★「政策連合」の軸は弱肉強食から共生への転換ー(植草一秀氏)

都議選で東京都の主権者は

安倍政治=NO!

の意思を示した。

安倍政治=NO

の理由は大きく二つある。

第一は、安倍政治の基本方針に対するNO!

第二は、安倍政治の腐敗に対するNO!

今回の都議選では、とりわけ二番目の問題に対する主権者の厳しい判断が

示されたと考えられる。

安倍政治の基本方針とは何か。

かむろてつ氏の表現を使わせていただくと、

安倍政治「真・三本の矢」は

戦争

搾取

弾圧

ということになる。

政治を考察するときに、何よりも大事なことは、

「誰のための政治」であるかを考えることだ。

安倍政治は

「大資本のための政治」であり、

「主権者のための政治」でない。


これを私は、

「ハゲタカファースト」

と表現してきた。

私たちが目指すべき政治は

「国民ファースト」

の政治である。

小池百合子氏は「都民ファースト」との看板を掲げているが、

小池氏の政策が「都民ファースト」ではないことに十分な留意が必要である。

小池政治は本質の部分で安倍政治と重なっている。

やはり「戦争・搾取・弾圧」を基本としているのだ。

「戦争」は大資本の利益のために、人為的に創作されているものである。

北朝鮮の行動を支配しているのは、巨大資本であると見ておくべきである。

「究極のマッチポンプ」が「現代の戦争」、「現代の軍事危機」である。

「搾取」とは資本の原理そのものである。

資本は利益の極大化を目指す。

その利益極大化のための方策の中核が

「労働コストの最小化」=「搾取」

なのだ。

安倍政治が掲げる「TPP」も「成長戦略」も、

資本の利益極大化を目指すものであって、国民の利益拡大を目指すものでない。

正確に言えば「国民の利益極小化」を目指すものだ。


資本主義は資本の利益極大化を目指し、これを阻止するのが民主主義である。

したがって、

資本主義 対 民主主義

という対立概念で現代政治を見るべきである。

安倍政治が基本に据える第三の矢が「弾圧」であるが、

「弾圧」とは「民主主義の圧殺」に他ならない。

民主主義を圧殺するための「弾圧」なのである。

「特定秘密保護法」

「刑事訴訟法改悪」

「共謀罪創設」

によって、「弾圧法制」は完成を見た。

今後は、「弾圧」が確実に強化されることになる。

この安倍政治を打破しなければならないのである。

東京都の主権者が示した

「安倍政治=NO!」

の判断をもたらした、もうひとつの理由が

「政治腐敗」

であった。

森友・加計・山口の「アベ友三兄弟疑惑」の深刻さを主権者が認識した。

この両者があいまって、安倍自民の歴史的敗北がもたらされた。

問題は、これを今後の国政にどう活かすのかである。

勝負は次の衆議院総選挙だ。

この総選挙で、政権交代を実現し、

主権者のための政治を実現しなければならないのである。


安倍自民は年内の衆院解散・総選挙を実施できない状況に追い込まれた。

年内の衆院解散・総選挙は、間違いなく都議選の流れを踏襲するものになるだろう。

安倍首相から年内解散・総選挙シナリオは大幅に遠ざかったと見られる。

衆院任期は来年12月まである。

来年春までに総選挙を実施しない場合は、追い込まれ任期満了選挙になる。

2009年に麻生政権が実施した選挙のパターンである。

このパターンに陥り始めているのだ。


これを前提に考えるとき、年内の政局変動の大きな柱は

民進党の解体

である。

都議選ではっきりしたことは、民進党がもはや中規模政党にもなり得ない

という現実である。

公明党23議席、共産党19議席に対して、民進党はわずか5議席である。

安倍自民でさえ、23議席を確保した。

民進党は、もはや国政を担う可能性を持つ政党ではなくなっている。

それはそうだろう。

朝から晩まで眉間にしわを寄せている民進党の蓮舫代表に、

明るい未来を思い描く主権者はいない。

そして幹事長が野田佳彦氏である。

「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」

と訴えて、民主党は2009年に政権を獲得した。

その2009年に、この公約をもっとも大声で叫んだのが野田佳彦氏である。

その野田佳彦氏が2012年、民主党内の議論もしないまま、

「シロアリ退治なき消費税大増税」

に突き進み、さらに、

「自爆解散」

に打って出た。

年内解散を強行した最大の理由は、小沢新党に政党交付金を受領させないことに

あった。

菅直人氏、野田佳彦氏の二名が、2009年の政権交代の大業を木っ端微塵に

粉砕した第一級戦犯である。


7月1日の秋葉原街頭で、主権者は

「安倍は辞めろ」

の声を轟かせた。

しかし、その主権者は、

「民進党に日本政治を委ねたい」

とはまったく思わない。

民進党よりも共産党の方が、はるかに信頼されている。


しかし、民進党のなかに、優れた人材が存在する。

このキラリと光る民進党内の人材が民進党を離脱して、

政策を基軸に新たな核になるとき、日本政治は躍動感を取り戻す。

都民ファーストで立候補した候補者が軒並み当選した現実を目の当たりにして、

多くの国会議員が小池新党に流れ込んでゆくだろう。

しかし、小池新党が示す政策の基本路線は安倍政治と変わらない。

「みんなの党」「維新」という、大資本勢力が人為的に創作してきた、

いわゆる「第三極」路線の延長上にあるのが小池新党なのである。


重要なことは、安倍政治と、政策路線の対極にある政策を明示する勢力の結集なのだ。

原発を拝し、

戦争法を廃止し、

経済政策を「弱肉強食」から「共生」に転換する。

この基本路線を明示する政治勢力の結集が求められている。

一言で表現するなら

「政策連合」

の構築だ。

年内に、民進党の一部が、この新党創設に進む。

そして、この新党は自由党、社民党と融和する。

これらが結合して主権者新党が創設されることになるだろう。

次の総選挙では、この新党と共産党が完全なる選挙協力を実行する。

この両勢力によって、新しい政権、主権者のための政治を実現する政権が

樹立されることになる。

このことを念頭に入れて今後の政局変動を生み出してゆく必要がある。

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