★ 昭恵夫人尋問すれば安倍首相辞職は不可避ー(植草一秀氏)

各社の世論調査で内閣支持率の急落が伝えられている。

世論調査そのものに問題があり、世論調査の数値そのものは実態と乖離していると

考えられるが、調査における時系列での変化には実態を反映する部分があると

思われる。

時系列の変化で見ると、各社調査の内閣支持率が急落している。

森友・加計・山口の「アベ友三兄弟」疑惑が噴出し、安倍首相が

「かかわっていたなら総理大臣も議員も辞職する」

と明言したにもかかわらず、安倍首相は真相を明らかにすることなく、

「逃げの一手」

で対応している。

主権者国民はこれらの問題についての政府の説明を納得しておらず、

安倍政権の行動に問題があると判断している。

また、共謀罪創設については、

組織犯罪集団の定義や犯罪準備行為の定義があいまいであることが国会審議で露呈し、

罪刑法定主義

の観点からも、法律の細目を十分に確認しなければならないところ、

安倍政権与党は、参議院での審議を打ち切って、

委員会採決も行わずに本会議で法律の採決を強行するという暴挙に出た。

議会制民主主義そのものを否定する民主主義の破壊行為である。

内閣支持率が急落するのは当たり前のことだ。


それでも、これまではメディアが、安倍政権のこうした暴走行為直後の世論調査で、

調査計数を改ざんして、内閣支持率が上昇したかのような

虚偽情報

を公開していたが、今回は、そのメディアが支持率急落を伝えている。

実態の内閣支持率下落が大幅すぎて、数値を改ざんしても、

なお支持率急落ということになったのかもしれない。

共謀罪の審議は未了であり、アベ友三兄弟疑惑は、何も解明されていない。

通常国会は会期末を迎えてしまったが、国会は閉会中審査を行うべきである。

森友疑惑も加計疑惑も政治腐敗の典型事例であり、

このような政治腐敗、政治私物化を放置してよいわけがない。

森友疑惑については、すでに主権者が刑事告発をしており、

刑事責任が明らかにされる必要があるが、日本の場合、

警察・検察・裁判所

という司法関連機関も腐敗してしまっているため、

これらの機関が適正な行動を示す保証がない。

警察・検察は

犯罪が存在するのに、これを無罪放免とする裁量権と



犯罪が存在しないのに、冤罪を捏造して無実の人間を犯罪者に仕立て上げる裁量権

を有している。

これを用いて、政治的な敵対者に対する人物破壊工作を展開してきた経緯を有する。


また、裁判所は「法の番人」としてではなく、

「行政権力=政治権力の番人」としての行動を示してきた。

「忖度裁判所」

としての性格を強く有している。

したがって、裁判において、「法と正義」に基づく判断が示される可能性は

極めて低くなっている。

このような現実はあるが、だからと言って市民が「泣き寝入り」していたのでは、

政権の横暴はさらに拡大の一途をたどるばかりだろう。

6月21日(水)午後4時より、参議院議員会館講堂において、

森友・加計問題の幕引きを許すな!
国家権力の私物化を許さない!
安倍やめろ!!緊急市民集会

が開催される。

http://www.labornetjp.org/EventItem/1497083691482matuzawa

https://www.facebook.com/events/1053411224791826/

主催は、森友告発プロジェクト

資料代500円となっている。

私もスピーチを依頼されており、一言発言をさせていただくが、

政治の不正、政治の私物化に対して、主権者国民が言うべきを言い、

行動すべきを行動することなくして、現実の刷新は進まない。

森友疑惑において、絶対に必要不可欠なことは、

安倍昭恵氏に説明責任を果たさせることだ。

国会がこれをスルーしていることがおかしい。

安倍昭恵氏がかかわっていたことは明白である。

この事実が確認されれば、安倍首相は首相と議員を辞任しなければならなくなる。

この点を追求することがまずは肝要である。


「安倍一強」

なる言葉にだまされてはいけない。

「安倍一強」

こそフェイクニュースだ。

2014年12月の総選挙で安倍自民党が獲得した票は、

全有権者の17.4%に過ぎない。

主権者の6人に1人しか安倍自民党に投票していないのだ。

公明党を合わせて、与党が獲得した票が、全有権者の24.7%。

主権者国民の4人に1人しか安倍政権与党に投票していない。


問題は、主権者国民の約半分が選挙に行かなかったことだ。

安倍政権与党以外に投票した主権者が全体の28.0%だった。

与党に投票した主権者よりも、非与党に投票した主権者の数のほうが多い。

だから、

「安倍一強」

という表現はフェイクなのだ。


森友学園は安倍首相の近親者が国有地を不正に安い価格で払い下げられたという

