(孫崎享氏)★加計学園の獣医学部新設をめぐる動きは、
森友学園より、安倍首相との関係が深刻。
キャンパス用地(約37億円相当)は今治市が無償譲渡。
総事業費192億円のうち最大96億円を市と愛媛県が負担。
安倍氏と理事長昵懇。安倍氏の働きかけ段々明確に。

加計学園の獣医学部新設をめぐる動きは、森友学園より、

安倍首相との関係が深刻だと囁かれてきた。

 それは次を理由とする。

1. 公的資金の投与が、はるかに大きい。キャンパス用地(約37億円相当)は
今治市が無償譲渡。総事業費192億円のうち最大96億円を市と愛媛県が負担する。

これ等は地方公共団体の資金ではあるが、特区支援等の名目で、

国が県、市へ迂回支援を行う可能性がある。

2. 安倍氏と 安倍首相と加計学園の加計孝太郎理事長は、米国留学時代からの友人で、

頻繁に会食やゴルフを共にする仲である。

3. 3月13日の参院予算委員会では、加計氏から獣医学部新設の計画を聞いていたか

問われ、安倍首相は「私がもし働きかけて決めているとあれば、責任を取る」と

強く関与を否定した。首相本人が言い切っている。

従って、加計学園の獣医学部新設及び、資金の流れに総理の関与があれば、

安倍首相の責任が、森友学園より厳しく追及されるとみられていた。

こうした中、関与を示すことが続々判明し始めている。

A:事実関係-1

5月25日東京新聞「加計ありき」深まる疑念 獣医学部新設巡り記録文書次々

「加計学園」が系列大学の獣医学部を国家戦略特区に新設する計画を巡り、

文部科学省と内閣府の協議を記録したとみられる新たな文書が二十四日、

民進党の調査チームの会合で示された。

 打ち合わせの日付は昨年九月二十六日。

「時間はかけられない。官邸の最高レベルが言っている」と内閣府側の発言記載。

 十日前の昨年九月十六日の内閣府のヒアリングまで、

学部新設に慎重な姿勢を崩さなかった文科省は態度を一変。

昨年十一月九日、安倍首相を議長とする国家戦略特区の諮問会議で、

五十年以上規制されてきた獣医学部設置の制度改正が決まった。

 同党が十七日に公表した八枚の文書もまた、内閣府が二〇一八年四月開学に向け、

安倍首相の意向をちらつかせて、文科省に早期対応を迫っている記録((2))が

ある。

菅官房長官は「怪文書みたい」、文科省は「内部調査で確認できなかった」と発表。

だが日付入り文書は、八枚の文書の一つと同じやりとりが記されている箇所があり、

信ぴょう性を補強する内容だ。

 共産党が二十二日に公表した四枚の文書は、特区事業者の選定経緯に関わるもの。

獣医学部設置の条件として、「獣医師系養成大学等のない地域」としていた

原案((3))に、内閣府が「広域的に」などと書き加えた文書((4))もあった。

 この条件追加で、諮問会議の一カ月前に獣医学部を新設する特区構想を

提案していた京都府は、道を阻まれた。隣の大阪府内に獣医学部があったためだ。

結果として、事業者募集への応募は加計学園だけだった。

◆前文科次官「文書本物だ」 週刊文春に証言

 二十五日発売の週刊文春が、学校法人加計学園の獣医学部新設計画を巡る

一連の記録文書について、前川喜平前文部科学省事務次官が

「文書は間違いなく本物だ。大臣や自分への説明用として

担当の高等教育局専門教育課が作成した」と証言したとの記事を掲載することが

二十四日、分かった。

 記事では、前川氏が昨年九月二十八日に次官室で職員から文書を受け取ったと

説明しているが、専門教育課は取材に

「前次官に直接話を聞いたわけではないので、コメントできない」としている。

A:事実関係-2

 「総理の意向」文書、担当課が提示 前文科次官が証言(5月25日朝日新聞)

安倍首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」が国家戦略特区に

獣医学部を新設する計画について、今年1月まで文部科学事務次官だった前川喜平氏が

23日、朝日新聞の取材に応じた。内閣府から文科省に「総理のご意向」などと

伝えられたと記された文書について、前川氏は自らが担当課から説明を受けた際に

示されたと証言。獣医学部の新設については、加計学園を前提に検討が進んだとして、

「行政がゆがめられた」と語った。

前川氏が証言した文書は民進党が国会で示し、文科省に調査を求めたA4判の8枚。

この中には、文科省が最短のスケジュールで獣医学部新設を実現するよう、

内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと

言われたと記された部分がある。朝日新聞も同じ文書を入手している。

前川氏はこの文書について「獣医学部の新設について、

自分が昨年秋に、担当の専門教育課から説明を受けた際、示された」と証言した。

同氏によると、昨年9月9日~10月31日に計6回、

専門教育課の課長や課長補佐らと事務次官室で獣医学部の新設について

打ち合わせをした。9月28日の打ち合わせでは、

「『獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項』との文書を示されたと記憶している」

という。

また「総理のご意向」「官邸の最高レベル」などの文言について「誰だって気にする。

(文科省側が)圧力を感じなかったといえば、うそになる」と述べた。

獣医学部の新設予定地の愛媛県今治市や同県は加計学園とともに、

小泉政権が始めた「構造改革特区」での獣医学部新設を15回提案したが、

文科省がすべて却下。安倍政権が設けた国家戦略特区で、

2015年に県と市が獣医学部新設を提案した。

獣医学部新設を認める際は、獣医師の需要見通しなどを検討することが前提となる。

しかし今回は、需給をつかさどる農林水産省や公衆衛生を担当する厚生労働省から、

獣医師が足りないとの需給見通しや、新分野での必要な人材ニーズなどが

示されない中で、内閣府から新設を認めるよう求められていたとして、

「内閣府の言い分は『トップダウンで決めるから文科省は心配するな』ということだと

受け止めた」と振り返った。

さらに「踏むべきステップを踏めず、筋を通せなかった。

『こんなことは認められない』と私が内閣府に対して強く主張して

筋を通すべきだった。反省している」と語った。

一方、8枚の文書について、菅官房長官は17日の記者会見で

「怪文書みたいな文書じゃないか」と述べ、松野文科相も19日、

「該当する文書の存在は確認できなかった」とする調査結果を発表した。

前川氏は「あるものが、ないことにされてはならないと思った」と語った。

前川氏は事務次官だった今年1月、文科省の違法な「天下り」問題に

自ら関与していたとして減給処分を受け、引責辞任した。

〈加計学園の獣医学部新設計画〉 地域限定で規制緩和を認める「国家戦略特区」の

事業として、学校法人「加計学園」が運営する岡山理科大の獣医学部を

愛媛県今治市につくることが今年1月に認められた。

予定通り来年4月に開学すれば、1966年の北里大以来、

52年ぶりの獣医学部の新設になる。

今治市は16・8ヘクタールの土地を建設用地として無償譲渡したほか、

愛媛県と今治市で96億円の建設費を補助する予定。

獣医師養成向けの入学定員は160人で、国内では最大規模。

現在、文部科学省が設置を認可するか審査中。

学園理事長の加計孝太郎氏が安倍晋三首相の長年の友人で、

異例のスピードで特区での新設が認められたことなどから、

野党が「特別な便宜が図られたのではないか」と追及している。

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