、あるいは安倍政権の意向を忖度したのか、

国連総会のニュースで政府与党を有利にする印象操作を行った。

 これを些末な話と片づけてはならない。

そこにはNHKという世界に例のない妙な組織の本性がある。

そしてそのことに国民の多くが気付いていないところに

この国の闇をフーテンは感じてしまうのである。

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