★2015年4月官邸訪問加計関係者国会招致を決定せよー(植草一秀氏)

盆休みが入り、重大な政治問題に対する意識が希薄になっているが、

重大問題をあいまいなまま迷宮に入れてしまってよいわけがない。

森友疑惑では、問題を告発した前理事長の籠池泰典氏夫妻が逮捕、勾留されている。

空調設備も整っていない房に収監されているとも言われる。

かたや、問題の核心である国有地の激安払い下げに関する

責任者の佐川宣寿前財務省理財局長は国税庁長官に昇格した。

恒例の就任記者会見から逃亡したまま、国税庁トップの座に座り込んでいる。

また国有地払下げに深く関与した安倍昭恵氏は一度も公の場で説明することもなく、

税金を投入しての海外随行や盆踊りなどにうつつを抜かしている。

安倍昭恵氏の指示に従って国有地払下げ問題等に関して財務省と折衝した

元秘書役の谷査恵子氏はイタリアの日本大使館に一等書記官として派遣された。

こちらも、まだ一度も説明責任を果たしていない。

籠池氏が逮捕されたのは補助金不正受給の疑いであるが、

量刑の重い詐欺罪の嫌疑で逮捕、勾留されている。

この逮捕、勾留について、元検事で弁護士の郷原信郎氏が、

その不当性を厳しく糾弾している。

「検察はなぜ”常識外れの籠池夫妻逮捕”に至ったのか」

https://goo.gl/3ytM3S

「籠池夫妻を「闇の勢力」呼ばわりした八幡和郎氏の非常識」

http://www.twitlonger.com/show/n_1sq3kn6

「検察は籠池氏を詐欺罪で起訴してはならない」

https://goo.gl/R6ukkD


大阪地検特捜部による籠池氏夫妻の逮捕事実は、

森友学園が受給していた国土交通省の

「サスティナブル建築物先導事業に対する補助金」の不正受給であるが、

郷原氏は国の補助金の不正受給に対して詐欺罪を適用することは、

検察実務としてあり得ないと断言している。

籠池夫妻は逮捕事実と同じ事実で勾留され、勾留期間が延長されて、

8月21日が勾留満期と報じられている。

郷原氏は

「籠池氏が理事長を務めていた森友学園の事件に関しては、

近畿財務局側も森友学園に対する国有地売却をめぐる背任罪で告発されており、

その捜査・処分の結果如何では、籠池夫妻逮捕・起訴に対して、

重大かつ深刻な検察批判が起こりかねない。」

と指摘している。

郷原氏は、

補助金適正化法は、昭和30年に制定されたもので、

国会審議でも、詐欺罪と同法29条1項違反の罪との関係について、

「偽わりの手段によって相手を欺罔するということになると、

刑法に規定してございます詐欺の要件と同じ要件を具備する場合があるかと存じます。

しかしながら、この補助金に関して偽わりの手段によって相手を欺罔したという

場合には、この29条が特別法になりまして、これが適用される結果になります。」

の答弁が存在することを指摘する。

このことを踏まえ、

「立法経緯からは、適正化法違反が詐欺罪の特別規定で、

同法違反が成立する場合には、詐欺罪は適用されないという趣旨であることは

明らかだ」

と指摘している。


郷原氏は、

「今回の籠池氏の事件が、過去の国の補助金不正受給事案と比較して

著しく悪質であり、適化法違反による処罰では軽すぎるというのであれば、

検察として、何とかして重く処罰しようとすることも理解できないではない。

ところが、今回の森友学園の事件で不正受給が問題とされた国の補助金は

総額でも約5640万円、正当な金額との差額の「不正受給額」は、

そのうち3分の2程度と考えられるので2000万円にも達しておらず、

しかも、全額返還済みである。

籠池氏の事件は、むしろ、適化法違反としての処罰にすら値しない程度の事案

であるとしか考えられない。

そうであれば、むしろ、「適化法違反で、罰金刑ないし起訴猶予」というのが、

本来行われるべき適正な処分である。」

と指摘している。

補助金受給に不正が存在したのであれば、

その不正についての責任は問う必要があるが、

犯罪の認定と処罰の決定に際して、法的な公正、公平が確保されるべきことは

言うまでもない。

森友疑惑の核心は、国有財産が不正に低い価格で払い下げられたという問題である。

この事案の首謀者は近畿財務局、財務省理財局であり、

大阪地検特捜部はすでに告発状を受理している。

ところが、これまで家宅捜索さえ実施していないのだ。

当然のことながら、安倍昭恵氏からも事情聴取する必要がある。

他方、補助金の不正受給を問題にするなら、その本丸は加計学園である。

獣医学部施設の設計図面が明らかになり、

加計学園に補助金不正受給があったのかどうか、

早晩召集されることになる臨時国会での最重要追及材料になる。


週刊朝日が

「安倍政権さらに窮地 加計学園の獣医学部新設「設計関連文書」全文を入手」

https://dot.asahi.com/wa/2017081800074.html?page=1

