★野党共闘でなく政策共闘こそ勝利のキーワードー(植草一秀氏)

昨日、自由党共同代表小沢一郎議員の政経フォーラムが開催された。

第一部の講演では法政大学教授の山口二郎氏が講演をされた。

山口氏とはいまから16年ほど前に、ある鼎談で対話して以来の対面になった。

山口氏はいま、市民と野党との連携に尽力されている。

昨年7月の参院選では32の1人区で野党候補者の一本化を実現し、

11の選挙区での勝利を獲得した。

野党勝利の結果を実現することはできなかったが、

一定の成果を獲得することはできた。

オールジャパン平和と共生も、1人区での野党候補一本化には賛同した。

安倍政治を退場させるための第一歩としては意味があったと言える。

山口氏は参院選の総括として、新聞調査による安倍政権与党勝利の理由を紹介した。

「安倍政権が良い」が理由ではなく、

「野党に魅力がない」が理由であるとの世論調査結果を紹介した。

次の総選挙に向けて、野党共闘の構築が目指されているが、

「野党に魅力がない」

状況を変えることなく、「野党共闘」を実現しても、

「政権交代」の大業成就は困難であると思われる。

現実的な選択として「野党共闘の推進」が重要であるとの意見を理解することは

できるが、

野党共闘によって勝利を獲得するには、

「野党に魅力がない」

現状の改善が必要であると私は考える。


市民連合と野党4党による政策合意を形成させたことが報道されているが、

この政策合意によって主権者国民の大同団結、連帯が生じることは

容易でないと思われる。

山口氏も講演で指摘していたが、問題の核心は現在の民進党にある。

山口氏は新潟県知事選での米山隆一の勝利を紹介した。

新潟県知事選では、民進党が米山氏の推薦を拒絶した。

民進党の最大の支持母体である連合新潟が、

原発推進候補と見られた自公推薦候補の推薦を決定したため、

民進党は米山氏の推薦を拒絶したのである。

結局、米山氏は民進党を離党して無所属で知事選に出馬。

米山氏は共産党、自由党、社民党の支持を得て知事選に勝利した。

私は拙著『「国富」喪失』

https://goo.gl/s3NidA

第3章 国富を守るためにいま、なすべきことに

に、新潟での米山氏勝利の図式を

「新潟メソッド」

と表現したが、米山氏が勝利した最大の理由は、知事選を

「政策選択選挙」

にしたことである。


「政策選択選挙」

による野党陣営の勝利は、新潟だけで観察された事象ではない。

滋賀県や鹿児島県でも

「原発稼働の是非」

についての

「政策選択選挙」

が実現した。

その結果として、原発稼働反対という「政策選択」を主権者が示した。

沖縄では、

「辺野古米軍基地建設の是非」

についての

「政策選択選挙」

が実現した。

この結果として、辺野古基地建設反対の翁長雄志氏が当選を果たした。

したがって、いま必要なことは、

次の総選挙を「政党基軸」の選挙とせずに、

「政策基軸」の選挙にすることである。

「野党共闘」の最大の問題点は、

「野党共闘」が「政策共闘」になりえない部分にある。

この部分の是正が強く求められている。


「オールジャパン平和と共生」

が唱えているのは、

「政党基軸」の選挙を

「政策基軸」の選挙に転換することである。

主権者の最大の関心事は政策であって政党ではない。

政党について言えば、主権者の拒絶の程度では、

自民党に対する拒絶よりも

民進党に対する拒絶の方が強い。

参院選で自民党が勝利した理由として挙げられた

「野党に魅力がない」

とは、

主権者が民進党に対する強い反感、不信感を有しているということなのである。


この部分を正確に理解しておかないと、次の総選挙での勝利の方程式は見えてこない。

野党共闘を成立させても、その野党共闘の中心に民進党が居座る限り、

主権者国民の強い支持は獲得できないと考えられる。

主権者が民進党に対する強い反感、不信感を抱いている最大の理由は、

民進党の政策方針が不明確である点にある。

より正確に言えば、民進党の中枢にいる議員の多くの政策路線が

自公と同一

なのだ。

長島昭久議員が民進党を離れたが、政策路線を考えれば当然のことである。

基本的な政策路線が自公と同一の議員は自公サイドに移籍するべきである。

基本的な政策課題に

戦争

原発

基地

TPP

消費税

がある。


これらの基本政策テーマにおいて、

自公と同一の政策路線を掲げる議員は自公サイドに移籍するべきだ。

民進党の政策路線が「純化」されることが、

民進党が再び主権者の信頼を回復できる唯一の方策である。

この問題を解決せずに、

野党共闘

だけを実現しても、主権者はこの勢力を全面支持することはないと思われる。

こうした現実を踏まえると、次の総選挙においては、

政党主導ではなく

主権者主導で

選挙に臨む体制を構築することが望ましい。

主権者が

政策を基軸に

党派には関わりなく

支援候補者を決める。


その際、重要なことは、

一選挙区に

ただ一人の候補者を擁立することだ。

民進党の候補者への対応は二つに分かれる。

主権者がオールジャパンで支援する候補と

支援しない候補

の二つだ。

この考え方を浸透させることは、

民主党の分離・分裂を促進することになるだろう。


そして、新しい政権の枠組みに

「共産党を含まない」

との主張があるが、これも適正でない。

今や、もっとも純粋に反安倍政権の論陣を張り、行動している中心が共産党である。

共産党を含む新政権の構想を描くべきである。

共産党を排除しない、

政策を基軸にする

候補者一本化の取り組み

を直ちに始動させなければならない。

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