(孫崎享氏)★日本は国家として瓦解の道をひたすら進むのか。
福田元首相は「(安倍政権下で)国家の破滅に近づいている」。
なすべきことは、破壊の道を絶つ、それには安倍政権を絶つ、
それには野党共闘しかないではないか。

1:日本が、社会として、崩壊、或いは敗者の道を進んでいることは間違いない。

2:第二次世界大戦以降、日本は奇跡の経済発展をとげ、世界第二の経済大国に

なった。当時、世界はいぶかった。何故日本はこんな大国になったのであろうかと。

ドイツですら、日本に特別の調査団を出した。

様々な理由が掲げられたが、常に高い教育水準、高い労働力の質が挙げられた。

3:しかし今日全く逆の現象が出ている。

経済協力開発機構(OECD)は9月12日、

2014年の加盟各国の国内総生産(GDP)に占める教育機関への

公的支出の割合を公表した。

日本は3.2%で、比較可能な34カ国中最低だった。

前年は33カ国中32位で、2年ぶりに最下位に転落した。

英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」は5日、

今年の世界大学ランキングを発表した。

日本からは東京大が46位(前年39位)、京都大が74位(同91位)で、

上位200位内に2校が入るにとどまっている。

アジアからは、シンガポール国立大(22位)と、

中国の北京大(27位)、清華大(30位)が入っている。

高等教育でも日本はいまやアジア一の座を守れない。どこかおかしいはずだ。

だがどうしてこんなことになっているのか、

どうしたら是正できるかという真剣な議論はない。

4:分野をかえて安全保障、最近での北朝鮮を考えて見よう。

北朝鮮が、核兵器開発、ミサイル開発を行っているのは事実だ。

これをどう止めるか。制裁は効果がないことは1993年以降、

国際社会は制裁をしたにも関わらず、開発をどんどん進めてきたことをみても

明らかだ。かつ制裁を強化しようと主張する米国、日本は

北朝鮮に影響を与えられる独自の手段は持たない。

影響を与えられる中国、ロシアは、北朝鮮を国家の崩壊にまで追い詰めるのに

反対である。

軍事的手段にうったえれば、北朝鮮はソウルに攻撃するのが明白だ。

その時の被害を考えればとても出来ない。

日本がこの軍事行動に参加すればこれへの報復攻撃が起こる。

北朝鮮がミサイル攻撃した時、これへの防御はない。

日本攻撃出来る中距離弾道ミサイルは200-300発を実践配備していると

言われる。落下するミサイルの速度は秒速2000メートルから3000メートル、

打ち落とそうとするPAC3の速度がマッハ5の1800メートル。射程が15KM。

上空に向け撃つから守っている地域は2-3キロしかない。

市谷に配備しても、国会議事堂も首相官邸も銀座も大手町も歌舞伎町も

どこも守っていない。

北朝鮮の核兵器、ミサイルに対応するには話し合いを行い、

管理していくしか手段はない。

その際には、北朝鮮の体制、指導者を軍事的に排除しないことを明確にすることも

含まれる。それはなにも異常なことでなく、

国連憲章第二条の「武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全

又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない

他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」を追認すればいいだけの話だ。

だが、安倍政権は違う。危機を煽る。強行的発言であじっている。

そして安倍政権の政策を、政府の広報機関化した大手メディアが

大々的に宣伝し、対話路線を主張する人々を攻撃するのが今の日本社会だ。

5:二つの例を出したが、

日本社会では、実態はあるべき姿からどんどん乖離している。

私はこれらすべてに安倍政権に責任あるとまでいうつもりはない。

しかし、安倍政権は、日本社会を、あるべき姿をめぐって議論出来ない社会に

変容させた。世論形勢に重要な役割を占めるメディアから、政権の政策批判、

別の政策提言をする人々を排除した。

この現象はTPP、安保法制、原発再稼働で顕著である。

福田元総理は2017年8月2日、共同通信のインタビューにおいて、

「各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。

恥ずかしく、国家の破滅に近づいている」と日本の政治の現状を痛烈に批判。

さらに、加計疑獄や森友疑獄を挙げつつ、

「政治家が人事をやってはいけない。安倍内閣最大の失敗だ」と語り、

内閣人事局を通じて官僚独裁政治に走っている安倍政権に強い警鐘を鳴らした。

6:そして今10月に総選挙が行われる動きが加速した。

選挙ではどうなるだろう。

自公が3分の2の圧勝と言われている。

まさに絶妙のタイミングで民進党の代表に前原氏がなった。

共産党との野党共闘に消極的である。

7:今、日本で求められているのは、

先ず、日本を破滅に道に突き進むことを止める事だ。

それには、今の自公政権の絶対多数、特に議席の三分の二を絶つことだ。

今回の衆議院選挙の中心はここにある。

8:前原代表のもとでそれが出来るか。出来なければ、破壊の道はますます加速する。

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