籠池夫妻を「闇の勢力」呼ばわりした八幡和郎氏の非常識


籠池夫妻を「闇の勢力」呼ばわりした八幡和郎氏の非常識

森友問題について、様々な見方があるのはわかる。しかし、籠池夫妻を「闇の勢力」であるかのように述べる八幡和郎氏の【森友問題の本質は関西社会の闇だ】(アゴラ)http://agora-web.jp/archives/2027652.html は、常識を逸脱しており、法的責任が生じる可能性もある内容と言わざるを得ない。
最初に、このタイトルを見て、私は、「森友問題に関して、新たに『反社』が関係していることがわかったのか」と思った。ところが、驚いたことに、八幡氏が「関西のこうした怪しげな勢力」と表現し、「闇の勢力」のように述べているのは、籠池夫妻のことなのだ。
そこでは、国有地の売却に関する籠池氏と国側との交渉のことが書かれているが、ここで引用されている録音記録に出てくるのは、籠池氏が国側に謝罪を要求したことと、安倍昭恵夫人の名前を出していること、諄子氏が損害賠償請求をちらつかせていることだけだ。いずれも、交渉過程における格別の問題もない当事者の言葉だ。ところが、八幡氏は、それを、籠池夫妻が「泣き落としにかかったり、恫喝気味の言辞を吐いたり」したとして、「関西ではどこにでもいるワル」などと表現し、国側とのやり取りで恐喝まがいの不当な要求をした「反社会的勢力」であるかのように述べている。名誉棄損或いは不当な誹謗中傷として、刑事・民事の法的責任が生じかねない問題だ。
さらに悪辣なのは、国側とのやり取りの引用において、「籠池泰典容疑者」「諄子容疑者」などと表示していることだ。国有地の売却交渉に関しては、籠池夫妻に「犯罪の嫌疑」がかかっているわけではない。籠池夫妻が、大阪地検に逮捕された容疑は、小学校の校舎建設に関する国の補助金に関するもので、土地売却の交渉とは関係がない。この問題で被疑者的立場にあるとすれば、背任罪で告発されている近畿財務局等の国の側だ。しかも、私がブログ【検察はなぜ”常識外れの籠池夫妻逮捕”に至ったのか】http://bit.ly/2uOZYStでも述べているように、大阪地検特捜部による籠池夫妻の逮捕には重大な疑問がある。ところが、八幡氏は、大阪地検に逮捕された籠池夫妻に、敢えて「容疑者」の呼称を付け、彼らは「犯罪者」であるという不当な「印象操作」をしようとしているのだ。
そもそも、逮捕された人に「容疑者」という呼称を付けるようになったのは、それ以前に、逮捕された途端に被疑者を「呼び捨て」にしていたことが「犯人視報道」と批判されたためだ。“まだ「犯人」と決まったわけではなく「容疑者」に過ぎない“という意味で、「容疑者」の呼称を付けることになったのであり、「犯人」との印象を少しでも薄めることが目的だ。ところが、八幡氏は、逮捕容疑とは全く別の件に関して、敢えて「容疑者」という呼称を付けている。
もちろん、私は、籠池氏とは思想も信条も全く異なるし、同氏を支持するものでも擁護するものでもない。しかし、対象が誰であれ、検察の捜査・処分に重大な問題があると考えた場合には、検察実務に精通した人間として、率直に問題を指摘することは自分の役割だと考えているし、刑事事件の手続の途中経過に過ぎない「逮捕」をその被疑者に対して不当な「印象操作」に悪用しようとする行為は、許容することはできない。
八幡氏の森友学園問題に対する論評は、何の根拠もなく、籠池夫妻を「闇の勢力」のように扱い、「容疑者」という呼称で、あたかも「犯罪者」そのものであるかのように、不当に「印象操作」するものであり、言論として許容される範囲を著しく逸脱している。
 

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