★戦後日本「闇の支配者」が描く政界再編構図ー(植草一秀氏)

次の総選挙は来年12月までに必ず実施される。

この選挙で、日本政治の転換を図らなければならない。

国政は国民の厳粛な信託によるものである。

その国政の基本方向を定めるのが衆議院の総選挙である。

選挙によってどのような政権を構築するのか。

そして、どのような政治を実現するのか。

これを決めるのは、主権者である国民だ。

森友・加計疑惑のような政治私物化問題、政治腐敗問題は論外で、

そのような腐敗政治は一秒でも早く消滅させなければならないが、

万が一、次の衆議院総選挙まで安倍政権が存続している場合には、

その腐敗政治を排除するとともに、安倍政治の基本政策路線の是非を、

主権者国民が判断しなければならない。

具体的には、

原発稼働の是非、

集団的自衛権行使の是非=戦争法の是非

弱肉強食推進政策の是非

を主権者が判断する必要がある。

したがって、これらの基本政策課題について、

安倍政治の基本方針に賛成する勢力と、

これに反対する勢力とが真正面から対峙して、

これを選挙の争点として掲げることが望ましい。

政策を争点に、主権者が政策を選択する「政策選択選挙」を実現しなければならない。


したがって、どの党が好きだとか嫌いだとか、

この政党と組みたいとか組みたくないといった、低次元の発想ではなく、

基本政策路線を共有する政治勢力と主権者が大同団結して選挙に臨むことが

求められる。

「政策連合」の構築が何よりも大事になる。


この意味で、いま、何かと話題に上る小池国政新党は、

安倍自民党と対峙する反対勢力にはなり得ない。

なぜなら、小池国政新党が示す基本政策路線が

安倍自民勢力とほとんど同一であるからだ。

日本の主権者の求めている基本政策路線が安倍自民および小池国政新党勢力が示す

基本政策路線と同一であるなら、安倍自民と小池国政新党勢力が

二大勢力を形成して、政権交代を繰り返せば、それで問題はないだろう。

しかし、安倍自民および小池国政新党が掲げる基本政策路線には

絶対に反対であるとする主権者が広範に、多数存在するなら、

安倍自民と小池国政新党勢力という二つの勢力では

主権者国民の意思を反映する政治は実現しない。

安倍自民および小池国政新党の基本政策路線と明確に対峙する基本政策路線を掲げる

政治勢力と主権者が大同団結して、選挙で戦うことが求められる。

三つ巴の戦いになるなら、反安倍政治を掲げる勢力が勝利する可能性は

極めて高くなると考えられる。

戦後の日本政治を支配してきたのは米国である。

米国が表と裏側から日本政治に介入して日本政治が誘導されてきた。

その対日政治工作の中心を担ってきたのがCIA(米中央情報局)であると

考えられる。


CIAは米国の政権に支配される存在ではない。

米国を支配する勢力に支配される存在である。

ときに米国を支配する勢力の直接支配下にはない大統領が誕生することがある。

このようなときに、CIAは大統領の指令によって動かず、

米国を支配する勢力の指令によって動く。

そして、CIAが大統領に対して牙を剥くことも生じるのである。

日本のNHKが時の政権の指令ではなく、

日本の支配者=米国を支配する者の指令に従うのと極めて類似している。

日本支配を維持しようとする「米国を支配する勢力」は、

日本支配の構図を維持するために、

日本を新しい二大勢力体制に移行させようとしている。

現在の日本の政権は自公勢力が担っているが、

これと類似した「第二自公勢力」を構築して、

自公と第二自公による二大勢力体制に移行させようとしているのだ。

米官業が支配する日本政治の基本構造を、何が何でも維持し続ける。

これが日本支配者の絶対的な課題である。

これは、裏を返せば、日本政治の基本構造を改変してしまう政権の誕生、

あるいは、強い政治勢力の出現を、何としても阻止するということである。

第二次大戦後の日本において、彼らにとって真正の危機が三度あった。

第一は、1947年に片山哲内閣が誕生したとき、

第二は、1993年に細川内閣が誕生したとき、

そして第三は、2009年に鳩山内閣が誕生したときである。

本当の意味で、日本政治の基本構造を変えてしまう勢力、

変えてしまう可能性のある勢力が日本に出現することを阻止する。

これが、彼らの最重要課題になっている。

