★獄に繋がれ犯罪人に仕立て上げられるよう「祈ります」ー(植草一秀氏)

安倍晋三首相は本年2月17日の衆議院予算委員会において、

民進党の福島伸享議員が次のように質問した。

「あえて言いますけれども、この小学校の名誉校長とされているのが

安倍昭恵先生という方で、右を見ると、安倍晋三内閣総理大臣夫人と書いております。

この理事長の籠池先生の教育に対する熱い思いに感銘を受け、

このたび名誉校長に就任させていただきましたと。

この事実、総理は御存じでしょうか。」

この質問に対して、安倍首相は次のように答弁した。

「この事実については、事実というのはうちの妻が名誉校長になっている

ということについては承知をしておりますし、妻から森友学園の先生の

教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いております。

ただ、誤解を与えるような質問の構成なんですが、

私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、

一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。

もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということで

ありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。」

さらに、安倍首相は次のように繰り返した。

「いずれにいたしましても、繰り返して申し上げますが、私も妻も一切、

この認可にもあるいは国有地の払い下げにも関係ないわけでありまして、

なぜそれが当初の値段より安くなっているかということは、

これは理財局に聞いて、もう少し詳細に詰めていただきたいと思いますし、

認可においては、大阪府ですか、小学校、中学校ですから大阪市になるのかな。
(福島委員「府です」と呼ぶ)ああ、府ですか、に確かめていただければ

いいことであって、私に聞かれてもこれは全くわからないわけでありますし、

繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、

まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということは

はっきりと申し上げておきたい。」


安倍首相は森友学園について、

「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いております」

と述べ、

「私の考え方に非常に共鳴している方で、その方から小学校をつくりたいので

安倍晋三小学校にしたいという話がございました」

と述べている。

安倍首相夫妻と森友学園の籠池泰典氏とは蜜月関係にあった。

現に、安倍昭恵氏は森友学園が「安倍晋三記念小學院」として設立しようとした

「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長に就任している。

2015年9月のことだ。

籠池氏は名誉校長に就任した安倍昭恵氏に学校用地の賃貸借の条件、

ならびに購入などに関する相談をし、

安倍昭恵氏は秘書役の公務員である谷査恵子氏に指示して

財務省との折衝を行わせたと見られる。

安倍昭恵氏の秘書役の谷査恵子氏からの折衝を受けて財務省が異例の対応を示した。

その結果として、時価が10億円は下らないと見られる国有地が

実質タダ同然の価格で森友学園に払い下げられた。

森友疑惑の核心は、国有地の不正廉売・不正払い下げ疑惑である。

国有地を不正に低い価格で払い下げることは、財政法第9条に違反し、

国に損失を与えるもので、刑法の「背任罪」に該当する疑いが濃い行為である。

この問題が森友疑惑の核心である。


国会で安倍昭恵氏の関与を追及されると、

安倍首相は籠池泰典氏を悪人に仕立て上げる行動に突き進んだ。

財務省等ならびに首相官邸方面と接触していた顧問弁護士の酒井康生氏から、

小学校認可申請の取り下げをすればすべてを丸く収めるとの感触を得た籠池泰典氏は

小学校設置認可申請を取り下げた。

ところが、その後、籠池氏だけを犯罪人に仕立て上げる動きが本格化したことから、

籠池氏は安倍昭恵氏の関与に関する情報を全面的に公表する行動に進んだ。

このことによって、安倍昭恵氏の関与の実態が鮮明に浮かび上がったのである。

森友学園の補助金受給に「瑕疵」があったのなら、

それはそれで正される必要があるだろう。

しかし、森友学園が受給していた国土交通省の

「サスティナブル建築物先導事業に対する補助金」の不正受給容疑について、

補助金適正化法違反ではなく、刑法の詐欺罪容疑で逮捕、勾留したことを、

元検事で弁護士の郷原信郎氏が、緻密な論理構成で指弾している。

郷原氏は、

「立法経緯からは、適正化法違反が詐欺罪の特別規定で、

同法違反が成立する場合には、詐欺罪は適用されないという趣旨であることは

明らかだ」

と指摘している。さらに、

「今回の森友学園の事件で不正受給が問題とされた国の補助金は総額でも約5640万円、

正当な金額との差額の「不正受給額」は、そのうち3分の2程度と考えられるので

2000万円にも達しておらず、しかも、全額返還済みである。

籠池氏の事件は、むしろ、適化法違反としての処罰にすら値しない程度の事案である

としか考えられない。

