★日本政治刷新に不可欠な民進党の解体・再編ー(植草一秀氏)

森友

加計

山口



「アベ友三兄弟」

と呼ぶのが適切だろう。

この「アベ友三兄弟」が濃厚な疑惑に包まれている。

韓国では朴槿恵大統領が弾劾、罷免された。

民主主義政治において政治の腐敗、政治の私物化は政治の根幹に関わる

重大問題であることを鮮明に示している。

安倍政権における政治腐敗、政治私物化が極めて深刻な段階に進行していることが

明らかになっている。

しかも、安倍首相は政治のトップとして果たすべき「説明責任」を

まったく果たさない。

文字通り、日本の民主主義の危機であると言ってよいだろう。

この危機に対して率先して行動を示すべきは国会である。

国会は国権の最高機関として、安倍政権の政治私物化疑惑の真相を

徹底的に解明するべきだ。

森友学園問題では安倍昭恵氏が森友学園の土地取得問題に深く関与していたことが

明らかになっている。

疑惑払拭に安倍昭恵氏の説明が必要であることは明白だ。

その説明責任を放棄しているのが安倍晋三首相である。


加計学園疑惑では、「総理のご意向」の文言が記された文書の存在が

明らかになっている。

安倍政権は文書の存在を認めることすらしない。

文書の存在を明言している前川喜平文部科学前事務次官が証人喚問に応じることを

明言しているのであるから、前川氏を国会に招致して、

文書の存在の真偽を明らかにするべきである。

山口敬之氏は準強姦の罪で逮捕状を発令されていながら、

警視庁がこれを握りつぶした。

刑事捜査の歪みは鮮明である。

安倍政権の御用記者としての行動と警察の犯罪もみ消しとがリンクしていると

見られている。

政治権力による、不正で、不当な刑事捜査当局への介入や

刑事捜査当局の不正な裁量権の発動の疑いが濃厚である。

森友・加計・山口の「アベ友三兄弟」疑惑の真相解明が

国会審議の最優先、最重要の課題である。

疑惑の真相解明、責任追及の責務を負っているのが国会である。

安倍首相と安倍政権与党は、説明責任を放棄して「逃げの一手」で

必要な参考人招致にも応じない姿勢を示しているが、

民主主義政治において、このような説明責任放棄は許されない。

野党は与党が説明責任を果たさぬなら、

すべての国会審議に応じないといった毅然とした姿勢で与党に対峙するべきである。


民進党は審議拒否をすれば与党が単独で審議を進めてしまうと反論するが、

与党がそのような暴走を続けるなら、その暴走の現実を主権者に明示すればよい。

審議に応じても、与党は強行採決で法律制定を強行するだろう。

審議拒否を無視して与党が単独で採決を強行しても結果は同じだ。

与党の横暴、与党の議会政治軽視、国民への冒涜を、

広く主権者全体に知らしめることが重要である。

与党が説明責任も果たさずに政治腐敗問題に蓋をしようとしているときに、

野党が与党の説明責任をあいまいにしたまま審議に応じることは、

政治腐敗、政治私物化を結果として容認する行動になる。

NHKの「日曜討論」は与野党8党での討論を実施するべきである。

NHKは恣意的に

「5党での討論番組」

を編成するが、5党の場合は

与党系3対野党系2

8党の場合は、

与党系4対野党系4

になる。

政治権力とメディアが結託して、日本の深刻な政治腐敗、政治私物化に

蓋をしようとしている。

問題の核心は日本の民主主義の危機である。

最大のカギを握っているのは、実は民進党の対応だ。

安倍政権与党が説明責任を果たさないなら、すべての国会審議を止めるという、

毅然とした姿勢を示すべきだ。

野党4党で結束して、説明責任を求めるべきだ。

説明責任を実現させずに、国会審議に応じることは、

結局のところ、与党の「逃げ得」に手を貸す行為になる。

問われているのは民進党の姿勢である。


与党の暴走を止めるには、国会における議席構成を変えるしかない。

これが究極の対策である。

次の総選挙で

「安倍政治を許さない!」

勢力による過半数議席確保を実現する。

このことによって政権の刷新が実現する。

これが究極の目標である。

しかし、現状ではその実現は容易でない。

安倍政治に対峙する姿勢を明確にして、

大同団結、連帯を構築することが必要である。


論議の対象が森友から加計に移行したから、森友疑惑に関する論議が後退しているが、

国有地が不正に払い下げられた疑惑は何も解消していない。

安倍首相は2月17日の衆議院予算委員会審議で

森友学園問題では、2月17日の衆議院予算委員会質疑で

「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、

一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。

もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということで

ありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。」
(議事録251)

「繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、

それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと

申し上げておきたい。」(議事録255)

と答弁している。

時価が10億円を下回らないと見られる国有地が1億3400万円で払い下げられた。

この問題に、安倍首相や安倍昭恵夫人が

「かかわっていたなら」

「間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」

と明言しているのだ。

そして、当該国有地は、2015年9月に安倍昭恵氏が新設小学校の

名誉校長に就任し、籠池氏からの依頼を受けて安倍昭恵氏が

秘書の谷査恵子氏に命じて財務省と折衝させたところから事態が急進展。

森友学園による破格の安値での国有地取得が実現したと見られている。

安倍昭恵氏の関与は、これらの経緯から見れば明白で、

安倍首相は国会答弁に従って、総理も議員も辞職するべきということになる。


安倍首相が責任を回避したいのなら、

安倍昭恵氏が「説明」することが必要不可欠である。

日本の主権者の大半が、安倍昭恵氏は説明責任を果たすべきだと判断していると

考えられる。

この声を尊重し、その実現を図るのが野党の責務だ。

野党第一党の民進党が毅然とした態度を示さなければ、

安倍昭恵氏に説明責任を果たさせることは実現しない。

ところが、野党4党が一致して説明責任を求めるのに、まったくこれが実現しない。

その実現しない理由は、民進党の国会対策にある。

民進党の国会対策委員長の山井和則氏が自民党の竹下亘国対委員長と

一対一で委員長会談を行い、常に山井氏が自民党の要求を呑んでいるのである。

つまり、民進党は「真相解明」と言いながら、

テーブルの下で自民党と手を握っているのだと推察される。


通常国会の会期末が迫り、「新治安維持法」とも呼ばれる「共謀罪創設」が

強行されようとしている。

民進党が毅然たる姿勢を示すなら、審議を進めることができず、

与党が国会の大幅会期延長に踏み切らなければ、

「共謀罪創設法案」を廃案に持ち込むことも可能になる。

森友・加計・山口のアベ友三兄弟疑惑は、

日本の民主主義政治の根幹を揺さぶる重大事案であり、

野党民進党が真相の徹底解明に突き進むことが強く求められている。

ところが、民進党が水面下で自民党と手を握り、

55年体制下の悪名高い「国対政治」を再現するなら、日本の腐敗、日本の堕落は

構造として定着してしまう。

日本政治刷新を妨げている最大の理由は、野党民進党の「鵺(ぬえ)体質」にある。

与党に対抗するそぶりを見せながら、水面下で与党と手を結ぶ。

主権者は「鵺」の存在である野党一党を信頼できない。

そのことによって、自民党支配の政治構造が永続してしまうのである。

日本の政治腐敗、政治私物化を排除して日本政治を刷新するには、

野党の刷新が必要である。

「鵺」の民進党を解体して、これを「与党勢力」と「野党勢力」に二分することが

必要不可欠だ。

民進党の清冽な部分と、野党3党が結束して、「たしかな野党」勢力を構築する。

このプロセスが改めて必要不可欠になっている。

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