★安倍昭恵氏が正しく説明責任果たすことを「祈ります」ー(植草一秀氏)

拙著『「国富」喪失』

https://goo.gl/s3NidA

の61~62ページに、次のように記述した。

「りそな銀行は埼玉銀行と大和銀行が合併してつくられた新銀行であったが、

この新銀行発足に際しての東京、名古屋、大阪での三回の記念式典および講演会では、

すべて筆者が講師を務めた。

筆者が小泉竹中金融行政批判の急先鋒であったことはすでに述べた。

このことから、りそな銀行は恣意的判断により自己資本不足に誘導されたものと

推察できる。

権力の濫用そのものであると言わざるを得ない。
 
自民党に対するりそな銀行の融資残高は、りそな銀行救済以後に激増した。

2002年末に5億〜10億円だった他の主要行の対自民党融資残高は

2005年末に4億〜8億円に減少した。

その一方で、りそな銀行の対自民党融資残高は2002年末の4・75億円から

2005年末の54億円へと激増したのである。

小泉・竹中金融行政が、りそな銀行を自己資本不足に追い込み、

公的資金により救済すると同時に経営陣を総入れ替えさせて以降、

りそな銀行は自民党の財布として活用されることになったのである。

この事実を朝日新聞が2006年12月18日に一面トップでスクープした。

記事を執筆したのは鈴木啓一記者であると見られている。

ところが、この鈴木啓一氏が記事掲載の前日、

東京湾で水死体として発見されたと伝えられている。

しかも、さらに奇妙なことは、この朝日一面トップのニュースをその後、

後追いした新聞社が一社も存在しないことである。

朝日監査法人の会計士の急死、そして朝日新聞記者の急死など、

この問題に関わることの恐ろしさが、誰の目にも明らかになった。

そして、いま疑惑の渦中にある森友学園に資金を融通しているのも、

りそな銀行ではないかと見られている。


拙著『「国富」喪失』の広告が昨日付の朝日新聞に掲載されたのでご高覧賜りたい。

一部書店等で品切れになりご迷惑をお掛けしてしまったが、

刊行直後に重版が決定されたので、順次供給されることと思う。

森友学園が小学校舎の建設資金のあてもないのに校舎建設を行っていたように

思わせるメディア報道が行われてきたなかで、大きな謎であったのが銀行融資だった。

森友学園の資金繰りを考えれば、

校舎建設の資金として銀行融資を検討しないはずがない。

何よりも資金の裏付けを求めるのは施工業者である。

藤原工業の代表者は「補助金で支払いが行われると聞いていた」と述べているが、

通常の施工業者であれば、その補助金について、裏付けを確認するはずである。

裏付けもなしに工事を請け負ったということであれば、

何か「特殊な」安心材料があったとしか考えにくい。

「特殊な」安心材料とは、何らかの「政治」とのつながりである。

この何らかの「政治」とのつながりこそ、森友疑惑の核心である。


森友学園は公式サイトにも広告が掲載されていたことからも分かるように、

りそな銀行との何らかの取引実績があったものと推察される。

このことから、小学校建設資金についても、

りそな銀行による融資枠等の設定があったのではないかと推察されてきた。

この件に関して、初めて、森友学園の籠池泰典前理事長の口から証言が出された。

週刊新潮が中川俊直衆議院議員の女性スキャンダルを報じることに対応して

中川議員が経済産業政務官を辞任したが、

当然、本人による公の場での説明が求められる。

政治家には常に「説明責任」が求められるのである。

新潮は中川議員のスキャンダルをスクープしたが、

これと時を同じくして『月刊FACTA』 が籠池氏に対する独占インタビューを

実現して、その内容を報じた。

このなかで、籠池氏が小学校建設資金の銀行融資について初めて語っている。

このなかで籠池氏は、

「ある都銀から10億円の融資枠をもらっていた。」

と述べている。

真偽は確認されていないが、15億円の建設費を支払うための用意がなければ建設に

着工することは考えられない。

「都銀」という表現を用いていることと、森友学園の取引関係を踏まえると、

「りそな銀行」からの融資が予定されていた可能性は高いのではないかと思われる。

森友疑惑はまったく解明されていない。

森友疑惑の核心は、国有地が不当に低い価格で払い下げられた疑いがあり、

その不正廉売の背景に安倍首相夫人の関与があったのではないかとの疑惑である。

そして、安倍首相は安倍昭恵夫人が関与していたら、

首相も議員も辞職することを明言している。

安倍首相は疑惑を晴らす責務を負っている。

疑惑を晴らすためには、安倍昭恵氏が公の場で説明責任を果たすことが

