★Bad民進党除去野党大連合で総選挙に臨むー(植草一秀氏)

森友

加計

山口



「アベ友三兄弟」

の重大疑惑がある。

この問題を

「どうでもいい問題」

とする声があるが、その判断は根本的な誤りである。

森友疑惑は、国有地を適正価格よりもはるかに低い価格で

政権と深いかかわりのある事業者に払い下げた疑惑である。

古くは「北海道干拓使官有物払い下げ事件」が知られているが、

この不祥事とまったく同じ構図の事案である。

森友学園は1億3400万円で当該国有地を譲渡されたが、

この譲渡価格が適正でない破格の安値であった疑いが濃厚に存在する。

不適正な低い価格であれば、この譲渡は財政法第9条に違反する違法払い下げになる。

当事者の公務員は財政法違反で国民に損失を与えた背任の罪に問われる可能性がある。

何よりも重大なことは、この不正払い下げ疑惑に安倍首相の妻である安倍昭恵氏が

深く関与している疑いが濃厚であることだ。

安倍首相は「自分や妻が関わっていたら、総理も議員も辞める」ことを

国会答弁で明示している。

安倍首相が首相辞任を拒絶するなら、安倍昭恵氏が説明責任を果たすよう

行動すべきである。

安倍首相は、この説明責任を果たそうとしない。


加計学園による獣医学部新設問題は、客観的事実をつなぎ合わせる限り、

安倍政権が安倍首相の「腹心の友」が理事長を務める加計学園の要望を

実現するために今治市における獣医学部新設を強引に押し通したというものである。

かつて、かんぽの宿の不正売却未遂疑惑が存在した。

郵政民営化法の附則に法律案制定の土壇場でかんぽの宿払い下げが潜り込まされた。

これを主導したのは竹中平蔵氏であると指摘されている。

かんぽの宿に狙いをつけていたのはオリックスであると思われる。

かんぽの宿に対する強い関心は、オリックストップの宮内義彦氏が著書にも

記している。

詳しくは拙著『日本の独立』(飛鳥新社)をご高覧賜りたいが、

かんぽの宿売却は、オリックス不動産に安値で払い下げるための

プロセスであった疑いが極めて強い。

形式的には「競争入札」の体裁を装いながら、

初めからオリックス不動産に払い下げるためにすべてのプロセスが

組み立てられた疑いが強い事案である。

この疑いが濃厚に浮上して、結局、オリックス不動産への払い下げは未遂に終わった。

未遂に終わったために、真相の全容解明は行われずに現在に至っている。


さらに重大な問題は山口敬之氏の問題だ。

発付された逮捕状が警視庁の介入で執行されなかった。

しかも、事案は被害者とされる女性が内部告発するまで、一切明らかにされなった。

この女性が告発をしなければ、闇に葬られた事案である。

逮捕状を握りつぶしたとされるのは、警視庁刑事部長(当時)の中村格氏であると

されている。

中村氏は菅義偉官房長官の秘書官を務めていた人物である。

米国のトランプ大統領の捜査妨害が大問題として取り扱われているが、

これよりもはるかに深刻な捜査妨害である疑いが存在する。

国会は終盤を迎えているが、森友・加計・山口のアベ友三兄弟問題の

徹底解明が絶対に必要である。


国会における野党の戦いを考えなければならない。

現在の国会は与党が圧倒的多数を保持している。

国会における「数」は絶対的な意味を有する。

与党が採決を強行すれば、是非を問わず可決されてしまう。

安倍政権は強行採決を繰り返しており、文字通りの暴走政権である。

特定秘密保護法

戦争法

TPP批准および関連法制

共謀罪

など、

反対意見を無視して、強行採決を繰り返している。


このような「暴走」に対処するには、野党の側に不退転の決意と行動力が

必要不可欠になる。

森友事案では、

安倍昭恵氏の公の場での説明が必要不可欠である。

自民党は森友学園の籠池泰典氏の国会証人喚問を求めて実現した。

「総理を侮辱した」

という理由で、籠池氏の証人喚問を積極的に求めた。

自分が呼びたいときには有無を言わせず証人喚問を実現する一方で、

果たさねばならない説明責任には頬かむりをする。

言語道断の横暴と言わざるを得ない。

この局面で与党が証人喚問に応じぬなら、野党は審議拒否戦術を厭うべきでない。

国会は審議をする場であるから、審議拒否は本来は望ましくない手法だ。

しかし、与党が果たすべき説明責任を果たさず、逃げ回るのなら、

その事実を国民の前に晒し、国民世論を高めることは正当な行為である。

「審議拒否」は審議を拒絶するための戦術ではなく、

審議を促進するための戦術である。


安倍昭恵氏の説明責任を果たさせる。

そのための審議拒否には正当性がある。

これを求めて審議拒否を行う野党に非があるのか。

そうではなく、果たすべき説明責任から逃げ回る与党に非があるのか。

判断するのは主権者国民である。

与党の横暴、不正に対する審判を主権者国民に求めるのだ。

そのための審議拒否には意味がある。


国会審議を通じて、不明点、不正点を明らかにすることは、当然重要であるが、

与党が議会審議に真摯に向き合い、誠実な対応を示さぬ場合には、

その不正を世間に知らしめるために、審議拒否戦術等を活用することは正当である。

国会運営においては国対委員長会談が開催されるが、最近の大きな特徴は、

自民党の国対委員長と民進党の国対委員長が一対一で会談を行い、

そのたびに、民進党が自民党の要請に追従していることである。

自民党と民進党が水面下の取引を行い、癒着している疑いが極めて強い。


フランス大統領選では左派系の候補者が候補者を一本化できず、

決選投票に駒を進めることができなかった。

韓国の大統領選では革新系の文在寅氏が勝利したが、

その背景は親米保守陣営の投票が安哲秀氏と洪準杓氏に分散したことである。

親米・保守陣営が候補者を一本化していれば、結果が異なった可能性がある。

日本の政治情勢では

「安倍一強」

という言葉が使われ、

この状況が永続するかのような言説が蔓延しているが、これも表層的な見方である。

2014年12月総選挙で安倍自民党に投票した主権者は、

全体の17.4%、6人に1人に過ぎない。

公明党を含めても24.7%、4人に一人だ。

野党に投票した主権者は全体の28.0%だった。


つまり、安倍政治に対峙する側が、大同団結すれば状況は一変する可能性が

高いのである。

その際、最大の問題になるのは、野党第一党の民進党の一部、とりわけ中枢が、

「ゆ党」状態

に陥っていることだ。

野党民進党が主権者の信頼を完全に失っていることが問題なのである。

事態を打開するには、民進党の切開手術が必要である。

民進党を

「Good民進党」



「Bad民進党」

に分離するのである。

そして、

「Good民進党」と共産、自由、社民

による大連合を構築する。

共産党を除く連合を構築するよりは、

Bad民進党を除く連合を構築する方が、

はるかに大きな力になる。

終盤国会での野党民進党の行動を注視するとともに、

次期総選挙に向けた、主権者勢力の大連合=大連立構築が急務である。

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