そうであれば、むしろ、「適化法違反で、罰金刑ないし起訴猶予」というのが、

本来行われるべき適正な処分である。」

と指摘している。

しかし、大阪地検特捜部は8月21日、籠池泰典氏夫妻を詐欺罪で起訴した。

さらに、大阪地検特捜部は同日、森友学園が運営する塚本幼稚園(大阪市)を巡り、

大阪府から補助金約9200万円をだまし取ったなどとして、

籠池泰典氏夫妻を詐欺と詐欺未遂の疑いで再逮捕した。

籠池氏夫妻はさらに20日間勾留される可能性が高い。

権力に歯向かったことによる「拷問」である。

日本はすでに完全な暗黒国家に転落している。


森友疑惑の核心は、国有地の不正払い下げである。

実行したのは近畿財務局であるが、財務省本省が深く関与していると見られる。

証拠隠滅を防ぐには、早期の強制捜査が必要である。

近畿財務局および財務省理財局への家宅捜索が必要である。

ところが、検察は、疑惑の本丸捜査に本腰を入れず、

疑惑を告発している籠池泰典氏夫妻を「拷問」している。

「祈ります」しか言えないのではないかと見られている安倍昭恵氏は

どこで何をしているのか。

安倍首相は、

「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく

総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」

と国会答弁で明言しているのだ。

しかし、これまでに明らかになった事実は、安倍昭恵氏が関与して、

財務省が当該国有地の激安払い下げに動いたというものだ。

近畿財務局が希望買い入れ価格を森友学園に尋ねて、

その希望価格帯のほぼ下限の価格で国有地を払い下げた。

埋設物処理費用を控除したというのは、払い下げ価格を決めて、

これとつじつまの合う数字を「捏造」したものであることは、ほぼ明確になっている。


逮捕、勾留するべきは、「背任罪」の実行犯ではないのか。

そして、安倍昭恵氏の関与を確認したなら、

安倍首相が国会答弁に従って首相と国会議員を辞任する。

これが森友疑惑処理の基本線である。

籠池泰典氏は、

「安倍昭恵夫人が関与したこと」

を証言している。

このことは、主権者国民にとって、極めて重要な情報である。

そして、この場合、当然のことながら、安倍首相の辞任問題、

国会議員辞職問題が浮上する。

安倍首相は辞任し、国会議員も辞めざるを得ない。


このような重大証言をしたから、籠池氏夫妻が長期にわたる勾留の憂き目に

遭っているのなら、本当にこの国は末期的な状況であると言わざるを得ない。

この国の警察・検察・裁判所には法も正義も通用しない。

警察・検察・裁判所は、単なる権力の番人に過ぎない。

権力を守るのではなく、権力に歯向かう者を、理不尽、不条理に

弾圧するだけの機関に成り下がっているのだ。

ゲシュタポというのが適正な名称だろう。


補助金不正受給を問題にするなら、その本丸は加計学園である。

獣医学部校舎建設の建築坪数9857坪、建築費192億円の見積もりを基に、

愛媛県今治市が96億円もの税金投入を3月31日にたった1日の審議で決定した。

設計段階の建設費坪単価は150万円だが、

設計図を見た建築エコノミストの森山高至氏は、

「獣医学部なので特殊な建物かと思っていたら、

ごく普通の商業施設と同じレベル。なんらかの獣医学部の施設がプラスされる

のでしょうが、坪単価で80万円から、高くとも100万円でしょうね。

とても150万円するとは思えない」

と述べたことを週刊朝日が伝えている。

坪単価が100万円のものを150万円として計上し、

建築費を192億円に水増しして補助金を96億円受給するなら、

これこそ桁違いの不正受給となる。


加計学園は、「最先端のライフサイエンス研究ができる施設、設備を設置すること」を

謳い、これまでの獣医学部にはない、最先端のライフサイエンス研究のために

「バイオセーフティーレベル3」

の施設をつくるとしている。

鳥インフルエンザ、HIVウイルスなどを研究対象とするために、

細菌やウイルス、微生物などを厳重な管理下で研究するための施設が必要になる。

しかし、外部に流出した設計図面関連資料は、隔離性が低く、

「バイオセーフティーレベル3」

の施設にはなっていないと専門家から指摘されている。

つまり、建設費が過大見積もりになっている疑いが濃厚なのである。


安倍政権は憲法が規定している臨時国会の召集を行っていない。

憲法違反の行動を続けている。

早急に臨時国会が開催されなければならないが、臨時国会では、引き続き、

安倍昭恵氏、ならびに加計孝太郎氏の証人喚問が強く求められる。

安倍首相が真摯な姿勢を示さなければ、

安倍政権打倒=倒閣の動きは日本全土に燎原の火の如くに広がることになるだろう。

10月22日には愛媛3区、新潟5区、青森4区で衆院補欠選挙が実施される。

安倍政権が森友・加計疑惑の真相解明を怠るなら、

衆院補選で安倍政権は三敗を喫することになるだろう。

この見通しから、どさくさに紛れて安倍首相が衆院解散に打って出る可能性がある。

主権者は、いつ解散総選挙があっても、必ず安倍暴政を排除し、

反対勢力による政権を樹立しなければならない。

森友・加計疑惑が日本政治刷新を生み出す重要な契機になる可能性が高い。

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