★安倍首相加計暴論講演vs前川前次官威風堂々会見ー(植草一秀氏)

7月2日に投票日を迎える東京都議選は、

国政での安倍政権の行動に対する審判を示す貴重な機会である。

一般市民を国家の監視下に置き、新しい治安維持法として機能する可能性が高い

「共謀罪」を審議未了のまま採決を強行して制定したこと。

森友学園に国有地を不正値引き販売した疑いが極めて強いこと。

安倍晋三氏の「腹心の友」が理事長を努める学校法人による

獣医学部創設を安倍政権が強行決定したこと。

安倍晋三氏に対するご追従だけを並び立てる御用記者と言える山口敬之氏の

準強姦容疑での逮捕状を菅義偉官房長官に近い警視庁刑事部長が握りつぶしたこと。

これらの公私混同政治

政治私物化問題

深刻な政治腐敗問題

について、主権者が審判を下す、きわめて重要な機会が、今度の都議選である。

安倍政権の与党勢力を落選させる。

この点に力点を置いた選挙戦が求められている。

まずは、自民党東京都連を決定的に惨敗させる。

ここから、日本政治の刷新を実現してゆかねばならない。

自公維には絶対に投票しない。

このことを、広く東京都民に伝えてゆかねばならない。


安倍首相は政府が加計学園による獣医学部新設を認めたことについて、

神戸市での産経新聞社が後援する講演会において、

「今治市だけに限定する必要は全くない。地域に関係なく、2校でも3校でも、

意欲ある所にはどんどん新設を認めていく」

などと述べた。

安倍首相はこれまで、「獣医学部新設の認可」に関して,

「権限を一切行使することも、全く関わることもなく、

自分とは全く関係ないところで行われたものだ」

と説明してきた。

それが一転して、

自分の判断ひとつで、

「地域に関係なく、2校でも3校でも、意欲ある所にはどんどん新設を認めていく」

と変わったのだ。

重要なことは、

「自分とは全く関係のないところで行われる」

としてきた「獣医学部新設の認可」を、

自分の一存で、

「どんどん新設を認めていく」

としたことだ。

このことは、「獣医学部新設の認可」について、

国家戦略特区諮問会議の議長である内閣総理大臣が、

決定権を有していることを明言したものである。


「墓穴を掘る」

とはこのことを言う。

元検事で弁護士の郷原信郎氏も

ブログ「郷原信郎が斬る」



「「獣医学部を全国で認可」発言で“自爆”した安倍首相」

https://goo.gl/g7uiGY

と題する記事を掲載して、この問題を詳しく論じている。

しかも、日本テレビ報道番組「バンキシャ!」は

「周辺に語ったその理由は、

「あまりにも批判が続くから、頭に来て言ったんだ」」

だと伝えている。

この部分の真偽は確認できないが、

「学部新設の認可に全く関わりようがない」

としてきた自らの発言を、

全面的に自らの発言で否定してしまったことは間違いない。

郷原氏はこれを「自爆」と表現している。

前文部科学事務次官の前川喜平氏が「正論」を展開する記者会見を開いた一方で、

安倍晋三首相は、産経新聞社が後援する『正論』講演会で、

「正論」ならぬ「暴論」を開陳した。

講演会の名称を『暴論』講演会とした方が良いのではないかと思われる。

このような状況であるから、日本政治を健全なものにしたいと考える東京都の

主権者は、7月2日の東京都議選に必ず足を運んで、

安倍政権与党勢力である自民、公明、維新の候補者を落選させるために、

清き一票を投じることが何よりも大事である。


安倍暴政を民主主義の力で正すことができるのかどうか。

これが問われている。

前川氏は、日本のメディアのあり方にも強い疑問を投げかけた。

前川氏は6月23日に日本記者クラブで行った記者会見で次のように述べた。

「官邸からの働きかけといった問題について、

私に最初にインタビューを行ったのはNHKです。

ところが、その映像はなぜか放送されないままになっております。

いまだに報じられておりません。」

「また、この真相を表す内部文書の中でも、

非常に決定的な9月26日の日付付きの文書がありますが、

官邸の最高レベルという文言が入っている文書ですね。

これは、朝日新聞が報じる前の夜に、NHKは報じていました。

しかし、核心の部分は、黒塗りにされていました。

これはなぜなんだろう。」


また、次の発言も示した。

「報道番組を見ておりますと、コメンテーターの中には、

いかなる状況証拠や文書が出てきたとしても、

官邸の擁護しかしないという方がいらっしゃいます。

お名前は差し控えますけれども。

