★昭恵夫人の100万円寄付はやはり真実だったー(植草一秀氏)

大阪地検特捜部が森友学園の籠池泰典氏と妻の諄子氏を詐欺の容疑で逮捕した。

安倍政権の下における地検特捜部がどのようなものであるのかを

はっきりと示すものである。

森友学園疑惑の核心は時価が10億円は下らないと見られる国有地が

1億3400万円の安値で払い下げられたことだ。

政府は土壌改良費として1億3400万円を支払っているから、

実質的に、ほぼタダでこの国有地を森友学園に引き渡したことになる。

この行政事務を担当したのは財務省の近畿財務局である。

財務省本省の担当責任者は理財局長である。

国会ですべての関連資料を廃棄処分し、払い下げは適法なものだと強弁し続けたのは

佐川宣寿前理財局長だ。

この問題が発覚し、財務省の責任が追及され続けるなかで、

安倍政権はこの佐川理財局長を国税庁長官に昇格させる人事を断行した。

財務省の不正を追及する人々をあざ笑うかのような対応である。

他方、財務省が国有地を不正に低い価格で払い下げた事案については、

すでに市民団体が、背任の罪で大阪地検特捜部に刑事告発している。

大阪地検特捜部はこの事案についての告発状をすでに受理している。

大阪地検特捜部は森友学園疑惑の本丸について、

総力を結集して捜査を行うべき立場にあるが、

現実に動いたのは、本丸の国有地不正払い下げ事案ではなく、

森友学園が補助金を不正に受給したという脇道案件である。

大阪地検特捜部が本丸捜査ではなく、脇道案件を優先して逮捕にまで踏み切ったのは、

森友学園の籠池泰典理事長夫妻が安倍晋三氏および夫人の安倍昭恵氏の、

この問題への深い関与を公表したためであると思われる。


籠池泰典氏が公言しているように、この事案は典型的な

国策捜査事案

である。

国策捜査事案とは、政治権力に敵対する人物を貶めるために、

その人物を犯罪人に仕立て上げる捜査事案である。

かつては小沢一郎氏が無実潔白であるにもかかわらず、

犯罪者に仕立て上げられようとされた。

小沢氏の場合はギリギリのところで無罪が確定したが、

小沢氏の元秘書3名は不当な国策裁判によって犯罪者に仕立て上げられた。

私が巻き込まれた事案においても、確認された証拠によって

私の無罪、無実潔白は完全に証明されたにもかかわらず、

裁判所は国策裁判によって私を犯罪者に仕立て上げた。

警察、検察当局は、基本的人権の保障を全うするために刑事事件の真相を

究明するのではなく、密室で冤罪をねつ造して無実の市民を犯罪者に

仕立て上げるという恐るべき犯罪行為を行ったのである。

籠池氏は新設小学校建設にかかる補助金について、

不正受給が疑われる部分についてを含め、すでに全額を国に返金しており、

この事案を犯罪として取り扱うのには無理がある。

しかしながら、大阪地検特捜部は籠池泰典理事長のみならず妻の諄子氏までをも

「詐欺」の容疑で逮捕した。

「詐欺罪」の量刑は重く、今後、厳罰をほのめかして籠池氏を黙らせることを

目指すのだと思われる。

第2次安倍政権発足以降の安倍政権が推進している

政策の基本三本柱=「真・三本の矢」は

戦争・搾取・弾圧(かむろてつ氏)