https://dot.asahi.com/wa/2017081800074.html?page=2

https://dot.asahi.com/wa/2017081800074.html?page=3

を報じている。

建築坪数9857坪、その建築費192億円と見積もられ、

愛媛県今治市は96億円もの税金投入を3月31日にたった1日の審議で決定した。

設計段階の建設費坪単価は150万円だが、

設計図を見た建築エコノミストの森山高至氏は、

「獣医学部なので特殊な建物かと思っていたら、ごく普通の商業施設と同じレベル。

なんらかの獣医学部の施設がプラスされるのでしょうが、

坪単価で80万円から、高くとも100万円でしょうね。

とても150万円するとは思えない」と述べたことを週刊朝日が伝えている。

坪単価が100万円のものを150万円として建築費を192億円として

補助金を96億円受給するなら、これこそ桁違いの不正受給となる。


加計学園の獣医学部新設が国家戦略特区で認可された一つの重要な条件は、

「最先端のライフサイエンス研究ができる施設、設備を設置すること」だった。

加計学園は、これまでの獣医学部にはない、

最先端のライフサイエンス研究のために「バイオセーフティーレベル3」の施設を

つくるとしている。

細菌やウイルス、微生物などを厳重な管理下で研究するための施設で、

この点について週刊朝日は、

「鳥インフルエンザ、HIVウイルスなどが研究対象です。

最高のレベル4だとエボラ出血熱のウイルスなどになります。

レベル3や4は非常に高度でかつ厳重な管理が必要で、

それに対応できる施設でなければいけません」

との専門家のコメントを紹介しているが、週刊朝日が入手した設計図面について、

研究者が、

「隔離性が低く、危害性の高い病原微生物等を取り扱う教育、研究、病性鑑定には

不向き。これでは高病原性鳥インフルエンザの検査、診断、実験、研究は

難しいと思う。

施設全体でみても、動物実験を理解していない人が設計しているんじゃないか」

と述べたことを紹介している。

つまり、「バイオセーフティーレベル3」の施設にはなっていないこと、

そして、これを踏まえると、設計で見積もられている建設費が

不当に水増しされているとの疑いが濃厚になる。


7月24、25日の国会での閉会中審査ののち、内閣改造があり、

民進党は代表辞任、代表戦設定の動きを示し、

そのなかで盆休みが入ったために、水を差された状態にあるが、

この間に疑惑は一段と深まっている。

8月21日には籠池泰典氏夫妻の勾留期限が到来する。

大阪地検特捜部は詐欺罪での起訴を強行する惧れがあるが、

その行為そのものが法治国家を自ら否定するものになる。

大阪地検特捜部は、村木厚子元厚生労働省局長の不当逮捕、

不当起訴の実績を有している。

そして、この操作過程で証拠フロッピーディスクの改ざんなどの重大犯罪を

実行している。

その大阪地検特捜部が、さらに罪を重ねてゆくことになるのか。


森友疑惑の核心は国有地の不正払い下げ疑惑である。

すでに、近畿財務局が森友学園から買い取り希望価格を聴取して、

タダ同然の価格で当該国有地払い下げ価格を決定した経緯を示す重要証拠も

発覚している。

容疑は客観的に固まっており、検察当局は証拠隠滅を防ぐためにも、

早期の強制捜査に乗り出す必要に迫られている。

また、国会は、真相解明のために、

安倍昭恵氏の証人喚問を実施する必要がある。

これらの問題は、盆休みをはさんだだけで、何も状況が変わっていない。


加計疑惑に関しては、加計孝太郎氏の証人喚問が必要である。

また、2015年4月の今治市職員および加計学園幹部による首相官邸訪問の事実を

明らかにするため、当該今治市職員ならびに加計学園幹部の参考人招致も

必要不可欠である。

森友疑惑も加計疑惑も、権力者が権力を私物化して、不正に便宜を供与した、

あるいは利益を供与した疑惑であり、政治問題としては最重大の問題である。

「どうでもいい問題」ではなく「何よりも重大な問題」である。

野党第一党の民進党が党内紛争で1ヵ月のブランクを生じさせていることが

極めて問題であるが、野党の乱れに乗じて、責任ある当事者である安倍政権が

逃げ切りを図ることを許してはならない。

その監視役を務めるべきは主権者国民である。

主権者国民が執拗に真相解明を徹底的に求めてゆかねばならない。

安倍政権の提灯記事を書き続けた元TBS職員の山口敬之氏が、

準強姦の罪で逮捕状を発付されながら、

安倍内閣の官房長官と密接な関係を有する警視庁刑事局長の指示で

逮捕が執行中止になり、山口氏が無罪放免とされた事案も極めて重大である。

日本社会が名実ともに、完全な暗黒社会に変じることを防ぐ意味でも、

森友、加計、山口のアベ友三兄弟疑惑を闇に葬ることを、絶対に許してはならない。

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