★原発&消費税廃止候補者1選挙区1人擁立を確立ー(植草一秀氏)

安倍政治を打破して、主権者が日本を取り戻すには、

まず10月22日の重要選挙に勝利しなければならない。

民進党内には二つの異なる政治グループが存在する。

その異質の勢力が同居するために、対外的な政策アピールが極めて分かりにくくなる。

これが選挙協力の際にも大きな障害になる。

民進党代表戦でこのことが改めてクローズアップされたが、

民進党はこれまでのような「水と油の同居状態」を続けてゆく姿勢を示している。

日本政治刷新の最大の障害が今後も残存する可能性が現状では高い。

仮に、いまの状態が続くことを前提に考えるなら、

当面の最大の焦点は10月22日の重要選挙ということになる。

10月22日に、青森4区、新潟5区、愛媛3区の衆議院補欠選挙が実施される。

いずれも自民党現職議員が死去したことに伴う補欠選挙である。

そして、同じ日に宮城県知事選挙が実施される。

現職の村井嘉浩氏が出馬の意向を表明している。

この4つの選挙に自公陣営が全敗すれば、安倍首相は引責辞任を迫られる。

自民党は新しい首相を擁立することになるだろう。

この意味で、安倍首相は10月22日の選挙に絶対に負けられないとの考えを

有していると思われる。

さらに、この事情から、9月末召集予定の臨時国会の冒頭での衆院解散、

10月22日投票での衆院総選挙実施の可能性がささやかれている。


安倍政権は通常国会を6月18日で幕引きした。

共謀罪創設法案の参議院委員会採決を飛ばして、

いきなり本会議にかけるという横暴な国会運営を示した。

森友・加計・山口三兄弟疑惑は深まるばかり。

自衛隊日報問題も核心が明らかにされていない。

野党は国会審議を求めて、国会召集を要求した。

日本国憲法第53条は、

「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、

内閣は、その召集を決定しなければならない。」

と定めており、安倍内閣は国会を召集することが憲法の規定で命じられている。

ところが、安倍首相は憲法の規定を無視して国会召集に動いていない。

憲法をないがしろにする行為であり、このことだけで安倍首相は失格である。

その臨時国会を通常国会が閉幕してから3ヵ月半も経過する9月末に

召集しようとしているのだ。

野党は憲法違反を主権者国民に分かりやすく訴えるべきである。

安倍首相がこの臨時国会冒頭でどのような行動に出るのか。

注目が集まる。

森友・加計疑惑は、もはや疑惑の段階を超えて、

さまざまな犯罪事案の捜査が本格化する局面を迎えている。

臨時国会で安倍首相が厳しく糾弾されることは避けられない情勢である。


国会で安倍首相が徹底的に糾弾されれば、

内閣支持率は再度急落することになるだろう。

その国会審議を受ける時期に10月22日が到来する。

国会召集時期は、普通に考えると、

10月22日選挙での与党に対する逆風をもたらすものであるように思われる。

ひとつの見方として、この選挙で自公を敗北させて安倍退陣を実現させる。

そのうえで、自民党総裁・内閣総理大臣を辞任させ、

新しい自民党総裁、内閣総理大臣を生み出す。

この新体制下で、次の総選挙が挙行される。

与党内部で、このような筋書きを書いている勢力が存在するようである。

すでに、安倍辞任を前提とするシナリオが自民党内部で用意されているとの

見立てである。

これに対して、安倍首相が続投を狙っているのだとすれば、

10月22日の補選・知事選に勝つ



臨時国会冒頭での衆院解散に踏み切る

のいずれかしか、道はないということになる。

野党陣営はこの状況を踏まえて対応するべきである。

いま、何よりも重要なことは、三つの補欠選挙と宮城知事選のすべての選挙に、

共産党を含む野党共闘候補を擁立することである。

そして、必ず4勝を勝ち取る。

これしかない。

民進党議員で共産党との共闘はできないと考える者は、民進党を離れればよい。

共産党を含む野党共闘で4つの選挙に勝ち抜くこと。

これが日本政治刷新に向けての号砲になる。


臨時国会での安倍首相糾弾と、それに連なる重要選挙で、

安倍政権与党が大敗すれば、安倍首相は退陣せざるを得ない。

安倍首相自身がすでにこのシナリオを受け入れている可能性もある。

その場合には、新しい政権体制に野党勢力が対峙しなければならなくなる。

いずれにせよ、鍵を握るのは「共産党を含む野党共闘」の可否である。

昨年7月の参院選の選挙区選挙では、

北海道、秋田をのぞく東北、新潟、長野、山梨、三重、大分、沖縄で

野党共闘陣営が勝利した。

野党陣営が勝利した面積は日本全土の45%。

与党陣営が勝利した面積が日本全土の46%だったから、

面積比では完全に互角の戦いだった。

32の1人区では野党陣営が11勝21敗となったが、

にわか作りの野党共闘は一定の成果を挙げた。


この参院選で野党共闘陣営が勝利した

青森、宮城、新潟で選挙が行なわれる。

愛媛県は自公陣営が勝利したエリアであるが、

件の森友学園は愛媛県を舞台に広がっている問題である。

臨時国会で森友学園問題での補助金詐取疑惑と国家戦略特区諮問会議を舞台にした

意思決定の不透明さが改めてクローズアップされることは、

愛媛県知事選に強い影響を与えることになる。

これらの状況を踏まえれば、これらの4つの選挙のすべてで、

野党共闘陣営が勝利することは決して不可能でない。

しかし、それには重要な前提条件がある。


それは、共産党を含む強固な野党共闘の体制を構築することである。

前原誠司氏が民進党の代表として政権交代を目指すというなら、

共産党を含む野党共闘を強固なものにするしかない。

共産党との強固な共闘体制を構築できなければ、

衆院補選&知事選で4勝することは、まず不可能になるだろう。

前原氏にとって、最初で最重要の判断事項がこの問題になる。


そして、次の総選挙に向けては、

原発廃炉



消費税減税

の旗を高く掲げるべきである。

昨日付記事に記述したように、前原氏が目指す歳出構造の抜本的な改革を

実現するためには、消費税収をいったん国民に返納するというプロセスが必要なのだ。

「歳出構造改革を断行することなしに、消費税に頼ることは許されない」との強い

プレッシャーがなければ、歳出構造改革など、絶対に実現しようがないのだ。


主権者国民にとって、何よりも切実な二つの問題。

放射能の恐怖から逃れること。

格差社会の地獄の恐怖から逃れること。

この二つの問題に対する明確な路線を提示して総選挙を戦うのである。

「政策を軸に選挙を行うこと」

が当然の基本戦略である。

原発と消費税の問題で、明確に足並みをそろえられる主権者と政治勢力が

大同団結する。

この点で共産党が一致するなら、共産党を排除する理由がない。


民進党のなかに、

原発推進

消費税増税推進

の主張を示す者がいるなら、その者が「政策連合」から離脱するべきだ。

前原誠司氏がその主張にこだわるなら、離脱するべきは、

前原氏自身ということになってしまう。

前原氏が本当に政権交代、日本政治刷新を求めるなら、この道を進むしかない。


民進党が共産党を含む野党共闘構築に進まぬ場合は、主権者が主導するしかない。

主権者が

原発廃炉・憲法改悪阻止・消費税減税

の旗を掲げ、これを公約に明記する者を、すべての選挙区に、ただ一人擁立する。

この統一候補者に主権者勢力の投票を一本化する。

これを主導できるのは主権者以外にはない。

まずは、これを10月22日の3つの補選&1つの知事選で完遂することが

何よりも重要である。

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