★原発廃止・消費税廃止「政策連合」で選挙に臨むー(植草一秀氏)

説明責任

李下に冠を正さず

出処進退

は、森友疑惑、加計疑惑を論じる際のキーワードである。

安倍政権は説明責任を果たさない。

国家戦略特区で獣医学部新設を申請し、

分科会にも出席して発言していた事業者と国家戦略特区諮問会議の議長が

飲食接待を受け、頻繁にゴルフを同伴していたことは、

文字通り、「李下に冠を正す」行為であった。

防衛省の守屋武昌元事務次官は防衛専門商社の元専務からゴルフなどの接待を

受けていた問題で収賄罪に問われ、逮捕、起訴され、実刑判決を受けて服役した。

こうした歴史的事実をも想起させる事案である。

安倍首相は森友学園が国有地をタダ同然の価格で取得した問題で、

2月17日の衆議院予算委員会で、

「繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、

まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということは

はっきりと申し上げておきたい」

と明言した。

また、加計問題に関して、3月3日の参議院予算委員会で、

「もし働きかけていたなら責任を取る」

と明言した。

「出処進退」は重大な問題である。

このことに関する国会答弁の重みは他に類を見ない。


森友・加計・山口のアベ友三兄弟疑惑

防衛省日報問題、

共謀罪の採決強行、制定強行

で、安倍首相に対する批判、不支持が沸騰した。

7月2日の東京都議選では、投票前日に街頭に立ったところで、

「安倍帰れ!、安倍やめろ!」

の主権者コールに見舞われた。

この主権者に対して安倍首相は

「こんな人たちに負けるわけにはいかない」

と指を指して糾弾した。

そして、翌日、その主権者によって安倍自民党は歴史的な大敗を喫したのである。

安倍政権は疑惑から逃亡するかのように国会を閉幕し、都議選に挑んだが、

その都議選で討ち死にした。

野党は一気呵成に安倍政権を追い詰める局面であったが、自ら巨大な政治空白を

作り出したのが民進党である。

そして、ようやく実施した代表戦で新代表を決めたものの、幹事長選出に際して

大失態を演じてしまった。


山尾志桜里議員は疑惑を否定したが、全否定するなら人事を差し替える必要はない。

すべての質問に答えて、疑惑を晴らすべきである。

それを安倍政権に求めてきたのではないのか。

疑惑が事実なら、事実を認めて潔く責任を取る。

疑惑が事実でないなら、堂々と、疑惑を払拭するまで説明責任を果たし切る。

「説明責任」、「李下に冠を正さず」、「出処進退」は三位一体の行動規範である。

前原新体制が疑惑を否定するなら、人事を差し替えずに山尾氏を幹事長に据えて、

その代わり、完全なる説明責任を果たすべきだ。

逆に、疑惑が事実なら、事実を率直に認めて、しかるべき対応を取るべきである。

疑惑が事実なら議員を辞職するしかないだろう。

辞職すると補欠選挙が実施され、その補欠選挙に勝つことが難しいから

辞職せずに離党で済ませ、疑惑を否定するというのは、最悪の対応である。

疑惑を否定するなら、少なくとも「説明責任」を完遂する必要があるだろう。

国会で安倍首相に説明責任を求めて逃げられたときに、

これを糾弾することは不可能になる。

この対応を指揮する最高責任者が前原誠司氏である。

山尾氏に対して、説明責任を完全に果たすよう、

厳しく指示するのが党の責任者としての責務ではないのか。

人事の失敗よりも、問題発覚後の対応に重大な問題があり、

これを理由に民進党から大量離党者が生じても、誰もそれを咎められなくなるだろう。


民進党の最大の問題は、基本姿勢が主権者の側を向いていない点にある。

代表戦では、極めて重大な問題が浮き彫りになった。

それは、民進党内に相容れぬ、正反対と言ってより路線対立が存在することが、

改めて明確になったことだ。

原発、憲法、消費税

そして

野党共闘についての基本戦略

