★見逃してはいけない日本のインドに対する核拡散協力ー(天木直人氏)

安倍首相が日印首脳会談を終えて帰国した。

 その報道を見ると、バカのひとつおぼえのように、

北朝鮮に対する軍事圧力強化に同調を求めている。

 インド洋への海洋進出を強める中国をけん制している。

 しかし、私がここで問題にしたいのは、北朝鮮や中国に対する軍事的けん制、

対立政策ではない。

 インドに対する核拡散協力だ。

 今度の首脳会談で、日印原子力協定に基づくインドへの原発輸出に関する

作業部会設置が合意された。

 今年7月に日印原子力協定が結ばれた時、

核拡散条約に加盟していない原爆保有国のインドと原子力協定を結ぶ是非について

問題視されたことがあった。

 つまり原発と核兵器開発は紙一重であり、

原爆実験を繰り返すインドに対する原発輸出は核不拡散の方針に背くことに

ならないのかという疑義である。

 しかし、結局日本はインドとの原子力協定に踏み切った。

 そして今度の日印首脳会談においては、

さらに一歩踏み込んで原発輸出に向けた作業部会の設置が合意されたのだ。

 おりから北朝鮮の危機を前にして、

日本国内では非核三原則を見直す動きがでてきた。

 米国の核抑止力にますます頼らざるを得なくなり、

米国の核持ち込みやむなしという声が出て来た。

 核兵器廃絶に堂々と反対するまでになった。

 そんな中でのインドへの核拡散協力だ。

 それでいて北朝鮮の核保有は絶対に認めないという。

 このまま日印原子力協定が進んでいっていいのか。

 その事を警告する記事がどこにも見当たらない。

 憲法9条の下での外交・安保政策が、

どんどんと国民の知らないところで音を立てて崩れつつある。

Reply · Report Post