必要不可欠である。

野党の対応が甘すぎるが、この問題は、現時点で何も解決していない。

主権者国民は絶対にここで幕を引いてはならない。

主権者の毅然とした対応が、政治の腐敗を打破するために

必要不可欠なものなのである。


国会では共謀罪創設審議に重心が移されているが、

主権者国民は森友疑惑が解消されたと考えていない。

この問題についての論評において、必ず登場するのが内閣支持率である。

内閣支持率が低下していないから、この問題での更なる疑惑追及は必要ない。

このような暴論が横行している。

決定的な間違いは、

「内閣支持率」という客観的信用のない数値を判断の基準においていることだ。

「内閣支持率」は、その公正さが、法的にも、科学的にも、学術的にも、

まったく裏づけされていない、

信用に足る存在

ではないのだ。

本人確認の書類として、運転免許証や健康保険証などが用いられるが、

手書きの名刺など通用しない。

メディア世論調査による「内閣支持率」など、

「手書きの名刺」よりも信用度の低いものである。

そのことは、メディアの関係者自身が吐露しているところである。


安倍政権は不祥事に際して、常にメディア世論調査による「内閣支持率」を

不正利用している。

メディアに、政権が望む数値を発表させているのだと推察される。

特定秘密保護法でも、戦争法でも、消費税の公約破棄でも、

政権批判が強い行動を取った直後の内閣支持率を、

必ず「操作」している疑いが濃厚である。

いずれ、誰か関係者が「内部告発」することになるだろう。

メディアが発表する「内閣支持率」は「調査結果」ではなく

「創作物」であると見なすべきである。


安倍内閣の支持率が50%や60%もあるわけがない。

本当に支持率を正当性の根拠に使いたいなら、

「世論調査法」

を定めて、内閣支持率を「国民投票」として実施するべきだ。

当然、質問の文言についても国会で審議して、

回答が特定の方向に誘導されない表現を用いることも必要だ。

厳格な罰則規定を設けて、厳しい制約条件の下で「調査」を行わない限り、

信頼に足る「調査結果」は得られない。

少なくとも、メディアが発表する「世論調査」については、

その客観性を担保するための「法規制」が必要である。


2014年12月の総選挙で、安倍自民党の得票率は、

全有権者の17.4%に過ぎない。

6人に1人しか自民党に投票していないのだ(比例代表)。

それなのに、自民党は衆議院議席総数の61.1%を占有した。

議席占有率は61.1%だが、得票率は17.4%。

これが紛れもない現実なのである。

17.4%の得票しかないのに、61.1%もの議席を占有したのは、

1.小選挙区制で野党が候補を乱立させたが、自公政権が候補者を1人に絞り、
自民党候補者を創価学会が支援したこと

2.主権者の約半数が選挙に行かなかったこと

に依っている。


したがって、安倍暴政を支持しないすべての主権者が選挙に行き、

安倍暴政を支持しない勢力が、一選挙区にただ一人の候補者を擁立すれば、

選挙結果は激変する。

恐らく、議席配分は大逆転して、安倍暴政を支持しない勢力が政権を担うことになる。


森友疑惑は、

国有財産が「政治の関与」で不正に払い下げられたという、

典型的な「政治腐敗」疑惑そのものである。

小さな問題でもなく、

もっと他の重要議案を審議するべきだとの批判が妥当な問題でもない。

安倍首相が「自分や妻が関与していたなら首相も議員も辞職する」と述べたほどに

重大な問題なのである。

その問題で、安倍昭恵夫人が関与したことは、ほぼ明白になっている。

したがって、ここで幕引きをするというなら、それは、

安倍首相の首相と議員辞職による幕引き

意外にはあり得ない、

という状況である。


安倍首相が首相を辞めたくない、議員を辞めたくない、と思うなら、

安倍昭恵氏の証人喚問に応じるべきだ。

当たり前のことである。

その当たり前の行動もとらずに、花見にうつつを抜かすというのは、

主権者国民を舐め切っているとしか言いようがない。

不正を行ったのは財務省であり、森友学園は安倍昭恵氏の関与の下で

進行した小学校開設のはしごの上段で、いきなりはしごを外されて

落下している存在である。

問題の本質は「はしごをかけた側」にあり、

その中心的存在と見られる安倍昭恵氏の説明責任が果たされていないことが

最大の問題である。

主権者国民は、必ず安倍昭恵氏に説明責任を果たさせなければならない。

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