事案だ。

問題が発覚してから、安倍首相は森友学園の籠池泰典前理事長との「距離」を

強調するようになったが、安倍首相が森友学園で講演する予定を入れていたことは

事実であり、森友学園の教育方針に強い賛辞を送っていたことも事実なのだ。

この森友学園が時価が10億円を下回ることはないと見られる国有地を、

1億3400万円の安値で国から取得した。

国有地不正払い下げ事案である疑いが極めて濃厚である。

地下埋設物の撤去費用としての8億円が値引きされて安値譲渡となったが、

地下埋設物の存在が疑わしく、国有地を「適正な対価」でない不正な安値で

払い下げた疑いが濃厚なのである。


この問題に関して安倍首相が2月17日の衆議院予算委員会で、

次のように述べた。

「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、

一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。

もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということであり
ますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。」(議事録251)

「繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、
それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと
申し上げておきたい。」(議事録255)

したがって、安倍昭恵氏が、国有地払い下げにかかわっていたのなら、

安倍首相は間違いなく総理大臣も国会議員もやめる

ことになる。

安倍首相のこの発言が何よりも重いのだ。


森友学園の籠池泰典氏は、国有地の問題について、

新設小学校の名誉校長に就任した安倍昭恵氏に相談し、

安倍昭恵氏が秘書の公務員に指示をして、この秘書が財務省と折衝した。

その結果として、財務省が特別な便宜を図り、

最終的には、国有地を激安払い下げしたのである。

客観事実は安倍昭恵氏の関与を示唆している。

この疑惑を払拭するには、安倍昭恵氏が質疑に応じるしかない。

安倍首相には国会答弁を示した責任がある。

安倍昭恵氏に説明をさせる責任があるのだ。

しかも、安倍昭恵氏には5人もの公務員が秘書として配属されていた。

安倍昭恵氏が秘書の公務員に命じて財務省と折衝させた行為には、

国費が投下されていると見る必要がある。

その行為について、安倍昭恵氏は説明する責任を負っている。


証人喚問がいやなら、参考人招致でもよい。

安倍昭恵氏に公の場での説明をさせる。

これは絶対に必要なプロセスである。

国会審議で、野党は、寝転がってでも、安倍昭恵氏の説明を求めるべきであった。

そのための審議全面拒否なら、主権者国民が全面的に支持したと思われる。

ここで、踏ん張りを見せずに、野党は審議に応じ、

安倍昭恵氏の説明責任が宙に浮いたまま、国会が閉幕してしまったのである。


加計学園による獣医学部新設事案は、外形的な事実を見れば、

政治の私物化、典型的な癒着政治そのものである。

獣医学部新設を求めていた京都産業大学を排除するための条件が

書き加えられたことは、

「加計学園にだけ獣医学部新設を認める」

ための人為的な操作であると判定せざるを得ない。

安倍政権による政治の私物化、政治腐敗事案であると主権者が判断するのは

順当なことである。

御用記者の山口敬之氏に対して準強姦の疑いで逮捕状が発付されたのに、

警視庁刑事部長がこれを握りつぶした事案は、政治権力による操作妨害の疑いが

濃厚である。

米国でロシアゲート疑惑に関するトランプ大統領の発言が、

FBIに対する操作妨害

だとして問題とされているが、その比ではない。

国会は中村格元警視庁刑事部長を参考人招致するべきであるが、

これも国会審議でしっかりと追及することが行われなかった。


こうした現実を踏まえて、私たちは、一刻も早い安倍政治の終焉を

目指さなければならない。

安倍政治を終焉させるために、短期の目標としては、

安倍昭恵氏に説明責任を果たさせて、

2月17日の安倍首相国会答弁に基づく首相辞任を誘導することを定めるべきだ。

他方、中期の目標として、次の衆議院総選挙で、

安倍政権与党を過半数割れに追い込み、安倍政治を許さない勢力が、

衆議院過半数議席を確保するための具体的戦術を明確にすることを置くべきだ。

それが、政策を基軸に主権者が連帯する、オールジャパンの政策連合である。

原発、戦争法、消費税を軸に候補者一本化を急がねばならない。

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