宇野くんIN記事(ほぼ)全訳あげてみました☺️


その日は8月の、カラッと晴れて80℉台の完璧な夏の朝だった。こんな日は皆外に出かけるためになんでもするだろう。
そして、フィールドホッケープレイヤーで15歳のイツキや彼の父親はその通り、屋外へと向かっていた。彼らは、宇野の3週間の合宿の間毎日そうしているように、ゴルフをしに向かっていた。

イツキの兄、ショウマはゴルフには参加しない。
「外にいるのはそんなに好きじゃないんです。」通訳を通じて彼は言い、彼の顔に浮かぶニヤリとした笑みは雄弁だ。

宇野は、夏の日でも夏とは正反対の環境にいることになんの不満も感じない。屋内リンクで、先シーズン9試合全てで表彰台に乗る手助けをしたジャンプエキスパートのコーチングを受ける。9試合のうち5試合は優勝し、世界選手権では前年の7位から2位に順位をあげた。
「こんなに上達したのは驚きでした。」と宇野は言う。
だから、今年もグレーシャーアイスアリーナにオリアシェフから教えを受けるために戻ってきたことは当然だった。だがこれはただの呼びものではない。能力としては明らかに彼に及ばないスケーターたちと氷をシェアしたのだ。
「自分が何かが特別得意だとは思いません。同時に、何かに特別劣っているとも思わないので、それが自分というスケーターだと思っています。」

この日、宇野は1本40分の練習の2本目の終わりに近づいていた。彼は新フリーの、有名なアリアで始まるプログラム最後のパートを何度か再生していた。目的は、3本のクワドと2本の3Aを含む8本のジャンプを後半に跳ぶプログラムに向けて耐久力をつけることだ。
ほぼ全てのジャンプの後で、オリアシェフコーチはジャンプのトレースを観察し、メモする。ジャンプの大きさ、エントランスの正確さ、ランディングの安定などを。
音楽を消したあと、宇野は単独でジャンプを練習しはじめた。3Tと見間違うほどの簡単さで4Tを跳んだあと、今シーズン入れたいと願っている4Lzを練習し始める。長いこと3Lzのテイクオフエッジに苦戦している彼にとっては大きな挑戦だ。
宇野が一本転倒した際に、オリアシェフは「タイミングだ」と声をかけた。
宇野は英語をほとんど話さないが、スケーティングイングリッシュとでも呼ぶべきものは理解しており、目にかかる髪を振り払ったあと大きく頷いてコーチにわかった、と合図した。
「彼がトウピックをつくタイミングはほとんどの場合で遅すぎるんだ。長いことグライドしてからつく。」とオリアシェフは説明する。
宇野は先シーズンの4本に加えて5本目のクワドを跳ぶ予定にしている。
これほどまでに男子フィギュアの戦いは熾烈で、毎シーズン難度は増している。
「皆の進化のスピードには驚いています。幸い僕もその一員なので、このレベルでのなので戦いが大変だとは感じていません。」

宇野は先シーズン、4Fと4Loをレパートリーに加えた。2016年4月には、史上初の4Fを試合で降りた。16-17シーズンには18本の4Fを跳び、全て認定され、うち9本ではプラスのGOEを獲得した。そのうち2本は2017世界選手権でのことだった。
2年前から4Loに着手し、オリアシェフコーチに動画を見せたあと、磨きをかけた。2017の4CCで初めて試合で跳び、なんとGOE2.43の評価を得た。

この四回転の進化の道のりで、宇野はグレイシーゴールドが全米ジュニアチャンピオン、世界ジュニア銀メダリスト、2013全米2位になるまでコーチをしていたオリアシェフの教えを受けるようになった。
彼を宇野のマネージャー、オオハマコウジに勧めたのはスケーティングエージェントのアリザカリアンだった。
宇野の母親はこう言う。「ジャンプコーチを探していたのです。グレイシーのジャンプは好きだったので。」
宇野が初めてシカゴに来たのは2016年の夏のことだった。その後訪ねて来たのは4回になる。
「声がかかったのはとても驚きでした。僕はワールドレベルのコーチではないから。」とオリアシェフは言う。
ウクライナ出身のオリアシェフは、世界で最も優れた若きスケーターの1人をコーチすることに躊躇いがあった。友人でコーチのアレクセイレトフに相談し、自信を得たうえで引き受けることにした。

宇野も、オリアシェフが何を要求するか最初は手探りだった。
「最初は、練習に没頭しすぎてとても疲れていました。今は自分をコントロールしてバランスを取ることを覚えました。良い結果が得られたので、また今年も戻ってくることにしました。」
宇野は15-16シーズン終盤に調子を落とした理由がオーバートレーニングと試合数の少なさにあったと考え、16-17シーズンにはたくさんの試合をこなした。4CCのあと、世界選手権までの6週間にAWG、クープドプランタンと試合を入れたのだ。
「2年前は、四大陸から世界選手権の間に長い間試合をしないで臨みました。四大陸であまりいい試合ができず、それで自分にプレッシャーをかけてしまいました。昨年はそうならないように試合をたくさん入れて、いつでも試合ができるようなコンディションに調整しました。」

宇野はフィギュアスケートに熱狂する国の、世界選手権銀メダリストとして今シーズンに入ることになる。同胞のオリンピック金メダリスト、世界チャンピオンの羽生結弦の凄まじい人気で、宇野からは注目が逸れるだろう。
「羽生くんは尊敬する存在です。スケートに対する態度が好き。もちろんすごいジャンパーでもありますが、バランスのとれたオールラウンダーだとも思います。」
「誰かを追いかけている方が精神的には楽。でも多分僕の方が長く現役を続けることになるので、いつかは僕が追われる立場になれるといいなと思います。」

名古屋出身の宇野はトヨタやコラントッテからのサポートを受けている。来月にはカレンダーも発売される予定だ。
だがこの小さなスターは、彼への注目による生活への影響はさほどないと強調する。
「思われているほど、人に気づかれたりしないですよ。たまに声をかけられるくらいなので、よかったです。」
日本では有名人では?と尋ねられると、宇野は恥ずかしそうに言う。
「考えないようにしています。」

今年は中京大を休学しスケートに専念するが、オリアシェフと宇野は五輪優勝や最有力候補の羽生にいかに勝つか、などには集中しないようにしている。
「今シーズンの目標は特にありません。最終的には目標は今シーズンではなくもっと先にありますから。」
最初の試合は昨シーズンと同じくロンバルディアトロフィーとなる。GPSはカナダとフランスにアサインされている。12月末の全日本後にはまたシカゴで練習する予定だ。
オリアシェフは宇野をこのように評価する。
「時折、大好きな人間をコーチする機会に恵まれるんだ。ただ助けたい、と思うような。彼は英語をあまり話せないけど、人柄が明るくて機嫌の悪い時でも良くなってしまうような人。まるで晴れた日のように明るい。」
宇野は外出する必要がないのかもしれない。彼自身が太陽のように、リンクに温かさをもたらすのだから。

Reply · Report Post