において、真逆の路線が並存していることがはっきりとしたのである。

もともとはっきりしていたが、二人の候補者の方針に、

このことが明示されたのである。


このことを明らかにしたことは意義のあることだ。

どちらが良くて、どちらが悪い、という類の問題ではない。

「政治路線」が「真逆」の勢力が同居していることが明確になったことに意義がある。

このことが明らかになった以上、しっかりとした話し合いで、党を分割することを

協議するのが、主権者の側を見た対応なのだ。

完全に真逆の路線だけれども、代表戦が終わったら、

相互に、それなりのポストで処遇し合って、また一緒にやってゆきましょう、

というのは、一見「穏当な対応」に見えるかも知れないが、

実態は主権者に対する「背信」行為である。

主権者が選択するべき二者択一の最重要事項が、

原発稼動・憲法改定・消費税増税を推進する政治路線



原発廃止・憲法護持・消費税減税を推進する政治路線

であって、この両者が共存する政治勢力を「ひとつの政党」とは呼ぶことができない。

前者の政治路線を掲げる者は、当然のことながら、共産党との選挙協力などできない、

ということになるし、

後者の政治路線を掲げる者は、当然のことながら、共産党との選挙協力を積極的に

推進するべき、ということになる。


大きな政党で居続ける方が、選挙に当選しやすいから、

真逆の勢力でも一緒にやってゆきましょうというのは、

結局のところ、自分の身の安泰しか考えていない、主権者無視の姿勢なのだ。

したがって、民進党は党を分割して、

自公勢力と類似した政策を推進する勢力になる道を選ぶ者と、

自公と対峙する政策を推進する勢力になる道を選ぶ者に、分かれるべきだ。

そのうえで、自公と対峙する政策を推進する勢力の結集を目指す者は、

他の野党と連携して、より大きな政治集団になることを目指し、

共産党とも強固な選挙共闘体制を構築するべきである。

自公と類似した政策を推進する勢力の結集を目指す者は、

自公に合流するか、小池国政新党と合流する道を選べばよい。

こうなると、三つの大きな塊ができることになるが、

その三つの塊が、次の総選挙で「天下分け目の決戦」を展開すればよいのだ。


その際に問題になるのが、民進党に蓄積されている政党交付金である。

政治活動を展開する上で、軍資金は極めて重要だろう。

この軍資金の公正な分割を行うべきだ。

基本的には議員数で按分して分割するべきだ。

日本の政党交付金も最大の問題は、政治活動な資金の公的助成が、

政治家本人ではなく政党に交付されることだ。

政党に交付され、政党の幹部が資金配分権を独占してしまうと、

党の執行部が強大な権力者になってしまう。

党内民主主義が損なわれるのである。

また、この資金を目的に小政党が乱立しやすくなる。


したがって、政治活動費の助成であるなら、

政党ではなく、政治家個人に助成するべきである。

それぞれの政治家がこの資金を持ち寄って、政党になるなら、

その政党が各議員の意向に沿って、その政治資金を有効活用できることになる。

そして、そもそも、政治活動に対する公的助成は、

企業団体献金を廃止するための制度として創設されたものだ。

2009年の鳩山政権は企業団体献金の全面禁止を公約に掲げたが、

鳩山政権が菅直人氏一派によって破壊、強奪されてからは、

企業団体献金全面禁止公約が闇に葬られてしまった。


次の総選挙に向けては、

原発廃止

消費税減税

悪法廃止

の三つの政策を公約に掲げる候補者を、主権者が各選挙区にただ一人絞り込む。

主権者主導の「政策選択選挙」を実現させるべきだ。

政策を基軸に結集する「政策連合」を創設し、

この「政策連合」が

1選挙区1候補者の体制

を構築する。

主権者の支持を完全に失っている民進党は、次期総選挙の主役に成り得ない。

民進党ではなく、主権者による「政策連合」を次の衆院総選挙の主役に

しなければならない。

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