この文脈を正確に理解することが、

日本政治刷新を実現するためには必要不可欠なのである。


彼らが危険視した最大の存在が、2006年に誕生した小沢民主党であった。

民主党の大躍進は2006年4月に小沢一郎氏が民主党代表に就任した瞬間から

始動した。

千葉7区の衆院補選で民主党が奇跡の逆転勝利を収めてから大躍進が始まった。

2007年7月の参院選で大勝。

そして、2009年の衆院選で見事に政権交代を実現させたのである。

私がブログを立ち上げた当初に、既得権勢力が以下に小沢民主党を

危険視していたのかを詳述した。

民主党の外側から、そして、民主党の内側から小沢氏は激しい攻撃と謀略工作を

受け続けたのである。


2008年夏にフジテレビが「CHANGE」と題する政治ドラマを放映した。

「第三極政党」を人為的に創出するための下地を作るためのドラマであった。

この延長上に創設されたのが「みんなの党」である。

反自民票が、真正の対峙勢力政党=当時の小沢・鳩山民主党に集中して流れるのを

阻止するために、「隠れ与党」としての「第三極政党」を人為的に創作したのである。

しかし、「みんなの党」の勢いは弱く、小沢・鳩山民主党による政権樹立を

阻止できなかった。

このことから、日本支配勢力は、新たに橋下徹氏を活用することにしたのだと

思われる。

日本の巨大御用メディアが超絶的な広報宣伝費を投じて、

橋下勢力をひとつの政治勢力に押し上げた。

そして、その延長上に、新たに起用されているのが小池百合子氏なのである。


同時に推進されてきたことが、民主党=民進党の「隠れ与党化」である。

2009年の小沢-鳩山民主党は、

まさに彼らが恐れる真正の既存政治体制破壊勢力であった。

この危険な民主党を殲滅することに彼らは総力を結集したのである。

その成果として鳩山政権が破壊され、

既得権勢力に寝返った菅直人氏を首班とする政権が創設された。

その流れを受けたのが野田佳彦政権である。

この野田佳彦政権が消費税増税に突き進んだことで、

民主党は事実上、完全破壊されたのである。

このとき、彼らにとって、最大の危険物が、小沢新党=国民の生活が第一だった。

日本のメディア、既得権勢力、そして、野田佳彦政権が総力を結集して

取り組んだのが、小沢新党潰しだったのである。


いま、彼らが全力を注いでいるのが、小池国政新党を核に、

第二自公勢力を結集させることである。

小池国政新党勢力を核に「第二自公勢力」が二大勢力の一角を担う存在が

誕生したとしよう。

そうなれば、定期的に政権交代が生じることも起こりえるだろう。

しかし、そのときには、米官業が支配する日本政治の基本構造は、

完全に固定化してしまう。

基本政策路線に反対する主権者の声は、国政から抹殺されてしまうことになるのだ。

しかし、よく考えてみると、この構図=構造には決定的な矛盾がある。

それは、「主権者多数の声が抹殺される」ことだ。

民主主義の根本原理に反する状況が生まれることになるのだ。

事態を打開するための方策は単純明快だ。

「民主主義を活用すること」だ。

民主主義を活用することにより、この矛盾を顕在化させ、状況を変えることができる。

大事なことは、基本政策路線の相違に沿って、

基本判断を共有する者が連帯することだ。


原発稼働を止め、

集団的自衛権の行使を容認しない。

そして、消費税増税を阻止し、消費税廃止を断行する。

この方針を明確に打ち出し、その基本方針に賛同する主権者が連帯して戦うのである。

政治を変えるには選挙で勝たねばならない。

この選挙に、「政策」の旗を掲げて、連帯して戦う。

次の衆院総選挙では、原発、戦争と並んで、

「消費税」

が最大争点になると私は判断する。

消費税増税の是非ではなく、消費税減税・廃止 対 消費税増税 の図式で

選挙が戦われることになると考える。

消費税は社会保障拡充のために拡大していない。

消費税は所得税と法人税の減税のために拡大しているのだ。

格差拡大推進の中核的施策が「消費税増税路線」なのだ。

だから、消費税減税・廃止の政策路線は、格差拡大是正政策の核心にもなるのだ。

主権者は、第二自公に引き込まれぬよう、

「えせ野党」の動きに最大の警戒を払わなければならない。

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