である。

特定秘密保護法を強行制定し、

刑事訴訟法改悪を断行し、

共謀罪を強行制定した。

権力に歯向かう者を徹底して弾圧する方針を鮮明にしている。

今回の籠池氏夫妻の「詐欺罪」容疑での逮捕の異常性については、

元検事で弁護士の郷原信郎氏がすでに精密な論考を発表されている。

「検察はなぜ”常識外れの籠池夫妻逮捕”に至ったのか」

https://goo.gl/3ytM3S

郷原氏は次のように指摘する。

「法務・検察の幹部が関わっているとしか考えられない「告発受理」の

大々的な報道の後始末として、何らかの形で事件を立件して

籠池夫妻を逮捕せざるを得なくなったとすると、

「検察が追い込まれた末」の籠池夫妻逮捕だということになる。

それは、法務検察幹部が政治的意図で告発受理を大々的に報じさせたことが

発端となって、自ら招いた事態だと言わざるを得ない。

それは、検察の常識として凡そあり得ない逮捕であり、

過去に繰り返してきた数々の検察不祥事にも匹敵する「暴挙」だと言わざるを得ない。

このような無茶苦茶な捜査からは直ちに撤退すべきである。」

大阪地検特捜部の暴走を的確に認識し、この問題の本丸が財務省による

国有地不正払い下げ事案にあることをしっかりと把握しておかねばならない。


財務省の佐川宣寿前理財局長は、森友学園への国有地払い下げにかかる

重要な実績を示す公文書をすべて破棄したと証言してきた。

しかし、財務省の公文書管理規則は、国有地処分にかかる重要な実績を示す文書

について、その保存期間を10年と定めている。

昨年6月に譲渡された国有地に関する多数の文書記録を財務省が破棄したことは、

公文書管理規則にも違反する。

真相を解明する努力を一切示さず、「適正なプロセスによる譲渡」の一点張りで、

真摯な説明を一切示さなかった佐川局長を、安倍政権は国税庁長官に昇格させた。

国民をあざ笑うかのような、暴挙であると言うべきである。

森友学園への国有地払い下げ事案が急激に動き始めたのは、

安倍昭恵氏が新設小学校の名誉校長に就任してからだ。

安倍昭恵氏は新設小学校の土地問題について、籠池理事長から相談を受けた。

これを受けて安倍昭恵氏が公務員秘書の谷査恵子氏に指示をして、

谷氏が財務省と折衝した。

その結果として、財務省が国有地の激安払い下げに動いたと見られている。


財務省と森友学園代理人との折衝において、

財務省は森友学園が支払うことのできる金額上限を尋ねたとされる。

森友学園は1億6000万円の上限値を回答した。

他方、財務省=近畿財務局は、政府から森友学園に1億3200万円の土壌改良費を

支払うので、払い下げ価格はこれを下回ることはできないことを通告していた。

その結果として、1億3200万円よりも200万円しか高くない1億3400万円での

払い下げが決定されたのだという。


地下埋設物の実態を調査して、その費用を控除したのではなく、

森友学園の支払い可能額をヒアリングした上で、

実質的に「タダ」になる価格で国有地を払い下げたと見られている。

これは、財政法第9条に違反する違法行為である。

近畿財務局は国に巨大な損害を与えており、

刑法上の「背任罪」が成り立つ可能性が極めて高い。

「背任罪」で近畿財務局はすでに刑事告発を受けている。

大阪地検特捜が総力を結集して取り組むべき事案は、

籠池氏の「詐欺罪」容疑ではなく、近畿財務局の「背任罪」容疑である。

それにもかかわらず、大阪地検特捜部は籠池氏の逮捕、勾留に踏み切った。

すでに、さまざまな事案において確認されてきたことだが、

日本は完全に暗黒国家に堕落している。

権力が法の正義を無視して、人権無視の凶暴な姿を露わにしている。


メディアの一部は国家権力の横暴を批判するが、

マスメディアの多くが検察権力に迎合する論評を掲載している。

2016年の刑事訴訟法改定においては、

本来は取り調べ過程の完全可視化を実現することが最重要の課題であった。

小沢一郎氏の元秘書で元衆議院議員の石川知裕氏が東京地検特捜部の事情聴取に

際して秘密録音をした。

その結果、東京地検特捜部が事情聴取内容を全面的に改竄して、

虚偽の捜査報告書を作成していた事実が明らかになった。

検察は小沢一郎氏を不当に刑事被告人に仕立て上げるために

捜査報告書をねつ造したのである。

このために、小沢一郎氏は刑事被告人に仕立て上げられてしまった。

2010年9月14日に民主党代表選があった。

この選挙で、本来、勝利したのは小沢一郎氏であった。

党員・サポーター投票では小沢一郎氏が圧勝していたはずである。

しかし、民主党は党員・サポーター票の集計にあたり、

大がかりな不正を行った疑いが濃厚である。

さらに、9月14日の議員投票において、小沢一郎氏強制起訴情報が流布されて、

議員投票も歪められたと見られる。

この選挙で、小沢一郎氏が新代表に選出されていれば、小沢一郎政権が誕生していた。

つまり、検察の捜査報告書ねつ造事案は、日本の歴史を捻じ曲げるという

重大事案そのものだったのである。


森友学園が受給した補助金に不正があったのなら、

そのこと自体は正されるべきである。

しかし、本年2月以降に発覚して森友疑惑の核心は、

当初から、そしていまも、国有地が不正に低い価格で払い下げられたという、

財務省による犯罪疑惑なのである。

安倍首相はこの問題に関して、

「自分や妻が関わっていたなら、総理大臣も国会議員も辞めるということを

はっきりと申し上げる」

と国会答弁で繰り返した。

この疑惑は深まる一方で、まったく払拭されていない。

籠池氏は逮捕される前に、逮捕されたら公開してほしいとして、

重要事実を改めて述べていた。

「逮捕後公開」を条件に籠池氏が明かしたこと」

http://toyokeizai.net/articles/-/179316?page=6

本年3月15日に安倍昭恵氏から籠池氏に電話があり、

籠池氏が「もう、あのことも言わざるをえんようになりました」と述べたという。

昭恵夫人が「あのこととは?」と聞き返したので、籠池氏が

「100万円のことです」と返したという。

これに対して昭恵夫人は否定せず、「ああ・・・」と沈黙したという。

これは、籠池氏が述べたもので、その真偽は確認されていない。

しかし、最大の問題は、この件について、安倍昭恵氏が説明責任を

一切果たしていないことである。

国会は安倍昭恵氏の証人喚問を実施するべきである。

安倍晋三首相は重大な嫌疑を持たれているのであり、

安倍昭恵氏の証人喚問の実現に向けてリーダーシップを発揮するべきである。

これを拒絶するなら、安倍晋三首相は即刻辞任するべきだ。

これが主権者国民圧倒的多数の意見であると思われる。

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