森友問題の時にもそういうことが繰り返されていましたが、

森友学園問題で官邸擁護のコメントを出し続けた方の中には、

ご本人の性犯罪が検察・警察によってもみ消されたのではないかという疑惑を

受けている方もいらっしゃるわけです。」

田崎史郎氏やNHKの島田敏男氏などは、悪徳御用記者衆の筆頭に挙げられることが

多い。

醜悪な人々である。

そして、安倍首相を絶賛する著書を刊行した

元TBSワシントン支局長の山口敬之氏に至っては、

準強姦容疑での逮捕状が発付されたにもかかわらず、

逮捕の寸前に警視庁の中村格刑事部長によって逮捕が握りつぶされたと

伝えられている。


その一方で、前川氏が「出会い系バー」を訪問したことについての報道に関して、

前川氏は会見で、「認識を新たにしたのは、国家権力とメディアの関係」として、

次のように述べた。

「5月22日の私を攻撃する読売の記事。

その背景はメディア関係者で検証されるべきだと思うが、

個人的には『官邸の関与』があったと思う。」

いわゆる「出会い系バー」に前川氏が通っているとの記事が

5月22日付朝刊の読売新聞に掲載された。

前川氏を攻撃するために、首相官邸が読売新聞を使って前川氏を誹謗中傷する記事を

掲載させたと見られている。

このことについて、前川氏は

「官邸は私がバーへ出入りして活動していたことをもともと知っていた。

その後、読売の記者が取材に。

その取材申し入れのタイミングで(5月)21日に、文科省の後輩の某幹部から

『和泉さんが話をしたいといったら応じるつもりがあるか』

と打診を受けました。

私は『少し考えさせて』と言ってそのままにしておきました。」

「私は報道が出たとしても構わないというつもりだったので、

報道を抑えてほしいと官邸に頼もうということは思っていませんでした。

私は、読売新聞のアプローチと、官邸からのアプローチは連動していると感じました」

「想像ですけれども、『嫌な報道をされたくなければ、言うことを聞けば、

抑えてやる』と、こういうことを言われるのではなかろうかなと思った」

と述べた。


日本の警察・検察・裁判所制度は根幹から腐り切ってしまっている。

そして、これと連携して腐敗臭を放っているのが大半のマスメディアである。

権力に歯向かう者に対しては、犯罪や不祥事を捏造して、

メディアと結託して「人物破壊工作」を展開する。

他方で、権力の犬として動く者に対しては、

犯罪が存在するのに、その犯罪を握りつぶして、無罪放免する。

一般的には俄かに信じ難い話であるが、

このような事実が、確実に、そして広範にこの日本には存在するのだ。


森友疑惑では、安倍首相夫人の安倍昭恵氏が深く関与して、

時価が10億円以上と考えられる国有地が1億3400万円で払い下げられた。

安倍首相は、

「自分や妻が関わっていたら、総理大臣も国会議員も辞める」

と国会答弁で啖呵を切ったが、安倍昭恵氏の関与が明らかになったにも関わらず、

まだ総理も議員も辞めていない。

安倍昭恵氏は、一度も公の場で説明をしようともしていない。

その一方で、森友学園の籠池泰典前理事長は、

補助金不正受給の疑いで逮捕されかかっている。

この国の現状は、北朝鮮と何も変わらない。


会見の最後に前川氏は、「個人の尊厳、国民主権」という言葉を書いた。

「仕事で感じたのは『国家公務員は自分を捨てて仕事をしているのではないか』

『滅私奉公ではないか』ということ。

それはいけない。

国家公務員でも尊厳を持った一人の人間ということを忘れず、

自分の信念、信条、良心は持っていなければいけない。」

そして、

「国家公務員として全体の奉仕者である一方で主権者の一人でもある。

おかしいと思ったことはおかしいと言わなければならない。」

と述べた。

加計学園の獣医学部新設認可は、公平、公正であるべき行政を歪めるものである。

このことを、前川氏は正々堂々と述べている。

これに対して、安倍首相の発言と行動には、論理的整合性がない。

首相としての言動が完全に破綻を来たしているのである。

そして、首相として果たさねばならない説明責任をまったく果たさない。

このような人物が日本の首相であることは、日本の主権者の一人として、

本当に悲しむべきこと、残念なことである。

まずは東京都議選で、東京都の主権者は安倍政権与党の候補者を落選させるために、

参政権を必ず行使しなければならない。

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